記事
「はから始まるもの」の検索結果
(50件)
-
〈現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑〉開催。18名の映画作家の推薦作は?
2022年9月16日ミニシアターの呼称で親しまれてきた〈アートハウス〉に新たな観客を呼び込むため、コロナ禍真っ只中の2021年1月に始まった〈現代アートハウス入門〉。その第3弾企画となる巡回上映〈現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑〉が、10月22日(土)よりユーロスペースほかで順次開催される。併せて気鋭の映画作家18名に向けて行われたアンケートの回答が公開された。 近年、日本のアートハウスのプログラムにおいて大きな比重を占めるようになった“ドキュメンタリーと呼ばれる方法で作られた映画”にフォーカスする本企画。18名の映画作家に向けて、 Q1 若く新しい観客に映画の魅力を伝えるために5本の“ドキュメンタリー映画”を観せるとしたら、どんな作品をセレクトしますか? Q2 その理由を800文字から1,200文字程度でお書きください。 というアンケートを投げかけ、挙げられたタイトル群より7作を上映する。ラインナップは9月下旬頃に決定・発表される予定。 Q1に対する各者の回答は以下の通り(※五十音順、敬称略)。ネオクラシックと言いうる傑作からモキュメンタリーまで、多様な方法と視点の作品が出揃った。なお、Q2への回答は現代アートハウス入門の公式サイトで掲載される。 入江悠(映画監督) ・フープ・ドリームス(監督:スティーヴ・ジェームズ|1994年) ・映画は戦場だ 深作欣二in『バトル・ロワイアル』(演出・構成:浦谷年良|2001年) ・東京裁判(監督:小林正樹|1983年) ・ゆきゆきて、神軍(監督:原一男|1987年) ・コレクティブ 国家の嘘(監督:アレクサンダー・ナナウ|2019年) 小川紗良(俳優・映画作家) ・隣る人(監督:刀川和也|2011年) ・沈没家族 劇場版(監督:加納土|2018年) ・さとにきたらええやん(監督:重江良樹|2015年) ・人生フルーツ(監督:伏原健之|2016年) ・ゆきゆきて、神軍(監督:原一男|1987年) 小田香(映画作家) ・マルメロの陽光(監督:ビクトル・エリセ|1992年) ・あの家は黒い(監督:フォルーグ・ファッロフザード|1962年 ) ・Palms(Ladoni)(監督:Artur Aristakisyan|1994年) ・おてんとうさまがほしい(撮影・照明:渡辺生、構成・編集:佐藤真|1994年) ・忘れられた皇軍(監督:大島渚|1963年) 草野なつか(映画作家) ・1000年刻みの日時計 牧野村物語(監督:小川紳介|1986年) ・SELF AND OTHERS(監督:佐藤真|2000年) ・ヴァルパライソにて…(監督:ヨリス・イヴェンス|1963年) ・ミュールハイム(ルール)(監督:ぺーター・ネストラー|1964年) ・書かれた顔(監督:ダニエル・シュミット|1995年) 小森はるか(映像作家) ・阿賀に生きる(監督:佐藤真|1992年) ・草とり草紙(監督:福田克彦|1985年) ・そっちやない、こっちや コミュニティ・ケアへの道(監督:柳澤壽男|1982年) ・ルイジアナ物語(監督:ロバート・フラハティ|1948年) ・アマチュア(監督:クシシュトフ・キェシロフスキ|1979年) 島田隆一(映画監督) ・ぼくの好きな先生(監督:ニコラ・フィリベール|2002年) ・宝島(監督:ギョーム・ブラック|2018年) ・トランスニストラ(監督:アンナ・イボーン|2019年) ・トトとふたりの姉(監督:アレクサンダー・ナナウ|2014年) ・ダゲール街の人々(監督:アニエス・ヴァルダ|1975年) 白石晃士(映画監督) ・光と闇の伝説 コリン・マッケンジー(監督:ピーター・ジャクソン、コスタ・ボーテス|1995年) ・スパイナル・タップ(監督:ロブ・ライナー|1984年) ・ノロイ(監督:白石晃士|2005年) ・オカルト(監督:白石晃士|2008年) ・ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録(監督:ファックス・バー、ジョージ・ヒッケンルーパー、エレノア・コッポラ|1991年) 瀬田なつき(映画監督) ・三姉妹~雲南の子(監督:ワン・ビン|2012年) ・音のない世界で(監督:ニコラ・フィリベール|1992年) ・100人の子供たちが列車を待っている(監督:イグナシオ・アグエロ|1988年) ・少年裁判所(監督:フレデリック・ワイズマン|1973年) ・教室の子供たち 