サポート・ザ・ガールズの映画専門家レビュー一覧
サポート・ザ・ガールズ
「最終絶叫計画」のレジーナ・ホールが第84回ニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞を受賞したドラマ。スポーツバーのマネージャー、リサは日頃から店のオーナーと対立していた。ある日、従業員が引き起こしたトラブルをきっかけに遂に解雇されるが……。監督・脚本は、「ハンナだけど、生きていく!」脚本・出演のアンドリュー・ブジャルスキー。出演は、「コロンバス」のヘイリー・ルー・リチャードソン。第7回ボストン・オンライン映画批評家協会賞アンサンブル演技賞受賞。
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映画評論家
上島春彦
久しぶりに労働者映画という範疇の企画に出会えて幸せ。こういうアメリカ映画が見たかったのだ。いわば70年代のマーティン・リット作品って感じか。スポーツバーのマネージャーとして愚直に働こうとしているだけなのに、そこら中から不満噴出、にっちもさっちもいかなくなる。何があったか、相思相愛の旦那も無気力症候群みたいになっちゃうし。群像劇にせずひたすら主人公女性の視点で労働現場の問題を描いているのが好感を呼ぶ。バーの隅っこで勉強している黒人少年が可愛い。
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映画執筆家
児玉美月
この映画は綺麗にまとまったプロットに関心はなく、強烈な個性を持ったキャラクターのアクションが牽引してゆく趣向の作品だろう。この良い意味での泥臭さは、トランスジェンダーのセックスワーカーを描いた「タンジェリン」を想起させた。女性が性的な存在として扱われる場所で、ゆえに性暴力までもが許容されうるという誤解と偏見をひとつのテーマに持つが、ここにあるのは不特定多数に向けた道徳の講義などではなく、主人公が人知れず天に向かって突き上げた中指そのものなのだ。
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映画監督
宮崎大祐
あらゆる面での素朴さには好感をもった。だがスポーツ・バーを舞台にしたシンプルなシチュエーションを1時間半駆動できるほどのユーモアの切れはなく、なによりも作品を引っ張っていかなければならないはずの主人公に心動かされることがなかったのは、演出家の俳優への演出がうまくいっていなかったからではないだろうか。俳優になにも施さないのと、ナチュラルに見えるようになにかを施すのでは当然まったく違うものが見えてくる。そのままのジャングルプッシーは良かったが。
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