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【ロマンポルノ50周年】 落語家・柳家喬太郎を迎えての演芸・上映会がライブ&配信で開催決定!
2021年10月11日今年、50周年を迎える日括ロマンポルノの50周年記念プロジェクトの一環として、古典芸能とロマンポルノの奇跡の融合を、笑いと涙で体験できるイベント「艶笑夜噺 古今東西」の開催が発表された。 10月9日(土)よりイベントの先行抽選のチケットの申し込みと、配信チケットの販売が開始される。 この公演は、“チケットの取れない”希代の人気落語家、柳家喬太郎が、落語の世界のロマンポルノとも言うべき艶笑噺(えんしょうばなし)を特別に披露しつつ、ロマンポルノ作品の中でも落語や古典芸能を原作とする作品を上映するというもの。 艶笑噺とは、「バレばなし」とも呼ばれる、落語のジャンルで、粋でいなせな物語の中に男女の洒落っ気たっぷりのやりとりに官能シーンをまぜた大人の落語であり、普段の寄席や落語会ではなかなか口演されることが少ない演目。それを人気落語家であり、公開中のタナダユキ監督作「浜の朝日の嘘つきどもと」でも、映画館主役として好演が話題の柳家喬太郎が披露するとあって、映画の枠を飛び出したイベントになる模様。 さらに、イベント内では、映画「カツベン!」(周防正行監督)での演技指導なども行った現役の活動写真弁士(サイレント映画の語り手として説明を行う弁士)の坂本頼光による活弁。そして、ロマンポルノ時代劇作品をセレクトして上映が行われる。 上映作品は、日活のロマンポルノを代表する時代劇作品の2本がセレクトされた。数多くのロマンポルノの傑作を生みだした曽根中生が監督し、怪談の「牡丹燈籠」を見事な官能時代劇作品に仕上げた「性談 牡丹燈籠」(1972)。そして、今イベントのテーマでもある艶笑噺の数々を、藤浦敦が監督し、日本映画史に残る喜劇映画「幕末太陽傳」をも手掛けた高村倉太郎が撮影に参加した、娯楽時代劇大作の「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」(1974)を、それぞれ上映する。 「性談 牡丹燈籠」(1972) 「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」(1974) 両作品ともロマンポルノ製作第1回作品「色暦大奥秘話」にて主演女優としてデビューを飾り、ロマンポルノの時代劇作品の多くで主演を務めた小川節子の代表作ということもあり、まだロマンポルノを観たことがない方にとっても、その入門編として、時代劇作品に触れられる貴重な機会となっている。 イベント会場は東京、池袋にある新文芸坐にて、11月27日(土)、11月28日(日)にて開催。チケットは、すべてチケットぴあで取り扱い、10月9日(土)より、先行抽選「プレリザーブ」にて申し込み受付を開始。さらに、同日から1週間の見逃し視聴がついたライブ配信のチケットも発売される。 チケットの申し込みなど詳しい内容は、ロマンポルノ公式HPに掲載されているのでそちらのほうをチェックいただきたい。 ■イベント概要 公演名: 日活ロマンポルノ50周年記念 「艶笑夜噺 古今東西」 開催日時:2021年11月27日(土)& 28日(日) 18:30開場 /19:00開演 会場:池袋 新文芸坐 + PIA LIVE STREAM (1週間の見逃し配信可) 価格 イベント:4,500円(税込) 配信:2,200円(税込) 出演:柳家喬太郎(落語家) & 坂本頼光(活動写真弁士) 上映作品:第一夜(11/27) 「性談 牡丹燈籠」 (R18+) 第二夜(11/28) 「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」 (R15+) 主催:日活 企画協力:新文芸坐/ざぶとん亭風流企画 ■チケット情報 チケットぴあ https://w.pia.jp/t/nikkatsu-romanporno/ (電話) 0570-02-9999 【Pコード:551-693】 ◆先行プレリザーブ(先行抽選販売受付) 10/9(土)10:00~10/17(日)23:59まで ◆一般発売 10/22(金)AM10:00~ オンライン配信:2,200円(税込) PIA LIVE STREAM ※一週間の見逃し配信可能 https://w.pia.jp/t/nikkatsu-romanporno/ ◆一般発売 10/9(土)10:00~ ▼上映作品解説 第一夜(11/27) 「性談 牡丹燈籠」(1972) 監督:曽根中生 脚本:豊島耕次(=松本孝二+大工原正泰) 出演:小川節子、林美樹、原英美、谷本一、木夏衛、橘田良江 「四谷怪談」「更屋敷」と並ぶ三大怪談の一つで落語の怪談ネタとしても有名な「牡丹燈籠」を題材に“性愛のアナーキスト”曽根中生が監督し、幻想的な描写と人情噺として見事に描いた傑作。