学習指導への道(監督:羽仁進|1954年) 想田和弘(映画作家) ・Forever(監督:エディ・ホニグマン|2006年) ・In Comparison(監督:ハルーン・ファロッキ|2009年) ・My Name Is Salt(監督:ファリーダ・パチャ|2013年) ・Los Reyes(監督:Bettina Perut & Ivan Osnovikoff|2018年) ・Ostrov – Lost Island(監督:Svetlana Rodina & Laurent Stoop|2021年) 富田克也(映画監督) ・旅するパオジャンフー(監督:柳町光男|1995年) or ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR(監督:柳町光男|1976年) ・山谷 やられたらやりかえせ(監督:佐藤満男、山岡強一|1985年) ・1000年刻みの日時計 牧野村物語(監督:小川紳介|1986年) or どっこい!人間節 寿・自由労働者の街(構成:小川紳介|1975年) ・忘れられた皇軍(監督:大島渚|1963年) ・からゆきさん(監督:今村昌平|1973年) 広瀬奈々子(映画監督) ・マルメロの陽光(監督:ビクトル・エリセ|1992年) ・圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録(監督:小川紳介|1967年) ・FAKE(監督:森達也|2016年) ・物語る私たち(監督:サラ・ポーリー|2012年) ・人間ピラミッド(監督:ジャン・ルーシュ|1961年) 深田晃司(映画監督) ・メキシコ万歳(監督:セルゲイ・エイゼイシュテイン、グリゴリー・アレクサンドロフ|1932、1979年) ・動物園(監督:フレデリック・ワイズマン|1993年) ・セザンヌ(監督:ストローブ=ユイレ|1989年) ・花子(監督:佐藤真|2001年) ・快適な生活(監督:ニック・パーク|1989年) 藤元明緒(映画監督) ・ヴァンダの部屋(監督:ペドロ・コスタ|2000年) ・マルメロの陽光(監督:ビクトル・エリセ|1992年) ・ドキュメンタリー映画100万回生きたねこ(監督:小谷忠典|2012年) ・三姉妹~雲南の子(監督:ワン・ビン|2012年) ・ミッドナイト・トラベラー(監督:ハッサン・ファジリ|2019年) 甫木元空(映画監督) ・路地へ 中上健次の残したフィルム(監督:青山真治|2000年) ・ヴァンダの部屋(監督:ペドロ・コスタ|2000年) ・SELF AND OTHERS(監督:佐藤真|2000年) ・書かれた顔(監督:ダニエル・シュミット|1995年) ・ワン・プラス・ワン(監督:ジャン=リュック・ゴダール|1968年) 松林要樹(映画監督) ・My Name Is Salt(監督:ファリーダ・パチャ|2013年) ・Vivan las Antipodas(監督:ヴィクトル・コサコフスキー|2011年) ・コヤニスカッティ/平衡を失った世界(監督:ゴッドフリー・レッジョ|1982年) ・これがロシヤだ/カメラを持った男(監督:ジガ・ヴェルトフ|1929年) ・アンダルシアの犬(監督:ルイス・ブニュエル、サルバドール・ダリ|1928年) 三宅唱(映画監督) ・アウトレイジ 最終章(監督:北野武|2017年) ・百年恋歌(監督:侯孝賢|2005年) ・6才のボクが、大人になるまで。(監督:リチャード・リンクレイター|2014年) ・ハドソン川の奇跡(監督:クリント・イーストウッド|2016年) ・エリ・エリ・レマ・サバクタニ(監督:青山真治|2005年) 山中瑶子(映画監督) ・マルメロの陽光(監督:ビクトル・エリセ|1992年) ・アヒルの子(監督:小野さやか|2005年) ・東京干潟(監督:村上浩康|2019年) ・グレイ・ガーデンズ(監督:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス、エレン・ホド、マフィー・メイヤー|1975年) ・セルロイド・クローゼット(監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン|1995年) 横浜聡子(映画監督) ・イヨマンテ 熊おくり(監督:姫田忠義|1977年) ・教室の子供たち 学習指導への道(監督:羽仁進|1954年) ・絵を描く子どもたち 児童画を理解するために(監督:羽仁進|1956年) ・モアナ 