宇宙人のあいつの映画専門家レビュー一覧
-
脚本家、映画監督
井上淳一
「美しい星」かと思うと、そうではない。宇宙的観点などどこにもなく、家族に宇宙人がいる設定があるだけ。土星には家族という概念がないから家族を調べに来たというが、家族について何か新しい考察があるわけでもない。アイデアオチで展開も乏しく、宇宙人の力で妹の恋人を成敗したりとか鰻が喋ったりとかバカらし過ぎて。さくら組もそうだが、こういう大袈裟な勘違い演技を是としている国が他にあるだろうか。お笑いってこういうことなの? 世界に出したら、違う意味で笑われるのでは。
-
日本経済新聞編集委員
古賀重樹
世界が危機に瀕している時代には決まって宇宙人ものが作られる。今もおそらくそうなのだろう。そうとでも考えないと、なぜこんな宇宙人ものを作ろうとしたのかわからない。家族愛の物語にも、奇妙なウナギやジャガイモのキャラクターにも乗れない人には、ただひたすら役者を見ることを勧める。伊藤沙莉と柄本時生がすごくいい。存在感も演技力も抜群で、二人の芝居をずっと目で追っているだけで飽きない。作り込んだドラマより、荒唐無稽なコメディーの方が役者の地力が出る。
-
映画評論家
服部香穂里
何かと厄介事を持ち込む“家族”の面倒くささこそが地球人たるゆえんで、だから愛しくもある。それなのに、記憶の隅っこの過去からしっぺ返しを食らう末っ子や、自己中な彼氏に縛られる長女らの何気なくも根深いトラブルを、意外なところで不器用な宇宙人の特殊能力に頼り易々と解決してしまっては、地球人の名折れでないか。芸達者な演者各々の魅力とキャスティングの妙で、それなりに楽しめるが、家庭劇としての感銘に物足りなさを覚えるのも、その辺に起因するかと思われる。
1 -
3件表示/全3件