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  • 世界で称賛された「ドライブ・マイ・カー」、メイキング映像で明かされる濱口監督の演出力 2021年、「ドライブ・マイ・カー」はカンヌ国際映画祭で脚本賞ほか4賞に輝いた。その後もシカゴ国際映画祭や全米映画批評家協会などで受賞、今年に入ってからはゴールデン・グローブ非英語部門で最優秀賞を獲得。主要メディアからは「静謐な傑作」(ニューヨーク・タイムズ)、「罪悪感と告白についての圧倒的に優れた、力強い物語」(ニューヨーカー)といった評価が続いた。そして、アカデミー賞ノミネート作品が先日発表され、国際長編映画賞と、作品賞にダブルノミネートされた。これは2019年の「パラサイト 半地下の家族」、1998年の「ライフ・イズ・ビューティフル」など過去7例しかない快挙となる。 秘密を抱えたままこの世を去ってしまった妻・音(霧島れいか)と、舞台俳優/演出家の残された夫・家福(西島秀俊)。家福は演劇祭で『ワーニャ伯父さん』を上演するべく広島へ移り、そこで運転手の渡利(三浦透子)と出会う――。同作の主要なシークエンスは鮮やかな赤のサーブ900内での〝会話〟で構成され、しばしば車に乗り込んだ家福と音、渡利や高槻(岡田将生)それぞれが相手の話を〝聞く〟姿そのものがスクリーンに映し出される。家福は移動中、つねに亡き妻の声に耳を傾けている。『ワシントン・ポスト』掲載の批評において、マイケル・オサリヴァンは同作を「〝聞くこと〟そして相手をしっかりと見つめることについての物語」であるとして、「観る者にも〝聞くこと〟を求める」作品と評した。〝聞くこと〟は人を癒すこともあれば、ときに恐ろしいまでに人を変貌させてしまうこともある。 濱口演出についての役者サイドからの証言 「ドライブ・マイ・カー」を貫通するのは抑制的な会話だが、しかし、それでいて同作には濱口の敬愛するジョン・カサヴェテスがフィルムにとらまえたような感情の蠢きが記録されている。2月18日に発売となるBlu-ray&DVDの「Blu-rayコレクターズ・エディション」のみに付されたおよそ2時間におよぶメイキング「DOWN THE ROAD The Making of “DRIVE MY CAR”」では、その演出の一端に触れることができる。作中、原作にはない稽古場での演技指導のシークエンスにおいて独特な「本読み」が登場する。これは濱口が「ハッピーアワー」(15)以降、自身の方法論として結実させつつあるメソッドの一部であり、その点で「ドライブ・マイ・カー」は〝メタ濱口作品〟でもある。長大なフッテージから構成されたメイキングは、濱口演出についての役者サイドからの証言であり、そこから窺えるのは厳格な本読みの運用や、問答形式のサブテクストによる役者たちの変化の一端だ。 たとえば、チャンを演じたソニア・ユアンはこれまで演じることにつきまとってきた「相手の台詞を聞くこと」の困難を打ち明ける。台詞に慣れ過ぎてしまうと、台詞は〝ただの台詞〟になり、相手が発する言葉の意味やそこに流れる感情に注意を払わなくなってしまう。『ジャン・ルノワールの演技指導』での「イタリア式本読み」に範をとった、感情やニュアンスを排して脚本を読み上げる過程で、役者たちは相手の台詞をただ〝聞くこと〟を求められる。 〈最初どうなるのか不安でしたが、本読みの回数を重ねてから実際の撮影に臨むと私は相手役の外国語の台詞を理解できて、私の台詞も理解されていると感じました〉 「感情を計画してしまうことを控えさせる作業」でもある本読みを経て、本番の撮影で役者たちはそこで湧き上がってくる感情を解放して演じる自由を与えられる。ユナを演じたパク・ユリムは言う。 〈撮影の際に初めて役の感情に向き合ったとき、とても幸せで、言葉にできないほどの集中力を感じて。とにかく、その感情を初めて感じられた瞬間が私にとって、すごいプレゼントのような気がして、とても良いことだったんです〉 脚本を身体に沁み込ませるようなプロセスを経て、撮影時にはそこで初めて発露される相手役の感情にたがいに耳を傾け合う。