南海の歓喜(監督:ロバート・フラハティ|1926、1980、2014年) ・ダゲール街の人々(監督:アニエス・ヴァルダ|1975年) ・グレイ・ガーデンズ(監督:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス、エレン・ホド、マフィー・メイヤー|1975年) 〈現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑〉 企画・運営:東風 企画協力:ユーロスペース 技術協力・予告篇制作:restafilms WEB制作:坂元純(月光堂) デザイン:loneliness books 文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業 ©2022AHG https://arthouse-guide.jp/ -
ベネディクト・カンバーバッチが伝説のネコ画家に。「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」
2022年9月16日19世紀末から20世紀にかけてイギリスで大人気を博した “ネコ画家” ルイス・ウェインの人生を、ベネディクト・カンバーバッチ主演で描いた「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」が、12月1日(木)よりTOHOシネマズ シャンテほかで全国公開。場面写真が到着した。 当時はネズミ退治役として軽んじられるか不吉な存在として恐れられていたネコの魅力を“発見”し、夏目漱石にインスピレーションを与え、SFの巨匠H・G・ウェルズに「ルイス・ウェインは独自の猫を発明した」と称賛されたイラストレーターのルイス・ウェイン。その人生には、深い愛で彼を生涯守り続けた妻エミリーと、親友にして人生の師であるネコのピーターとの物語があった──。 ベネディクト・カンバーバッチが不器用でピュアでお茶目な天才ルイスに扮し、「ファースト・マン」『ザ・クラウン』のクレア・フォイがエミリー役で共演。ネコのピーターを、年齢に応じて3匹のネコが演じ分けている。 さらに「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のアンドレア・ライズボロー、「裏切りのサーカス」のトビー・ジョーンズ、「わたしは、ダニエル・ブレイク」のヘイリー・スクワイアーズが脇を固め、「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ監督とミュージシャンのニック・ケイヴも意外な役柄で登場。そして「女王陛下のお気に入り」のオスカー女優オリヴィア・コールマンがナレーションを担当する。 監督は、俳優としても活躍する日系イギリス人のウィル・シャープ。エレガントな衣装を手掛けたのは、「ある公爵夫人の生涯」でオスカーを獲得したマイケル・オコナー。 たとえ命が尽きても、愛は残された者と共に生き続けると信じさせてくれる、優しくも温かな物語に期待したい。 Story イギリスの上流階級に生まれたルイス・ウェインは、父亡き後に一家を支えるため、ロンドンニュース紙でイラストレーターとして活躍する。やがて、妹の家庭教師エミリーと恋に落ちたルイスは、身分違いだと大反対する周囲の声を押し切って結婚するが、まもなくエミリーは末期ガンを宣告される。庭に迷い込んだ子猫をピーターと名づけ、その姿をエミリーのために描き始めるルイス。深い絆で結ばれた“3人”は、残された日々を慈しむように大切に過ごしていくが、ついにエミリーがこの世を去る日が訪れる。ルイスはピーターを心の友とし、ネコの絵を猛然と描き続けて大成功を手にする。そして、「どんなに悲しくても描き続けて」というエミリーの言葉の本当の意味を知る──。 「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」 出演:ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ、アンドレア・ライズボロー、トビー・ジョーンズ、オリヴィア・コールマン(ナレーション) 監督・脚本:ウィル・シャープ 原案・脚本:サイモン・スティーブンソン 2021年/イギリス/英語/111分/カラー/スタンダード/5.1ch/G/原題:The Electrical Life of Louis Wain/字幕翻訳:岩辺いずみ 提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ ©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 公式Twitter:@louis_wain_film 公式HP:louis-wain.jp -
