レッドシューズ(2022)の映画専門家レビュー一覧

レッドシューズ(2022)

「カノン」の雑賀俊朗監督が、地元・北九州オールロケで完成させたヒューマンドラマ。女子ボクシングに打ち込む真名美は、娘と2人暮らし。だがある事故を起こし娘と一緒にいられなくなり、娘を取り戻すためにはファイトマネーを獲得し、生活を立て直すしかなかった。「ぐらんぶる」の朝比奈彩が映画初主演を務め、『おいしい給食』シリーズの市原隼人、「伊藤くん A to E」の佐々木希、「本気のしるし 劇場版」の森崎ウィンが脇を固める。2022年12月9日より北九州先行公開。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「日本映画界、ボクシングが好きすぎ」問題に加えて、主人公が女子ボクシング選手ということで、直近のあの傑作が頭によぎらない人はいない、損な巡り合わせ。真面目に作られた作品ということは伝わってくるのだが、容易に予想がついてしまう展開とクリシェにまみれたセリフの応酬がいかにもしんどい。「ちひろさん」も扱っているシングルマザーの貧困問題だが、そのようなモチーフこそ類型的に描くだけでは感動ポルノと言われても仕方がない。それも感動できればの話だが。

  • 映画評論家

    北川れい子

    ママさんボクサーは負けても勝! にしても、往年の「母もの映画」顔負けの設定と、子どものために闘う女という今ふうのキャラを一つにした本作、狙いはともかく、脚本の粗っぽさには鼻白む。特に前半。女手一つ、ジム通いとバイトで生活が苦しいのはわかるが、子どもが幼稚園で栄養失調で倒れたとか、電気を止められたとか、コンビニの廃棄弁当に手を出そうとするとか、あげく、バイトは次々と失職、警察騒ぎまで。終盤のチャンピオン相手の試合は、演じる朝比奈彩、見違える迫力。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    「ケイコ?目を澄ませて」の洗練や賢明さと逆のしんどさ。しかし嫌いじゃない。主演朝比奈彩はシャドウボクシングはまだしも試合の場面ではちょっと腕だけのパンチに。相手も。すなわち泥試合。しかしそのストレスフルな状態は人生の嫌な感じによく似ている。せんだみつおが演じる、介護士女性の尻を撫でて威張り散らす老人の醜悪。松下由樹演じる姑が、自身がシングルマザーで苦労したからヒロインを抑圧するという地獄。まとめて殴り殺したれ! それだと違う映画になるか。

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