幽玄で美しいヒロイン・お露役には、ロマンポルノ製作第一弾「色暦大奥秘話」にてデビューしたことでも有名な小川節子が配役され、妖しく絶妙に絡み合う男と女の凄まじくも美しい悲恋ドラマを見事に演じきった。ロマンポルノの時代劇作品の代表作。 第二夜(11/28) 「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」(1974) 監督:藤浦敦 脚本:藤浦敦 西田一夫 出演:小川節子、柳家かゑる(現:鈴々舎馬風)、三遊亭圓歌、大山節子、ひろみ麻耶、柳家さん治、ケーシー高峰 艶笑噺の数々のネタをストーリーにちりばめ、柳家かゑる(現:鈴々舎馬風)、ケーシー高峰、三遊亭圓歌らといった演芸の世界で活躍した豪華な顔ぶれがそろって出演した娯楽映画。ロマンポルノの時代劇作品の多くで主演を務めた女優小川節子の引退作ともなった。監督は、落語の世界とも縁の深い藤浦敦。撮影は日本映画史に残る喜劇映画「幕末太陽傳」の高村倉太郎が担当した。達人スタッフが腕によりをかけて贈る笑いと官能の時代劇大作。 -
【第20回】「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」
2021年10月8日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定) ■2013年11月放送 「童貞」 どうもみうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー in日活ロマンポルノ 民俗学入門」。今回のテーマは「童貞」。捨てさせて貰って随分、経ちますが、童貞について、熱く語りたいと思います。 その時、股間がうずいた... 今宵の教材は、性のロスト・チルドレン。『女教師 童貞狩り』日本の風紀を守るため、真実の愛をつかむため、童貞たちは今日もイク。 まだ見ぬ未来に思い馳せ...。今夜も一人で男を磨く...。その瞬間から新たな歴史が始まる...。 今回のテーマは、童貞でございます。かつて自分もなかなかそれを言い出せず、嘘をついたこともありました。童貞という響きが、ちょっと重いんでしょうね。そこで20年ぐらい前に「DT」と呼ぶことを提唱いたしました。 その頃、ちょうどスティーヴン・スピルバーグ監督の『A.I』(2001年公開)という映画がありましたので、 「『A.I』見た?」みたいな感じで、「俺DTなんだよ。」って言ってしまえば、気楽になるんじゃないかと。でも、大きなお世話でしたかね(笑)。男友達と喋っていても、「お前、捨てたのいつだよ?」と、聞かれれば「16かなぁ…」とか適当に言ったりするのは変わりません。 大概16っていう設定になってしまうんですよね 。取材で一度、クエンティン・タランティーノ監督にお会いした時にですね、いろいろと映画について聞いた後に、「ところで童貞喪失はいつですか?」と唐突に聞いてみたところ「シックスティーン!!」って言ったんですよね。やっぱ、どこの国でもそれかと思いました。ま、本当かも知れませんけどね(笑)。 ■童貞さんいらっしゃ~い『女教師 童貞狩り』 今回は、『女教師 童貞狩り』という映画を見てもらいます。ズバリ、タイトルのままで、女性教師が童貞を狩っていくというお話ですが、このポスターの凄い所はですね、写っている学生さんの数の多さですよね。 まるで童貞の亡霊みたいですよね。 「狩る」というと、フツー(フリップを出す)、ブドウかイチゴか童貞なんですかね(笑)。「オヤジ狩り」なんて言葉もありましたけど。 昔はだいたい、年上の人が率先して狩ってくださるものだと信じておりました。 青春モノの洋画でも、必ず年上のお姉さんが出てくると、この人が狩って下さるんだと思いましたからね。 僕も昔、よくがんばって童貞じゃないフリをすることがありました。今、思うとバレバレだったんでしょうね。