PS1 黄金の河の映画専門家レビュー一覧

PS1 黄金の河

1950年に出版され、インドでベストセラーになった歴史小説『Ponniyin Selvan(ポンニ河の息子)』を、70年の時を経て映画化した二部作の第1弾。10世紀、南インドのタミル地方に実在したチョーラ王朝を舞台に、次期国王の座をねらう陰謀を阻止するため、王家の密使となった若く陽気な騎士デーヴァンの壮大な旅を描く。出演は「神さまがくれた娘」のヴィクラム、「ロボット」のアイシュワリヤー・ラーイ、「囚人ディリ」のカールティ。
  • 映画監督

    清原惟

    私の知るこの世とは違う論理で動いているような映画。あまりインド映画を観たことがなく、参照もないなかで個人的な視点でしかなく申し訳ないけれど、私が映画に対して苦手だなと思うところが集合していた。アクションは肝心な部分がカット割りで処理されていておもちゃみたいな感じだし、音楽が終始鳴り続けているせいで全体として単調さが否めない。ギャグなのか真剣なのかもわからない。時代背景的に仕方ないのかもしれないけれど、女性がもの扱いされている感じもしんどさがある。

  • 編集者、映画批評家

    高崎俊夫

    延々と読み終えることのない大河小説を一気読みさせられているような奇妙に倒錯した感覚にとらわれる。一瞬たりとも退屈させてはならぬという至上命題を遵守する語り口にあっけにとられ、ようやく3時間弱で前篇が終了。改めて作り手たちの膨大なるエネルギーに呆然となる。ふと1940年代に栄華をきわめたアレクサンダー・コルダが量産したエキゾチシズム溢れる華麗な歴史絵巻の伝統は、今や歌&ダンス&肉弾戦を繰り広げるボリウッドの大作群にしっかりと転生したのだなと実感する。

  • 映画批評・編集

    渡部幻

    原作小説は70年間にもわたる国民的ベストセラーなのだという。タミル語による冒険映画で、ベテラン監督の職人芸で3時間近くは瞬く間に過ぎていく。歌と踊りは勿論、インディ・ジョーンズ的なアクションには、どこまでも陽気なヒーローと、非現実めいた美女が登場。運命の恋あり、友情もあるが、王位継承をめぐる各人の思惑が入り乱れる歴史の物語は複雑。しかし小説が全5巻2200ページに及ぶと知れば、映画の地面に足を着けた監督の腕を感じさせる。実は第一部で、続篇に続くとは知らずに見ていた。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事