奇蹟の人 ホセ・アリゴーの映画専門家レビュー一覧

奇蹟の人 ホセ・アリゴー

心霊手術で人々を救った実在の人物ホセ・アリゴーの伝記ドラマ。1951年、雑貨店を営むアリゴーはある日、夢の中でドイツ人医師アドルフ・フリッツから人々を治療するように諭される。アリゴーはメスや素手で病人の患部を取り除き、難病を完治させていく。出演は、ダントン・メロ、「悩める恋の測り方」のジュリアナ・パイス、「パウロ 愛と赦しの物語」のジェームズ・フォークナー、「バクラウ 地図から消された村」のアントニオ・サボイア。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    真面目そうな男が何度も「ハゲの男に取り憑かれて」と言うのが面白かった。取り憑かれてキャラクターが変わって、ものすごくシャキシャキしたキツめの男になるのが変。傷口に手を突っ込んで血の塊を取り出す。汚いナイフを目に突き刺す。次々と病名を言い当てる。結局世間から批判を浴びて牢屋にぶち込まれる。ここでも病気を治してヒーローになる。敵対する人たちが男のことを認めていくのがグッとくるところ。素直にこういう人がいたと悪意なく描いているのが良かった。

  • 文筆家/俳優

    唾蓮みどり

    心霊手術師の物語だと知り、オカルト的な趣の映画かと思いきや全くそうではない。あくまでも、ホセ・アリゴーという人物に焦点を当て、彼が病に悩む人々にもたらした奇跡が生み出す感動的なストーリーラインや音楽でつくりあげられる。心霊手術のトリックはすでに明かされているものの、信仰の力によって人々が回復したり、声が聞こえて導かれたようなことは、本当にあったのだろう、と本作を見ていると信じたくもなる。騙されているような、いないような、不思議な気分が残る。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    何者かに憑依されて半狂乱となったホセ・アリゴーは、子宮ガンだという女性の股間をまさぐる。そして血みどろになりながら肉塊を取り出し、病を治してしまう。奇跡だ。そんな冒頭の場面で、後は推して知るべしと悟ったが、実際その後の展開も予想に違わぬ駄作ぶり。車とミシンを車輪を媒介にクロスカッティングさせるという山場にも呆れたが、さらには止まったミシンのスポーク越しに妻の不安な表情を捉えるのには失笑を禁じえなかった。真面目なのか、それともふざけているのか。

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