戦慄のリンクの映画専門家レビュー一覧

戦慄のリンク

「リング0」などを手がけ“Jホラーの父”とも呼ばれる鶴田法男監督が、中国に招かれメガホンを取ったホラー。自殺と断定された従姉の死の真相を追う大学生のシャオノー。従妹のPCから辿り着いたネット小説を読んだところ、悪夢のような恐怖に見舞われる。女子大生のシャオノーをモデルのスン・イハンが、シャオノーに協力するマーを「返校 言葉が消えた日」のフー・モンボーが演じる。特集『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2022』オープニング作品。2022年12月23日より新宿シネマカリテほか全国ロードショー。
  • 映画評論家

    上島春彦

    ホラーかと思ったらネタバレ厳禁サスペンスで紹介が難しい。しかし冒頭揺れる波間に人間の顔が浮かび上がったり、ダブル・ミーニング絵画として有名な「髑髏と鏡の女」を再現したり、画面の凝り方は評価できる。原作者は、あるいは綾辻行人の新本格推理から影響を受けているのかな。主要登場人物の本名とネット上のハンドルネームの食い違いが面白い効果。これ以上は書かない。小説(文字)がカギであり映像じゃないのだが画面ではネット動画の拡散みたいな印象。却って中途半端。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    既視感しかえられず、面白みを見出せない。ネット小説と現実がリンクし合う恐ろしさも、現代では目新しさに欠けてしまう。「ネットに夢中になってはいけない」というメッセージにしても、プロパガンダ的なものを感じてしまった。中国資本による制約がかかった映画であっても、たとえば公開時期の近いところでは「シスター 夏のわかれ道」など、それを巧妙にかいくぐって高いクオリティで仕上げている作品や、むしろ逆手にとって面白くしている作品なども多数あるので余計に。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    中国製作なので色々なしがらみがあったことは想像に難くない。しかしこれではいかんせん古い。既視感のある演出の雨あられである。そもそもJホラーは非西洋的な脈絡のなさ、わからなさに面白さがあったように思うのだが、近年筆者が散見するJホラー的なものはどうもそのわからなさや脈絡のなさをつきつめずに開き直っている節があるように思われる。伝統芸能に堕したとでもいうか。ちなみに、添付されていた監督による制作日誌は日中の映画制作の違いが見え、この上なく面白かった。

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