直木賞作家・島本理生が顔にアザのある女性を主人公に綴った恋愛小説を、監督・安川有果 × 脚本・城定秀夫で、松井玲奈と中島歩の共演により映画化した「よだかの片想い」が、9月16日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国公開。俳優の倍賞千恵子、映画監督の奥田裕介、映画評論家の森直人、太田母斑の主人公を描く漫画『青に、ふれる。』の作者・鈴木望ら著名人のコメント、ならびにmajoccoと秋鹿えいとのイラストが到着した。 [caption id="attachment_15975" align="alignnone" width="660"] ▲majoccoイラスト[/caption] [caption id="attachment_15976" align="alignnone" width="660"] ▲秋鹿えいとイラスト[/caption] 理系大学生の前田アイコ(松井玲奈)は、顔の左側のアザを幼い頃にからかわれた辛い経験から、恋や遊びに消極的だった。だが取材を受けた「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本が話題となり、状況は一変。本の映画化の話が進み、友人の編集者・まりえの紹介で、監督の飛坂逢太(中島歩)と出会う。そして、初めは映画化を断っていたが、話すうちに彼の人柄に惹かれていく。飛坂への片想いを自覚し、不器用に距離を縮めていくアイコ。しかし、飛坂の元恋人の存在、さらに飛坂は映画のために自分に近づいたという疑心暗鬼が、彼女の恋と人生を大きく変えていく……。 各者コメントは以下(※50音順・敬称略)。 青柳美帆子(ライター) 島本理生の生み出した、恋でぼろぼろに傷つき、恋で自分を知る女の子。むずかしい恋だとわかっていても、飛び込まずにはいられない。松井玲奈が浮かび上がらせたアイコの輪郭を、安川有果は光の中に映していく。 秋鹿えいと(漫画家) イラスト寄稿 池田園子(株式会社プレスラボ代表取締役) 踏み出すのが怖い、という感情を持つのは自然なこと。でも、一歩進んでみれば違う世界が見えてくる。アイコがときに涙を流しながらも、しなやかな強さを宿して踊る様は、観る者の背中を優しく押してくれる。 奥田裕介(映画監督) 「女性監督ならではの視点」なんて野暮な言葉だ。安川有果という監督が捉える感情には、心の芯を震わす力があり、繊細さに寄り添う姿勢はいつしか攻撃的な気味悪さに変わっている。登場人物たちが「二本の足で立つ」その瞬間が描かれている。それがどうにもこうにも美しかった。カッコよかった。絶対に映画館で観届けて欲しい。 太田尚樹(LGBTエンタメサイト「やる気あり美」編集長) 光を教えてくれるのが闇であるように、マイノリティという経験は「ない方がよかったが、あってよかった」と私にいつも思わせる。きっと、アイコの闇は消えない。だがそれは、アイコのそばに光がこれからありつづけることを意味している。ラストシーンのかがやきは、彼女の美しさそのものだった。 苅部太郎(写真家) 人間の目は全ての光を見ることができない。紫外線や赤外線などをのぞく、ごく限られた可視域の世 界の中でさえ、どれほど自分は「見えているのか」。そのことに気づかせてくれる、鏡のような物語。 神崎メリ(恋愛コラムニスト) ざらざらのカカトを軽石で擦って磨き上げるように、切ない恋は少女をオトナへと磨き上げてくれる…。 「おクズ様は女の人生の軽石ですなぁ」と心を前向きにしてくれるステキな映画でした。 神原由佳(アルビノ当事者) きれいな俳優が「顔にアザのある女性」を演じる事に期待と不安がありました。主人公アイコは恋に臆病で、だけど好きという気持ちにまっすぐな強い女性です。私も、一方的な視線を向けられるのではなく、真剣に誰かと向き合う恋がしたいと思いました。 北村紗衣(研究者) 赤の他人のインスピレーションの源になるというのはわくわくするような体験でもあり、とてもつらい体験でもあります。この映画は、そうした経験を芸術作品のモデルになる人の視点から繊細なタッチで描いています 児玉美月(映画執筆家) この映画は「ありのままの自分を愛そう」と声高に謳わない。こんなに傷つけられてしまう恋愛ばかりのこの世界で、否応なくルッキズムに縛られてしまうこの世界で、「ありのままの自分」が脆弱な存在になりえるこの世界で、そんなメッセージはときに、欺瞞の響きを伴いさえするだろう。安川有果はひとりの女性の〈片想い〉に、多くの〈想い〉を込めた。