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- 鷲尾真知子
略歴 / Brief history
神奈川県の生まれ。私立精華学園高等部を卒業後、1969年から89年まで劇団NLTに所属し、数多くの舞台に出演。80年代より映像方面へも活動の場を広げ、森田芳光監督の劇場映画デビュー作「の・ようなもの」81の、超ローカルなケーブルテレビ局のディレクター役で映画初出演する。以後も女優業を続ける傍ら、フジテレビの人気アニメーション『うる星やつら』81~86のミステリアスな美女・サクラ役などで、声優としても活躍。同作で組んだ押井守監督が手がけた初の実写映画で、近未来が舞台の哲学的なファンタジー「紅い眼鏡」87では、警察が組織する特殊部隊のかつての同僚との再会にさまざまな思いが去来するヒロインを熱演した。その後も、熊澤尚人監督「虹の女神/Rainbow Song」06での年齢詐称していた女の母親や、三木聡監督「転々」07の愛玉子店の店主、犬童一心監督「グーグーだって猫である」08の怪しげな占い師など、メインストーリーに直接絡むことはなくとも、ワンポイントの出演で強烈なインパクトを与えるような名バイプレイヤーとして、数々の作品で独特の存在感を発揮する。テレビドラマでも、NHK『御宿かわせみ』03~05の女中頭や、フジテレビ『あなたの隣りに誰かいる』03の高圧的な自治会長、『鹿男あをによし』08の事情通な下宿先の女将から、『フリーター、家を買う。』10の教育熱心で口うるさい姑まで、ひと癖ある多彩な役柄を数多く演じる。とりわけ、2003年よりスタートしたフジテレビのスーパー時代劇『大奥』シリーズでは、山口香緒里、久保田磨希とともにコメディリリーフ的な奥女中トリオを演じ、愛憎入り混じるドロドロした時代絵巻における一服の清涼剤のような役回りで人気を博した。同シリーズの映画版、舞台版でも、ともに同じ役を演じている。また、舞台にも精力的に出演を続け、『から騒ぎ』『真夏の夜の夢』『キル』『半神』などの野田秀樹、『近代能楽集・弱法師』などの蜷川幸雄、『阿国』の栗山民也など、名演出家に信頼される実力派の舞台女優として活躍している。
鷲尾真知子の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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おらおらでひとりいぐも
制作年: 2020第158回芥川賞・第54回文藝賞を受賞した若竹千佐子の同名小説を、「モリのいる場所」の沖田修一監督が映画化したユーモア溢れる人間ドラマ。突然夫に先立たれひとり退屈な日々を過ごす75歳の桃子の前に、桃子の心の声を具現化した “寂しさ”たちが現れる。ひとり暮らしの桃子を「いつか読書する日」以来の映画主演となる田中裕子が、若い頃の桃子を「長いお別れ」の蒼井優が、桃子の心の声である“寂しさ”たちを濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎が演じる。また桃子のイマジネーションを美術家・日本画家の四宮義俊がアニメーションで、「関ヶ原」など数々の作品のVFXスーパーバイザーを務めるオダイッセイがVFXで描く。92点