劇中劇として上演される『ワーニャ伯父さん』では、ばらばらの国籍を持つ役者たちが自身の第一言語を発して〝対話〟をする。翻訳しえないコミュニケーションのなかに、確かな感情の交流が巻き起こる。この地点において現実の濱口による演出と、虚構上の「ドライブ・マイ・カー」が重なり合う。 西島秀俊が現場で体験した〝何か〟への驚き 同作のクライマックスには、およそ13分におよぶ高槻と家福の対話があるが、西島秀俊は現場で体験した〝何か〟への驚きをインタビューで明かしている。 〈(高槻の話を聞いた)家福としての僕も驚きの反応を見せますが、狙ってそうしたのではなく、あの瞬間、明らかにこれまでとは違った高槻像、また物語の像が見えて、自然な驚きが態度となって出てきました〉 このシークエンスは二人の正面からのショットで構成されており、観客もまたカメラを眼差しながら話す高槻の声を聞き、家福の心情を追体験する。 メイキングでの役者たちの証言を辿っていくと、演技に対してサポーティブであり続けようとする映画作家としての濱口竜介が浮かび上がる。カットやOKを出す監督は避けようもなく現場を支配する存在だが、「ドライブ・マイ・カー」では緻密な撮影前の準備を経て、始まった本番では役者たちの自由が重んじられた。それによって生み出されるものを濱口は――西島の言葉を借りれば――「純粋に信じている」。とてもミニマルに、しかし映画への信によって支えられたカメラの前で、古くて新しい偶然が立ち上がる。 文=山下研 制作=キネマ旬報社 「ドライブ・マイ・カー」 ●2月18日(金)Blu-ray&DVDリリース Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●ドライブ・マイ・カー インターナショナル版 Blu-rayコレクターズ・エディション(2枚組):7,150円(税込) 【特典映像】171分 ・DOWN THE ROAD The Making of “DRIVE MY CAR” ・監督:濱口竜介×主演:西島秀俊 対談 ・初日舞台挨拶 ・予告編集 【封入特典】 ブックレット ●ドライブ・マイ・カー インターナショナル版 Blu-ray:¥5,170(税込) 【特典映像】3分 ・予告編集 ●ドライブ・マイ・カー インターナショナル版 DVD:¥4,180(税込) 【特典映像】3分 ・予告編集 ●2021年/日本/本編179分 ●監督:濱口竜介 ●原作:村上春樹「ドライブ・マイ・カー」(短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊) ●脚本:濱口竜介、大江崇允 ●出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、パク・ユリム、ジン・デヨン、ソニア・ユアン、アン・フィテ、ペリー・ディゾン、安部聡子、岡田将生 ●発売元:カルチュア・パブリッシャーズ 販売元:TCエンタテインメント  ©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
  •  ハリウッドの新星マーガレット・クアリー(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」)と名優シガニー・ウィーバー(「アバター」「エイリアン」)がタッグを組んだ「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」が、5月6日(金)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開される。     夢舞台ニューヨークで人生のページをめくる  90年代ニューヨーク。作家を夢⾒るジョアンナは、⽼舗出版エージェンシーでJ.D.サリンジャー担当の⼥上司マーガレットの編集アシスタントとして働き始める。⽇々の仕事は、世界中から毎⽇⼤量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターを処理すること。