ひとつのドラマを跳び越えて、そこには映画作家として、映画が内包してきてしまった非対称性や暴力への自覚的な意思表明も含まれている。シスターフッドを伴奏にして見えない羽根を揺らす女性たちの舞いが途切れるその瞬間まで、眩く切実な〈想い〉のすべてを決して取り零してはいけない。 下村健一(ジャーナリスト) 好奇の目より、それを叱る言葉の方が痛いとか。「びわ湖」が刺さる とか。当事者の多様なリアルが細やかに織り込まれ、観る者の傍らに“気づき”をそっと置いていってくれる。決して押し付けることなく。 鈴木望(『青に、ふれる。』漫画家) 誰かと深く関わりたいと思った時、より深く見つめるのは自分の内面なのだ…と、どんどん表情が変わっていくアイコと一緒に、感情のジェットコースターに乗っている気分でした。 観終わった後は温かな気持ち。 素敵な気持ちでした。 沢山の方に届いてほしい作品です。 外川浩子(NPO法人マイフェイス・マイスタイル代表) 「“見た目”と正直に向きあえば、人生の次の扉が開かれる。」 アイコを通して、誰もがそう実感できる映画です。 西森路代(ライター) かすか不安や、かすかな疑い、その積み重ねによって得られる、ともすれば切り落とされてしまいそうな細やかな感情のひとつひとつが伝わってくる。そんな映画でした。 倍賞千恵子(俳優) じんわりとしみ込んできて心の中にソット足音を残されたような気がしました。世の中には白黒をつける事が出来ない事がある中彼女が生きている様がよかった。そして周りで生きている俳優さん達の無理のない居方心地がよかった。安川さん鎌倉の上映会で会えて良かったね。映画を愛してくれてありがとう。 はらだ有彩(文筆家) 「マイノリティ性」を通して当事者が世界を見ることと、世界がマイノリティ性を通して当事者を見ること。カタルシスに他者が踏み入るときの足跡、その足跡の粗さ、それでもあなたが居心地のいい場所を選ぼうと思えるなら。 真魚八重子(映画評論家) 控えめに生きてきた瓜実顔の女は、曖昧な恋愛に揺らぎ、愛するゆえの孤独を感じる。それは自然な感情だ。凛として乱れる前にみずからをとどめる強さ。ラストの夕陽を指した彼女の姿は、美しくて走馬燈に現れそうだ。 majocco(イラストレーター) *イラスト寄稿 「でも、美人でしょう」 「でも、頭がいいのでしょう」 「でも、お金があるのでしょう」 「でも、家族に恵まれているのでしょう」 「でも、あなたは主人公になるのでしょう」 「でも、顔にアザがあるでしょう」 「でも」の全部を無視できればいいのに。 アイコの心、選んで産み出した光のことだけ大好きになりたい。それは誰にもできない。 選べなかった全てと、選んできた全てには関係があるから。 「でも」「だから」みたいな、 すべてをひっくるめて人を大好きになったり、 大嫌いになったりすることしかできないなと感じる映画でした。 水野敬也(作家/「顔ニモマケズ」著者) 開始13分で主人公のアイコ(松井玲奈)と一緒に号泣し、そのあとも数えきれないくらい泣かされたけれど、ただの感動作ではなくすべての個人を悩みから解放する作品で、とか色々言ってきたけれど、めっちゃ好き。めちゃくちゃ好きな映画でした。 森直人(映画評論家) 増村保造からセリーヌ・シアマの遙か先まで走っていく怒涛の100分。クラシックな恋愛映画の濃密さに、ルッキズム、当事者と演技、表現の加害性など、あらゆる現代の問題提起がぶち込まれて、全く新しい映画に変容する。これが僕の今年のベストワンです。 ロックバンド「騒音寺」Vocal Nabe 数年前、当事者の方々の交流会で演奏し、短いながら皆と話をしてみると、皆が「想像以上に」明るい事に驚いた。差別区別のない私だと思っていたのだが「想像以上に」という感覚を私は恥じた。これこそ見た目を差別してきた感覚だったからだ。映画を見たあとあの頃の私の恥ずかしさが思い起こされた。誰も当事者本人にはなれないが、この映画を機に少しずつあなたの「見る目」が変わればいい。以前の私のように。人は仕事もするし恋もする。あなたも当事者も同じ社会に立っている。とても美しい映画をありがとう! ©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会 配給:ラビットハウス ▶︎ 松井玲奈がアザのあるヒロイン。島本理生原作「よだかの片想い」の本予告&ビジュアル到着
-
絶体絶命の一夜を94分ワンショットで追う犯罪劇「ナイトライド 時間は嗤う」