じゃ、童貞に見えるとはどういうことなのか?を改めて考えていきたいと思います。 目指せ ベスト自慰ニスト 童貞~その生態と習性~ まず、この髪型ですよね。これは僕らの時代「ブルース・リーカット」と呼ばれたものです。僕の中学時代はこれでした。ブルース・リーは本来なら体育会系の人なのに、なぜか文科系の人たちに、ある種、夢を与えてしまったとことから、こんな間違いが生まれたのでしょう。このちょっと伸びた感じは『ドラゴン怒りの鉄拳』の影響だと思います。 第二の条件「襟をきちんと止めている」。そして、カラーを抜かない。そこの背景にあるのは、マジメで、お母さんとお父さんがとても厳しいってこともあると思います。下校時にはちょっと外してみたもんですが、不良のそれとは違います。カラーまでは取る勇気がありませんでした。 そして、第三の条件は、お母さんが買ってくる「白ブリーフ」をはいていることですよね。その上、マジックで名前まで書いてあるとどうです?お母さんの優しさで、誰かのものと間違えないように書いてあるんでしょうけど。 とても切ない気持ちになりますよね。 第四の条件は、「参考書まで全部入れてる学生カバン」ですよね。しかも勉強はイマイチという。正しく僕でした。 さらに、たすき掛けで「弁当はランチジャー」を持っていくという。これが第五の条件ですが、今は流石におられないでしょうそんな学生。でもね、ランチジャーだと、昼ごはんがホカホカなんですよ。 ホカホカを取るか、モテないを取るか? どちらかを選ばなければならない時に僕は、ホカホカを取ってしまっていたんですよね。 そして、第六の条件「手がニチャニチャしている」。 なぜかその頃って、手がニチャニチャしているんですよね(笑)。 これの条件が全部そろうと、いいことは狩って貰えず、不良の方に狩られますから。この映画の中で狩られる人たちも、どう見ても狩る側でしたけどね。 ただ、その中でも石井まさみさんという役者さんに注目して下さい。今回放送するもう一本『濡れた欲情 ひらけ!チューリップ』にも出演されている方で、『ドラゴン怒りの鉄拳』の髪型と、その『怒りの鉄拳』のラストシーンのブルース・リーが「アー!」って言う時の顔をして、悶絶と怒りを一緒に表現するという、スゴイ演技をされる所が、大注目でございます。 今月のラインナップでございます。 『女教師 童貞狩り』 1976年製作。渡辺外久子さん主演作です。なかなかセクシーなお姉さんで今でも狩ってほしいなというお姉さんがでてきます。 『濡れた欲情 ひらけ!チューリップ』 1975年製作。主演の男優さんの石井まさみさんの童貞演技にも注目です。 『女子大生の告白 赤い誘惑者』 1980年の作品。紀ノ山涼子さん主演。当時、女子大生として自分で脚本を書かれたということで有名になりました。 『スケバン株式会社 やっちゃえ!お嬢さん』 タイトルから予想するとかなりコワイですが、1984年製作、関根律子さん主演。心に余裕のある方は観てください。 それではあなたもグレイト余生を! 出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活 ■2021年09月 TV放送情報 【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方)・『(本)噂のストリッパー』(【森田芳光70祭】監督・森田芳光特集) ・『昼下りの情事 噂の看護婦』 ・『女教師 汚れた噂』 ・『噂の女 朝まで抱いて』 ・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻』 ・『色暦大奥秘話』 ・『色暦大奥秘話 刺青百人競べ』 ・『続・色暦大奥秘話 淫の舞』 【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方) ・『(本)噂のストリッパー』(R-15版) ・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻』(R-15版) ・『OL日記 密猟』(R-15版) ■2021年 10月 TV放送情報 【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方) ・『ピンクカット 太く愛して深く愛して』(【森田芳光70祭】監督・森田芳光特集) ・『(本)噂のストリッパー』(【森田芳光70祭】監督・森田芳光特集) ・『痴漢通勤バス』 ・『好色美容師 肉体の報酬』 ・『(秘)肉体調教師』 ・『昼下りの情事 噂の看護婦』 ・『女教師 汚れた噂』 ・『噂の女 朝まで抱いて』 【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方) ・『(本)噂のストリッパー』(R-15版) ・『ピンクカット 太く愛して深く愛して』(R-15版) ・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻』(R-15版) あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯100」、「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯101」を放送! ※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集! 【日活ロマンポルノ】 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから 日活ロマンポルノ50周年企画「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の全記事はこちらからご覧いただけます。 日活ロマンポルノ50周年新企画 イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」 -
『シグナル 長期未解決事件捜査班』の続編2本が登場!魅力を際立たせる特典映像は必見
2021年10月6日『シグナル 長期未解決事件捜査班』の続編2本が登場!魅力を際立たせる特典映像は必見 現代の刑事が謎の無線機を使って15年前の世界に生きている刑事と交信し、彼の協力を得ながら難攻不落だった未解決事件を解決に導いていく──2018年に放送された連続ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』は傑作との呼び声高い韓国ドラマが原作であったが、リメイクとなる同作もそのクオリティの高さで多くの視聴者を唸らせた。一方、余韻を残すラストに続編を渇望した人も少なくなかっただろう。その思いに応えるように、2021年上半期には単発ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班 スペシャル』(9月15日Blu-ray&DVDリリース)と「劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班」(10月6日Blu-ray&DVDリリース)という二つの続編が立て続けに放送&劇場公開された。 TVドラマ本編未見者をも魅了する TVドラマの劇場版が公開される際によく聞かれるのが「TVドラマを見ていないと楽しめない」という声だが、この2作品に関しては不問といっていい。とはいえ両方とも完全な1話完結でもなければ、人物の相関関係に関して詳しい説明があるわけでもない。適材適所なキャスティング、緊迫感漂う映像、視聴者の想像の斜め上をいく練られた展開……ひとことで表すと“格調”だろうか。瞬時にして目を釘付けにしてしまう名画の如く、2作品とも1シーン1シーンに作り手の高い志が宿っていて、前後の流れを知らなくても見ていたいという気にさせてしまうのである。もちろん、脚本自体が優れていることは言うまでもないだろう。 リアルを追求した「クオリティ勝負」のアクション 「スペシャル」は原作ドラマで人気のあったエピソードを映像化したというだけあって、緊迫感に満ちたサスペンスに加え、悲しさや切なさという多彩な情感を堪能できる。一方「劇場版」のストーリーは日本だけのオリジナルで、国家上層部を巻き込んだ壮大な物語となっている。特筆すべきはアクションシーンで、実際の市街地で展開する銃撃戦やバイク追撃をはじめ全体的に大掛かりな描写となっているが、中でも主人公を演じる坂口健太郎が挑んだ臨場感たっぷりの肉弾戦は必見だ。ちなみに、今回のアクションは“痛み”が伝わるリアルなものを目指したというが、仮に見栄え優先のスタイリッシュな殺陣なんかを入れてきたら、TV版本編から築き上げてきた重厚な世界観が一気に崩れてしまっただろう。