しかし、⼼揺さぶられる⼿紙を読むにつれ、飾り気のない定型⽂を送り返すことに気が進まなくなり、ふとした思いつきで個⼈的に⼿紙を返し始める。そんなある日、ジョアンナが電話を受けた相手はあのサリンジャーで……。  ジョアンナは偉⼤な作家の声を借りていくうちに、自分自身を見つめ直すことになる。友人や恋人との関係、夢にかける情熱、そして自分の将来について──。「何者か」になりたいと願うジョアンナが、自分のストーリーを生きるための、ニューヨークで開く人生の1ページ。都会の片隅で理想と現実の間で揺れ動く女性の姿を、瑞々しくユーモアたっぷりに描いた“大人の”自分探しムービーだ。 上司と部下が信頼を築いていく感動作  このたび30秒予告が解禁。それは、作家を夢⾒てニューヨークにやってきたジョアンナが⽼舗出版エージェンシーで働き始めるシーンから始まる。エレガントな⽩のロングコートを⾝にまとったベテランエージェントのマーガレットが、タバコを⽚⼿に颯爽と出社し、新人アシスタントのジョアンナに厳しいダメ出しをしていく。ジョアンナの⽇課はサリンジャー宛の⼤量のファンレターに定型⽂を返信すること。しかし、彼らの情熱に溢れた⼿紙に⼼を揺さぶられ、「きちんと返事をすべき」とマーガレットに意⾒をするが……。  ニューヨークの街で「何者か」になりたいと願いながらも、雑務に明け暮れる⽇々を送るジョアンナ。そんな彼⼥を変えたのは、世界中から届くサリンジャーへのファンレターだった。その⼿紙を通して⾃分⾃⾝を⾒つめ直した彼⼥が、最後に下したある選択とは──?  そして、部下のジョアンナをそっと⾒守るマーガレットの姿やふたりが抱き合うシーンが映し出され、「⽂芸版『プラダを着た悪魔』!」というレビューとともに、上司と部下が信頼関係を築いていく感動のドラマを想起させる予告編となった。 天才作家を支えたエージェンシーの実話とは?  ジョアンナ・ラコフの⾃叙伝「サリンジャーと過ごした⽇々」を映画化した本作。あの孤⾼の天才作家を⽀えた出版エージェンシーでの〈知られざる実話〉にも期待が⾼まる。モデルになった出版エージェンシーは、1929年に設⽴された「ハロルド・オーバー・アソシエイツ」。サリンジャーをはじめ、アガサ・クリスティ、ウィリアム・フォークナー、F・スコット・フィッツジェラルドなど錚々たる⽂豪の作品の契約・著作権管理などを行ってきた。本が⽣まれる現場での様⼦が垣間⾒える本作は、⽂学ファンも必⾒だ。     「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」 監督・脚本:フィリップ・ファラルドー(「グッド・ライ いちばん優しい嘘」) 原作:「サリンジャーと過ごした⽇々」(ジョアンナ・ラコフ 著/井上里 訳/柏書房) 出演:マーガレット・クアリー、シガニー・ウィーバー、ダグラス・ブース、サーナ・カーズレイク、ブライアン・F・オバーン、コルム・フィオールほか 提供:カルチュア・パブリッシャーズ、ビターズ・エンド 配給:ビターズ・エンド 2020年/アイルランド・カナダ合作/101分/ビスタ/原題:My Salinger Year コピーライト:9232-2437 Québec Inc - Parallel Films (Salinger) Dac © 2020 All rights reserved.
  •  韓国の主要映画賞で軒並み女優賞に輝き、釜山映画祭パノラマ部門にも出品された『ThreeSisters』(英題)が、「三姉妹」の邦題で、6月17日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。  本作は「オアシス」(02/イ・チャンドン監督)でヴェネツィア映画祭の新人賞であるマルチェロ・マストロヤンニ賞に輝き、以後もパク・チャヌクやホン・サンスといった韓国の名匠たちとタッグを組み世界を魅了してきた名優ムン・ソリが、その脚本に感銘を受け、主演を務めるとともに共同プロデュースを買って出た、現代を生きる烈しくもあたたかい三姉妹の絆の物語。      