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略歴 / Brief history
【日本を代表する“世界のクロサワ”】東京都生まれ。1928年、神田の京華中学を卒業。当時から画家を目指し、18歳で二科展に入選している。36年、自立のためP.C.Lに助監督として入社。同年、P.C.Lが東宝と合併、主に山本嘉次郎につき、「綴方教室」「馬」などでチーフとなる。43年、「姿三四郎」で監督デビュー。戦後は「わが青春に悔なし」(46)、「素晴らしき日曜日」(47)に続いて「酔いどれ天使」(48)では酔いどれ医師とやくざとの交流を描き、キネマ旬報ベスト・テン1位。「野良犬」(49)では拳銃を盗まれた若手刑事と相棒のベテラン刑事を描く。50年には「羅生門」を発表。芥川龍之介の『藪の中』の映画化で、強盗事件をめぐる異なる四人の証言を描き、その映像のダイナミズムが、ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞し“世界のクロサワ”と讃えられる。ドストエフスキー原作の「白痴」(51)、そして「生きる」(52)を撮る。癌による死期を自覚した下級役人が最期に公園を作る姿を描く。これもキネ旬ベスト・テン1位。そして「七人の侍」(54)。1年近くの製作期間をかけて、侍と野武士の戦いを壮大なスケールとアクションで描き、日本映画史上に輝く傑作となった。【日本から世界へ飛躍!】その後、原水爆の恐怖を題在にした「生きものの記録」(55)、シェークスピアの『マクベス』の映画化「蜘蛛巣城」(57)を監督。娯楽アクション「隠し砦の三悪人」(58)の完成後には黒澤プロを立ち上げ、以降、「赤ひげ」まで東宝との共同製作となる。その第1作は政治サスペンス「悪い奴ほどよく眠る」(60)。やくざ同士の抗争に浪人をからませた娯楽時代劇「用心棒」(61)、その続編ともいえる「椿三十郎」(62)と立て続けに大ヒットを記録。誘拐事件を描いたミステリー「天国と地獄」(63)、小石川療養所を舞台にしたヒューマン・ドラマ「赤ひげ」(65)など、黒澤の卓越した映像感覚はひとつの頂点を迎えるのである。このあたりで黒澤のスケールは日本映画の枠を超えて海外へ広がることになる。しかし「暴走機関車」「トラ・トラ・トラ!」と続けて頓挫。70年、木下惠介、市川崑、小林正樹と“四旗の会”を結成、「どですかでん」(70)を撮る。そして、ソ連に招かれた「デルス・ウザーラ」(75)ではアカデミー賞外国語映画賞を、フランシルーカスが海外版の製作を買ってでた「影武者」(80)ではカンヌ映画祭グランプリを受賞した。以降、シェークスピアの『リア王』を映画化した「乱」(85)、「夢」ス・フォード・コッポラ、ジョージ・(90)、「八月の狂ラプソディー詩曲」(91)、そして遺作となった「まあだだよ」(93)まで、“世界のクロサワ”は走り続けたのである。
黒澤明の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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生きる LIVING
制作年: 2022黒澤明が1952年に監督し、キネマ旬報ベスト・テン1位に輝いた「生きる」を原作に、ノーベル賞作家カズオ・イシグロが、舞台を第二次世界大戦後のイギリスに移して新たに脚本を書いたヒューマン・ムービー。監督には2011年に「Beauty」(原題)でカンヌ国際映画祭のクィア・パルムを受賞したオリヴァー・ハーマナスが抜擢された。志村喬が演じた死期迫る市民課長の渡辺は、イギリスの名優ビル・ナイによって折り目正しい英国紳士のウィリアムズとなった。その抑制された演技は高く評価され、第95回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされている。70点 -
隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS
制作年: 2008黒澤明の名作映画を、「ローレライ」「日本沈没」の樋口真嗣が現代的な感覚でリメイク。戦国時代を舞台に、抑圧された民たちと没落した国の再興を目指す姫の闘争と恋が描かれる活劇エンターテインメント。出演者は、「僕は妹に恋をする」の松本潤、「世界の中心で、愛をさけぶ」の長澤まさみ、「チーム・バチスタの栄光」の阿部寛。黒澤版の脚本をもとに『劇団☆新感線』の中島かずきが脚色。 -
椿三十郎(2007)
制作年: 2007黒澤明監督の1962年の同名時代劇をリメイク。浪人・椿三十郎が、上級役人の巨悪を暴こうとする若侍たちを助ける様を痛快に描く。原作は山本周五郎の小説『日日平安』。出演は「県庁の星」の織田裕二、「犯人に告ぐ」の豊川悦司、「デス・ノートの松山ケンイチ。監督は「サウスバウンド」の森田芳光。