2022年9月15日裏社会から足を洗おうと最後の賭けに出たドラッグ・ディーラーが、真夜中の北アイルランド・ベルファストを奔走する姿を、94分ワンショットで描いたクライム・スリラー「ナイトライド 時間は嗤う」が、11月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかで全国公開。ポスタービジュアルが解禁された。 長編デビュー作が英国アカデミー賞新人賞ノミネートを始め数々の映画賞に輝く、北アイルランド出身の俊英スティーヴン・フィングルトン監督のもと、ロックダウン下のベルファストで、1日11時間のリハーサルを1週間重ねた末、6晩で全6テイクを撮り上げた本作。主演のモー・ダンフォードは、アイルランドのアカデミー賞と評されるIFTA映画&ドラマ賞で最優秀主演男優賞に輝いた。 ポスタービジュアルは、背後から銃を突きつけられて命運尽きたかのような主人公バッジを据えた緊迫感溢れるデザイン。予測不能の犯罪劇を予感させる。 Story ドラッグ・ディーラーのバッジは、恋人ソフィアと共に裏社会から足を洗おうと最後の大口取引を画策。ウクライナ人プッシャーから50キロのブツを仕入れ、倍の値段で売り抜けるのだ。そのために、裏社会で一目置かれる闇金のジョーから10万ポンドを借りるはめになるが、売り先も確保してすべては順調に思えた。しかし、弟分のヘマからブツを積んだバンを何者かに奪われ、買い手にも逃げられてしまう。借金の返済日が迫り、絶体絶命のバッジ。一方で事情を知ったジョーは、バッジを消そうとすでに手下を仕向けていた……。 「ナイトライド 時間は嗤う」 監督:スティーヴン・フィングルトン 脚本:ベン・コンウェイ 出演:モー・ダンフォード、ジョアナ・リベイロ、ジェラルド・ジョーダン 2021年/イギリス、フランス、アメリカ/英語/97分/カラー/スコープサイズ/原題:NIGHTRIDE/日本語字幕:宇治田智子 提供:ミッドシップ、コムストック・グループ 配給:ミッドシップ 協力:コムストック・グループ ©2021 NIGHTRIDE SPV LTD http://mid-ship.co.jp/nightride/ -
チャイ売りから映画監督へ。実話から生まれた感動作「エンドロールのつづき」
2022年9月15日チャイ売りの少年が映画と出会い、やがて世界で活躍する映画監督になる──。パン・ナリン監督自身の実話を映画化し、トライベッカ映画祭をはじめ各国映画祭で観客賞5冠、さらにバリャドリード国際映画祭でゴールデンスパイク賞(最高賞)に輝いた「エンドロールのつづき」が、2023年1月20日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開される。30秒特報とポスタービジュアルが到着した。 インドの田舎町で、9歳のサマイは学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。厳格な父は映画を低劣だと思っているが、信仰するカーリー女神の映画だけは特別視し、家族で街へ鑑賞に出かける。人で溢れ返った映画館の席に着くと、目に飛び込んだのは後方からスクリーンへ伸びる一筋の光──。そこにはサマイが初めて見る世界が広がっていた。映画にすっかり魅了されたサマイは、再び映画館に忍び込むが、チケット代が払えずつまみ出されてしまう。それを見た映写技師のファザルは、料理上手なサマイの母が作る弁当と引換えに、映写室から映画を見せるとサマイに提案。こうしてサマイの映画漬けの日々が始まり、色とりどりの作品群に圧倒された彼は、いつしか「映画を作りたい」と夢見るように──。 主人公のサマイを、3,000人から選ばれたバヴィン・ラバリが好演。インド出身で今や国を超えて活躍するパン・ナリン監督が、リュミエール兄弟やスタンリー・キューブリックなど敬愛する巨匠へのオマージュをちりばめながら、ごった返す映画館、スパイスたっぷりの手料理、陽気な音楽とダンスといったどこか懐かしいインドを魅力的に描き出す。「これは現代版“ニュー・シネマ・パラダイス”だ」(UNDER THE RADAR)というレビューも寄せられた。 特報ではチャイを売っているキュートなサマイが登場。「父さんのような負け犬になるなよ」と言われた彼が、やがて映画と恋に落ちていく姿を追う。 「エンドロールのつづき」 監督・脚本:パン・ナリン 出演:バヴィン・ラバリ 2021年/インド・フランス/グジャラート語/112分/スコープ/カラー/5.1ch/英題:Last Film Show 日本語字幕:福永詩乃 G 応援:インド大使館 配給:松竹 ALL RIGHTS RESERVED ©2022. CHHELLO SHOW LLP 公式HP:movies.shochiku.co.jp/endroll