韓国の賞レースでは、第42回青龍映画祭で最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞、第57回百想芸術大賞で最優秀助演女優賞、第41回韓国映画評論家協会賞で最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞、第30回釜日映画賞で最優秀助演女優賞に輝くなど、女優部門を席巻。イ・チャンドン監督は「非凡な映画。何を想像しても、それ以上」と絶賛コメントを寄せている。  日本では第16回大阪アジアン映画祭の特別注視部門で上映されて観客の心を掴み、SNSに絶賛コメントが並んだ。そしていよいよ日本正式公開が実現。 もがきながら希望を見出す三姉妹  韓国・ソウルに暮らす三姉妹。長女ヒスクは別れた夫の借金を返しながら、しがない花屋を営んでいる。一人娘には疎まれ相手にされなくても、“大丈夫なフリ”をして日々をやり過ごす。次女ミヨンは熱心に教会に通い、聖歌隊の指揮者も務める模範的な信徒。高級マンションに暮らし、家庭でも“完璧に”振る舞うが、そんな日常は次第にほころび始める。劇作家の三女ミオクはスランプで、昼夜問わず酒浸りの自暴自棄な日々を送り、夫の連れ子である息子の保護者面談に“酔っていないフリ”で乗り込む始末。性格、仕事、生活スタイル、全てが異なる彼女たちは、父親の誕生日を祝うために久しぶりに一堂に会し、蓋をしていた幼少期の心の傷と向き合うことに──。  真正面から自身と対峙し、もがき、苦しみながらも新たな希望を見出していく三姉妹の姿を、ユーモアを交えながらも激しく活写した。 実力派女優たち×鬼才監督  長女ヒスクを演じたのは、名バイプレイヤーのキム・ソニョン。日本でも一大ブームとなったドラマ『愛の不時着』で、北朝鮮の人民班長ナ・ウォルスクを人情味豊かかつコミカルに演じて話題となったが、今回も悲哀に満ちながらもどこか可笑しみを感じさせる熱演を披露。ムン・ソリは完璧な人間として気丈に振る舞いながらも、徐々に仮面が剥がれていく次女ミヨンを演じている。三女ミオク役には、長年トップモデルとして活躍し、2015年の韓国で年間興収1位を記録した「ベテラン」で映画デビューしたチャン・ユンジュを抜擢。自暴自棄になり感情を爆発させる劇作家ミオクを体当たりで演じている。  監督は長編デビュー作『Communication&Lies』(15)で釜山国際映画祭NETPAC賞に輝き、本作が長編3作目となるイ・スンウォン。イ・チャンドン監督がその手腕を激賞する鬼才だ。   「三姉妹」 監督・脚本:イ・スンウォン 製作:キム・サンス、ムン・ソリ 音楽:パク・キホン 出演:ムン・ソリ、キム・ソニョン、チャン・ユンジュ、チョン・ハンチョル 2020年/韓国/韓国語/ビスタ/カラー(一部B/W)/5.1ch/115分/原題:세자매/字幕翻訳:中西美絵 配給:ザジフィルムズ http://www.zaziefilms.com/threesisters/ ©2020 Studio Up. All rights reserved.
  • 「プロのライターが選ぶ、2021年の“推し”ネトフリ韓国ドラマ10作!〈後編〉」 今年もNetflixにて話題の韓国ドラマがたくさん配信されていますが、まだ昨年の人気シリーズをチェックしきれていないという方も多いはず。そこで今回は、2021年にNetflixで配信された韓国ドラマから、プロのライターが選んだ厳選10作をプロのライターのコメントと共に一挙紹介します! 【こちらでは後半5作を紹介します】       →「プロのライターが選ぶ、2021年の“推し”ネトフリ韓国ドラマ10作!〈前編〉」はこちら 1. 悪には悪で立ち向かうフルスロットルエンタメ『ヴィンチェンツォ』 Netflixシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中   『ヴィンチェンツォ』の作品紹介 マフィアの顧問を務める韓国系イタリア人の弁護士が、母国で繰り広げる壮絶な戦いを描いた一大エンタテインメント。ソウルの地下に埋められた金塊を手に入れるため韓国に戻ったイタリアンマフィアの顧問弁護士が、悪事に手を染める大企業との法廷闘争に巻き込まれていく。