こういうところにも「クオリティで勝負する」という製作陣の意気込みを感じるが、それはブルーレイやDVDに収録されたインタビューやメイキングといった特典映像を見ればより鮮明に伝わるだろう。 『シグナル』の魅力を際立たせる特典映像は必見 その特典映像であるが、『シグナル 長期未解決事件捜査班 スペシャル』ブルーレイ&DVDには主演の坂口健太郎をはじめ北村一輝、吉瀬美智子、木村祐一、池田鉄洋というレギュラー陣5名へのインタビュー映像を収録。そこではキャスト同士の和気あいあいぶりを見ることができるが、特に単独シーンがほとんどだった北村一輝が、残り4名と直接絡んでいるのは作品ファンには嬉しい限りである。もちろん、撮影現場の様子や出演者同士の交友関係といった裏話にも大いに興味を掻き立てられるはずだ。また、TV版本編からの繋がりが分かるチェインストーリーも収録されているので、未見者や間が空いてしまった人の没入度を高めてくれるだろう。 一方、「劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班」の特典で注目したいのがメイキング映像だ。特に豪華版に収録される「メイキング映像②」は非常に見応えがあり、主要シーンの撮影風景や各キャストのクランクアップ時の様子などを収録。中でも目を引くのが坂口健太郎によるアクション撮影の様子で、スタントを使わずに自ら激しいアクションに挑む姿には鬼気迫るものがあり、それだけでも彼の作品にかける思いが伝わってくる。かと思えば、彼が木村祐一のサポートを得ながら慣れない弁当づくりに挑むコミカルなバラエティ映像も豪華版には収録されていて、坂口健太郎という俳優の多面的な魅力を知ることもできる。このほか出演者同士の舞台挨拶映像や、各キャストが作品への熱い思いを語る特番の映像も収録するという盛りだくさんな内容となっている。 2作品とも特典映像を経て各本編を見返すとまた違った感じ方になるだろう。陰陽表裏一体という言葉があるように、『シグナル』の重厚な魅力はこの正反対のムードを持つ特典映像を見ればいっそう際立つのではないだろうか。 文=さくま健太/制作=キネマ旬報社 『シグナル 長期未解決事件捜査班 スペシャル』 ●Blu-ray&DVD好評リリース中 Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray:6,380円(税込) DVD:4,180円(税込) ●特典(Blu-ray、DVD共通) 【映像特典】(46分) ・特別エピソード「チェインストーリー(前編・後編)」 ・特別番組「シグナルSP&劇場版を100倍楽しむ! 直前ガイド」 ・PR集 ●Blu-ray初回限定特典 ・特製スリーブケース付き ●2021年/日本/本編90分 ●原作: 『시그널(シグナル)』 / 制作:Studio Dragon & ASTORY / 脚本:キム・ウニ ●脚本:仁志光佑 演出:鈴木浩介 出演:坂口健太郎、北村一輝、吉瀬美智子、木村祐一、池田鉄洋、青野楓、青木崇高、桜井ユキ、古川雄輝、篠原ゆき子、駿河太郎、西岡德馬、杉本哲太、田中哲司 ●発売元:カンテレ 販売元:ポニーキャニオン ©Studio Dragon & ASTORY/キム・ウニ/カンテレ 「劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班」 ●10月6日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタル同日リリース) Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray豪華版:7,370円(税込)、DVD豪華版:6,380円(税込)、DVD通常版:4,180円(税込) ●Blu-ray、DVD豪華版 特典映像(172分) ・メイキング映像① ・メイキング映像② ・イベント映像 ・特別番組「坂口健太郎のプロファイリング弁当」 ・映画『シグナル』大ヒット記念特別番組 ・予告 編集[特報①/特報②/60秒最新映像/本予告] ・CM 集[過去と繋がる無線機篇/未来を 救え篇 ] ●DVD通常版 特典映像 ・メイキング映像 ① ・予告編集[特報①/特報②/60秒最新映像/本予告] ・CM 集[過去と繋がる無線機篇/未来を 救え篇] ●2021年/日本/本編122分 ●原案:「시그널(シグナル)」©Studio Dragon & ASTORY/ 脚本:キム・ウニ ●脚本:仁志光佑、林弘 監督:橋本一 出演:坂口健太郎、北村一輝、吉瀬美智子、木村祐一、池田鉄洋、青野 楓、杉本哲太、奈緒、田中哲司、鹿賀丈史、伊原剛志 ●発売元:フジテレビジョン 販売元:ポニーキャニオン ©2021「劇場版シグナル」製作委員会 -
