映画 めんたいぴりり パンジーの花の映画専門家レビュー一覧

映画 めんたいぴりり パンジーの花

日本で初めて明太子を売り出した『ふくや』創業者の実話を基にした人情ドラマ第2弾。福岡の下町、中洲の一角にある食料品店『ふくのや』。店主の海野俊之と妻・千代子、従業員たちが今日も忙しく働いている。そんな折、ふくのやの店先にタコ焼きの屋台が現れ……。出演は前作に続き、博多華丸、富田靖子、斉藤優。ゲストに「武士の献立」の余貴美子、HKT48の地頭江音々、「小さな恋のうた」の森永悠希を迎え、前作同様、江口カンが監督を務める。2023年6月2日より九州先行公開。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    辛子明太子の老舗「ふくや」の一社提供によってテレビ西日本で放送された連続ドラマの劇場版(2作目)という、特異なバックグラウンドの作品。不意を突かれたのは、ご当地映画の前提であるはずのロケーションにそそられる旅情が、不自然な照明によるセット撮影が多いせいでほとんど感じられないこと。つまり、成り立ちだけでなく仕上がりとしても徹頭徹尾ローカルで内向きな作品なのだ。博多華丸・大吉のネタから大吉のツッコミだけ排除された世界を想像してもらえれば。

  • 映画評論家

    北川れい子

    前作は、昭和30年代という慌ただしい時代の中で、辛子明太子作りに奮闘する主人公夫婦の日々が、人情に笑い、博多祇園山笠などを盛り込んで賑やかに描かれていて、それなりに楽しんだ。がその続篇の本作、めんたいぴりりどころか、ぜんたいゆるる。夫婦を脇に置いたままの取って付けたようなエピソードが並び、舞台となる中洲市場からして市場の関係者以外は見掛けないショボさ。流れの屋台引き・余貴美子のキャラもワル乗りの思わせぶりで、とにかく脚本も演出もいただけない。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    映画版「めんたいぴりり」を観るのは4年ぶり2回目。わざと旧式の、昭和な、フラットなセットをメインにしていながらも、たしかに博多、中洲の空気を出していると感じた。かの地には肉体労働の出張バイトで数日滞在した。博多訛りはポルトガル語のように甘く、ひとは男女ともにチャーミングだった。屋台のラーメンは絶品で、なにか不思議な、取り残されて生じたユートピアのような風土だった。それを謳いあげ、盛り上がるところでは確実に良い画をキメる本作。キライじゃない。

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