ソン・ジュンギ扮するヴィンチェンツォ・カサノが、ベテランで堅物の弁護士と共に、莫大な富と利権を握る巨大組織に正義の鉄槌を下すため、悪で悪を成敗するというスリリングな展開で老若男女の中毒者を生んだ傑作。   『ヴィンチェンツォ』のライターおすすめコメント ノワールもメロも人生ドラマも、フルスロットルで駆け抜けた傑作。 度肝を抜かれる演出や心憎い小ネタ、毎話おなじみタイトルロゴまでハマりました!(堀由希子氏)   2.夫婦の不協和音をスキャンダラスに綴った人気作『結婚作詞 離婚作曲』 Netflixシリーズ『結婚作詞 離婚作曲』シーズン1~2独占配信中   『結婚作詞 離婚作曲』の作品紹介 ラジオ番組の制作に携わり充実した毎日を送っていたはずの30代、40代、50代の魅力的な3人の女性の予期せぬ不幸に関するアクシデントの物語と、その中で本当の愛を見つけていく夫婦の不協和音を綴ったマクチャンドラマ。不倫などの刺激的な題材で視聴者をくぎ付けにして、シーズン1、シーズン2が配信中、2022年にはシーズン3が編成予定の人気シリーズ。人気俳優ソンフンが弁護士の夫に扮し、妻以外の女性に心を奪われてしまう男性を演じて話題を集めた。   『結婚作詞 離婚作曲』のライターおすすめコメント 狡猾な夫、図太い不倫相手、息子に色仕掛けをする継母。 異色なキャラばかりだけどセリフはグサッと心を刺す。さすが名脚本イム・ソンハンの魔力。(野田智代氏)   3. 時空を超越したSFサスペンス大作『シーシュポス: The Myth』 Netflixシリーズ『シーシュポス: The Myth』独占配信中   『シーシュポス: The Myth』の作品紹介 10年前に亡くなった兄の死の真相を追う天才工学者ハン・テスルと、彼の命を守り、世界を救うために未来からやって来た女性、カン・ソヘの戦いを描く時空を超越したSFサスペンスドラマ。この世界にはびこる“密入国者”という敵か味方かも分からない謎の存在を知り、真実に導かれることになるテスルには名優チョ・スンウが、そして彼を守る男性顔負けの戦闘能力をほこる謎の女戦士・ソヘには人気女優パク・シネが扮する。運命共同体の2人の危険な旅から目が離せない。   『シーシュポス: The Myth』のライターおすすめコメント 時間のルールから脱する、滅亡の危機を救う点で「TENET テネット」と比肩するクオリティ。 舞台を朝鮮半島に限ったことで、情、社会性といった韓国作品らしさが出ている。(地畑寧子氏)   4. 境遇も性格も違う男女のケミストリー『それでも僕らは走り続ける』 Netflixシリーズ『それでも僕らは走り続ける』独占配信中   『それでも僕らは走り続ける』の作品紹介 決められたコースを走り続けてきた陸上界の有望選手が、ひとりの翻訳家との出会いをきっかけに、初めて自分のペースで、心のままに人生を走り始める物語を描いたラブロマンス。陸上短距離の韓国代表選手で、国会議員の父とトップ女優の母を持つという重圧の中で生きる御曹司を人気俳優イム・シワンが演じ、幼い頃に両親を亡くし、大好きな映画を字幕なしで見続けて字幕翻訳家となった女性をシン・セギョンが演じている。性格も境遇も全く違う男女が少しずつ惹かれ合っていく様に、ためいきが漏れること必至。   『それでも僕らは走り続ける』のライターおすすめコメント 劇的なことは起きないが、それ故登場人物が身近に感じられ、彼らの日常や恋模様が気になってくる。 何より魅力ある彼らに向けた愛ある眼差しがいい。(小田香氏)   5.  田舎町で繰り広げられる少年たちのスポーツ人情劇『ラケット少年団』 Netflixシリーズ『ラケット少年団』独占配信中   『ラケット少年団』の作品紹介 父親の仕事の都合で、都会から田舎の中学に転校してきた少年ユン・へガンが、寄せ集めのバドミントン部を廃部の危機から救うため、コーチである父親と共に大奮闘する様が繰り広げられる少年少女たちのヒューマンコメディ。