ホウ・シャオシェン ホウシャオシェン

  • 出身地:中国、広東省梅県
  • 生年月日:1947年4月8日

略歴 / Brief history

【台湾映画界のニュー・ウェーブからアジアの名匠へ】中国、広東省梅県で生まれ、1歳の時に家族とともに台湾へ移り、南部の鳳山で少年時代を過ごす。病床にあった父を12歳で亡くし、その6年後、母も喉頭癌で失う。高校時代は母に代わって祖母と弟2人の面倒を見て家事をこなし、この頃までの経験は自作の中でたびたび描かれる。高校卒業後に兵役に就き、この時期に観た映画によって進路を定め、除隊後の1969年、国立芸術学院映画・演劇科に入学。72年に卒業し、セールスマンをしばらくした後、リー・ジン監督「心有千千結」(73)のスクリプターとして映画界に入る。チェン・クンホウ監督作をはじめ多くの映画に助監督、脚本家として携わり、80年「ステキな彼女」で監督デビュー。人気歌手ケニー・ビー主演のアイドル映画3本を手がけた後、初めて自分でキャスティングが許された若手監督3人によるオムニバス映画「坊やの人形」(83)を発表する。同年の「風櫃の少年」とその翌年の「冬冬の夏休み」で、ナント三大陸映画祭グランプリを2年連続で受賞。続く「童年往事 時の流れ」(85)がベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を獲得し、エドワード・ヤンとともに台湾ニュー・ウェーブの代表的存在となる。【世界三大映画祭のすべてを制覇】少年時代を扱った四部作(「風櫃の少年」から「恋恋風塵」)の後、当時の台湾で触れるのはタブーとされていた二・二八事件を扱った「悲情城市」(89)を監督。同作はヴェネチア国際映画祭でグランプリに輝き、93年には「悲情城市」で描かれる以前の台湾を背景とした「戯夢人生」で、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。これによって世界三大映画祭のすべてを制覇し、若くして名匠と呼ばれるに充分の地位を築く。初期のノスタルジックな作品群から台湾現代史を静謐に見つめた中期、近年は詩的な映像で都市の不安や孤独を描き出したものが多く、ベテランとなった現在も自己模倣を避け、スタイルを固定させず旺盛に作品を発表する。日本がらみの仕事も多く、「好男好女」(95)、「憂鬱な楽園」(96)、「フラワーズ・オブ・シャンハイ」(98)の3作は松竹からの出資を得て監督。小津安二郎生誕100 年を記念して製作された「珈琲時光」(03)では、現代の東京を舞台に小津の世界を甦らせることに挑戦し、「ミレニアム・マンボ」(01)、「百年恋歌」(05)にも日本が登場している。

ホウ・シャオシェンの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • オールド・フォックス 11 歳の選択

    制作年: 2023
    ホウ・シャオシェンが製作を務めたヒューマンドラマ。台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエは、いつか自分たちの家と店を手に入れることを夢見ながら、倹約生活を送っていた。そんなある日、リャオジエは“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。出演は「親愛なる君へ」のバイ・ルンイン、「1秒先の彼女」のリウ・グァンティン、「ほつれる」の門脇麦。監督はホウ・シャオシェン作品で助監督を務め、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐシャオ・ヤーチュエン。
  • 我が心の香港 映画監督アン・ホイ

    制作年: 2020
    「客途秋恨」や「女人、四十。」で知られる香港映画の巨匠アン・ホイの実像に迫るドキュメンタリー。慎ましやかな日常生活やエネルギッシュな撮影風景のほか、シルヴィア・チャンなど香港・台湾・中国映画界の重鎮たちが彼女の作品と人柄について語り尽くす。「花様年華」のアート・ディレクターなどを務めたマン・リムチョンの初監督作品。音楽は、ドラマ『あまちゃん』の大友良英。2021年大阪アジアン映画祭オープニング作品、2021年香港電影監督会新人監督賞受賞。
  • 台湾、街かどの人形劇

      制作年: 2018
      台湾の人間国宝である布袋戯の人形遣い・陳錫煌を10年に渡り追ったドキュメンタリー。「戯夢人生」など候孝賢映画の名脇役にして布袋戯の大家・李天禄の長男・陳錫煌は、80歳を超えた今も海外からの弟子も受け入れるなどして布袋戯の継承に尽力している。監督は、「奇蹟的夏天」で金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した揚力州。第11回中国語ドキュメンタリー映画祭長編部門グランプリ受賞。
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    • 台北暮色

      制作年: 2017
      ホウ・シャオシェンの助手を務めた女性監督ホアン・シーのデビュー作。「ジョニーはそこにいますか?」という間違い電話を何度も受ける独り暮らしの女シュー。台北で孤独に生きる3人が出逢い、未来が見えてきたとき、彼女の思いがけない過去が明らかになる。出演は、本作が長編映画初出演となるリマ・ジタン、「カップルズ」のクー・ユールン、「寒蟬效應」のホアン・ユエン。リマ・ジタンが台北映画祭及び金馬奨で最優秀新人賞、ホアン・ユエンが台北映画祭最優秀助演男優賞を受賞。「アジアシネマ的感性」 「アジアシネマ的感性」2024年8/23~9/5シモキタエキマエシネマK2にて上映
    • 日常対話

        制作年: 2016
        台湾の女性監督が自ら家族を撮影したドキュメンタリー。葬式陣頭を営むアヌは夫の暴力から身を守るため、幼いチェンとその妹を連れて家を飛び出した。チェンは「女性が好きな女性」として奔放に振る舞うアヌへの不信感を募らせ、母娘関係は冷え切ってしまう。製作総指揮は、「黒衣の刺客」のホウ・シャオシェン。第67回ベルリン国際映画祭パノラマ部門テディ賞受賞、第19回台北映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞、第90回アカデミー賞外国映画賞台湾代表作品。
      • 黒衣の刺客

        制作年: 2015
        「悲情城市」のホウ・シャオシェン監督が手掛けた初の武侠映画。出演は「西遊記 はじまりのはじまり」のスー・チー、「グランド・マスター」のチャン・チェン、「バンクーバーの朝日」の妻夫木聡。日本公開版には、「許されざる者」(13)の忽那汐里の出演シーンも含まれる。2015年のカンヌ国際映画祭監督賞受賞作。
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