『愛の不時着』で第五中隊末っ子を演じたタン・ジュンサンや、『椿の花咲く頃』のピルグことキム・ガンフンくんなどの若手俳優が集結し、大ヒットドラマ『応答せよ』シリーズや『刑務所のルールブック』を手掛けた脚本家が紡ぐ、心温まる青春スポーツドラマ。   『ラケット少年団』ライターのおすすめコメント 家族の在り方や女性の働き方、日韓関係まで。描き方が素敵で、今後のニューノーマルになるといいなと。一番はラケット少年団の頑張りから元気をもらえます!(小竹亜紀氏)   前後編で10作品を紹介しましたが、いかがでしたか? まだ一気見できていない作品がありましたら、この機会にNetflixでぜひチェックしてみてください!   制作=キネマ旬報社 ※本文は、「韓国テレビドラマコレクション2022」から一部を抜粋したものです。 全作品、全文は誌面にてご確認ください。無断転載禁止。
  •  「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」「かぞくのくに」で知られるヤン ヨンヒ監督の最新作「スープとイデオロギー」が、6月11日(土)より東京のユーロスペースとポレポレ東中野、大阪のシネマート心斎橋と第七藝術劇場ほか、全国で順次劇場公開される。  キネマ旬報ベスト・テン日本映画ベスト・テン1位、ベルリン国際映画祭国際アートシアター連盟賞に輝いた「かぞくのくに」から10 年。その新作はヤン ヨンヒ監督にしか描けない、家族と愛の物語だ。昨年、DMZ国際ドキュメンタリー映画祭2021グランプリ ホワイトグース賞、ソウル独立映画祭2021実行委員会 特別賞を受賞し、注目が高まっている。  公開に先立ち、メインビジュアルが完成、コメントも到着した。     ◢◤イントロダクション◢◤  年老いた母が、娘のヨンヒにはじめて打ち明けた壮絶な体験──1948年、当時18歳の母は韓国現代史最大のタブーといわれる「済州4・3事件」の渦中にいた。  朝鮮総連の熱心な活動家だった両親は、「帰国事業」で3人の兄たちを北朝鮮へ送った。父が他界したあとも、“地上の楽園”にいるはずの息子たちに借金をしてまで仕送りを続ける母を、ヨンヒは心の中で責めてきた。心の奥底にしまっていた記憶を語った母は、アルツハイマー病を患う。消えゆく記憶を掬いとろうと、ヨンヒは母を済州島に連れていくことを決意する。  監督は「ディア・ピョンヤン」「かぞくのくに」など、朝鮮半島と日本の悲劇的な歴史のうねりを生きる在日コリアン家族の肖像を親密なタッチで写し続けてきたヤン ヨンヒ。なぜ父と母は、頑なに“北”を信じ続けてきたのか? ついに明かされる母の秘密。新しい家族の存在……。これまで多くの映画ファンを魅了してきた、あの〈家族の物語〉が、まったく新たな様相を帯びて浮かび上がる。ひとりの女性の生き様を通して、国家の残酷さと同時に、運命に抗う愛の力を唯一無二の筆致で描き出す。   (C)PLACE TO BE, Yang Yonghi   ◢◤コメント◢◤ (五十音順、敬称略) 「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」「かぞくのくに」──これら宝石のような映画たちを観ながら、私が最も驚かされ気になった人物はオモニ(母)だった。「スープとイデオロギー」は、まさにそのオモニについての物語だ。 ──キム・ユンソク(俳優、映画監督) 「私たち」のすぐ隣に住み、「私たち」とは違うものを信じて生きている「あの人たち」。彼らがなぜそのように生きているのか、なぜ「私たち」には理解できないものを信じようとしたのか。  監督でもある娘が撮影を通して母を理解していくように、この作品を観終わるとほんの少し「あの人たち」と「私たち」の間に引かれた線は、細く、薄くなる。 ──是枝裕和(映画監督) 「ディア・ピョンヤン」「かぞくのくに」、そして本作。ヤン監督による三作品を束ねる圧倒的な強度。むきだしの母の生の姿を追い、やがて現れる家族の真実に心臓を射貫かれる。 ──平松洋子(作家、エッセイスト) 在日朝鮮人の家族史を通じて、韓国の現代史を掘り起こした作品。 一人の女性の人生を通じて、韓国史の忘れられた悲劇を復元した演出力が卓越している。 ──2021年 韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭・審査評   (C)PLACE TO BE, Yang Yonghi   ◢◤監督の言葉◢◤ 本作で私は、初めて家族と「南(韓国)」との関係を描いた。 「スープとイデオロギー」というタイトルには、思想や価値観が違っても一緒にご飯を食べよう、殺し合わず共に生きようという思いを込めた。1本の映画が語れる話なんて高が知れている。それでも、1本の映画が、世界に対する理解や人同士の和解につながると信じたい。私の作品が多くの人々にとってポジティブな触媒になることを願っている。 ──ヤン ヨンヒ PROFILE 監督・脚本・ナレーション:ヤン ヨンヒ 大阪出身のコリアン2世。米国NYニュースクール大学大学院メディア・スタディーズ修士号取得。高校教師、劇団活動、ラジオパーソナリティ等を経て、1995年より国内及びアジア各国を取材し報道番組やTVドキュメンタリーを制作。父親を主人公に自身の家族を描いたドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」(05)は、ベルリン国際映画祭・最優秀アジア映画賞(NETPAC賞)、サンダンス映画祭・審査員特別賞ほか、各国の映画祭で多数受賞し、日本と韓国で劇場公開。自身の姪の成長を描いた「愛しきソナ」(09)は、ベルリン国際映画祭、Hot Docs カナディアン国際ドキュメンタリー映画祭ほか多くの招待を受け、日本と韓国で劇場公開。脚本・監督を務めた初の劇映画「かぞくのくに」(12)はベルリン国際映画祭・国際アートシアター連盟賞(CICAE賞)ほか海外映画祭で多数受賞。さらに、ブルーリボン賞作品賞、キネマ旬報日本映画ベスト・テン1位、読売文学賞戯曲・シナリオ賞等、国内でも多くの賞に輝いた。著書にノンフィクション「兄 かぞくのくに」(12/小学館)、小説「朝鮮大学校物語」(18/KADOKAWA)ほか。   ◢◤メッセージ◢◤ 「オモニ(母)のドキュメンタリー映画を撮ろうと思う」  妻であるヤン ヨンヒ監督からそう告げられたのは、2016 年のことだ。「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」に続く新たなドキュメンタリー映画を作ると言う。当然ながら、その挑戦に水を差すどころか「映画を早く観たい。がんばれがんばれ」と背中を押した。だが、続く言葉を聴いてイスから転げ落ちた。 「オモニとあなたを撮りたい。カメラを回してもいいかな。顔を映すのに差し支えがあるなら、首から下を映すとか、顔が映らないように工夫してカメラを回すから……」  ドキュメンタリー映画の被写体になるという行為は、監督と共に海に身投げするようなものだと私は思う。中途半端な構えで「スープとイデオロギー」に参加すれば、荒海に揉まれて溺れ死ぬかもしれない。ヤン ヨンヒ監督と家族が生きてきた長大な時間と記憶の海に、思いきって飛びこんでみよう。カメラの前ですべてをさらそう。そう決めた。 ──荒井カオル PROFILE エグゼクティブ・プロデューサー・出演:荒井カオル 長野県生まれ。日本国籍をもつ日本人男性。出版社勤務を経て、2005 年にフリーライターとして独立。映画「スープとイデオロギー」の制作資金調達を務めつつ、被写体の一人として作品に参加する。   (C)PLACE TO BE, Yang Yonghi   (C)PLACE TO BE, Yang Yonghi   「スープとイデオロギー」 監督・脚本・ナレーション:ヤン ヨンヒ 撮影監督:加藤孝信 編集・プロデューサー:ベクホ・ジェイジェイ 音楽監督:チョ・ヨンウク アニメーション原画:こしだミカ アニメーション衣装デザイン:美馬佐安子 エグゼクティブ・プロデューサー:荒井カオル 製作:PLACE TO BE 共同制作:navi on air 配給:東風 韓国・日本/2021/日本語・韓国語/カラー/DCP/118分 公式HP:soupandideology.jp