第3回「人生、その無謀な挑戦」~大好評エッセイ『あたしだけ何も起こらない』エピソード紹介
2021年9月30日アラサー女性の心をわしづかみにする韓国エッセイ『あたしだけ何も起こらない』 第3回「人生、その無謀な挑戦」エピソードまるごと紹介 「結婚もせず子供もいない、遅れたからって何よ。これはこれで悪くない」と思いながらも、人より遅いペースで人生を歩んでいく女性の焦燥や不安を、笑って泣けるポジティブな自虐エピソードと共に紡ぐ話題の韓国エッセイ『あたしだけ何も起こらない “その年”になったあなたに捧げる日常共感書』(ハン・ソルヒ=著、オ・ジヘ=イラスト、藤田麗子=訳/キネマ旬報社刊)。共感必至の全24話の中から、特に心に刺さる3つのエピソードを全3回でご紹介します。【第3回「人生、その無謀な挑戦」】 第1回「最近よく聞く言葉、“その年”で」 第2回「遅れるということの美学」 第3回「人生、その無謀な挑戦」 第3回「人生、その無謀な挑戦」 私はただ40歳の皮をかぶっているだけの20歳に過ぎなかった。 20代の頃を振り返ってみると、今と大して違わない。 もう少し活気があって、もう少し勝ち気で、もう少し無謀で、もう少し“クレイジーな人”っぽかったこと以外は。噓で中途半端に取り繕うより、正直であることが美徳だと思っていた時期だ。だから、相手が誰であろうと、抱いた感情をありのままに話そうと努めた。相手が自分より立派で強い人であればあるほど、媚びることなく荒っぽい口調でしゃべった。それが正しくてカッコいいと信じていた頃の話だ。 年を取り、思っていたほど自分が強くないことは分かったが、性格はなかなか変わらなかった。私の性向は習慣や意識のように脳裏に刻み込まれ、20代とさほど変わらない姿で生きた。変わらない姿、それもまたカッコいいものだと信じていた30代の頃の話だ。 荒っぽくて我が強い性格だったが、正直であろうと努力した。私を理解してくれる人々がそばにいたので、無理なく過ごすことができた。そんな中、状況が一変した。これまでは経験豊富な先輩の下でサブ作家を務めていたが、突然メイン作家になったのだ。 よく言えば欲張ることなく現状に順応して生き、悪く言えば熾烈に生きていなかった私は、多くの人がチャンスだと考えるこの状況が死ぬほど恐ろしかった。責任を負うべきことが増えるという重圧に耐えられそうになかった。私はただ40歳の皮をかぶっているだけの20歳みたいだった。 1 歳ずつ着実に年は取ってきたものの、結婚や出産といった人生の転換点になるような経験もなく、家族の暮らしを支えなければならないほど苦労したわけでもない私は、相変わらず幼くて未熟な感情の持ち主だった。 「私にできるかな?」「引き受けておいてちゃんとできなかったらどうしよう?」「みんなはどう思うかな?」「あぁ、ちっとも自信が持てない……」。あらゆるネガティブな思考で頭の中がいっぱいになった。悩みすぎてナーバスになっていた頃、ケーブルテレビの再放送でバラエティ番組『無限に挑戦』を観た。正確な放送回は覚えていないが、1 年前の自分と体力テストで対決するという内容だ。1年前の自分に負けた人もいたが、努力の果てに去年の自分に勝った人もいた。 恥ずかしながら、やけに感動してしまい、テレビの前でボロボロ泣いた。孤軍奮闘の末に昨年の自分を跳び越える様子にも感激したし、昨年の自分に負けるしかないという状況も分かりすぎて、何とも言えない感情に襲われた。単なるバラエティ番組なのに、その瞬間は人生の森羅万象をすべて目にしたような気分だった。 20歳の頃の私を思い出してみる。何一つ優れたところもないくせに、先輩の番組をえらそうに批評していた時期だ。至らない点だらけの自分のシノプシスがいちばんおもしろいと、根拠のない自信に満ちていた頃だ。 その後、本当に何度もつまずいて失敗したが、何とかここまで持ちこたえてきた。誰もがそうだろうと思う。求職中の人は就職の心配、就職した人は出世の心配、未婚の人は結婚の心配、結婚した人はローンの心配……。それぞれ置かれている状況が違うだけで、人生に対する根本的な悩みは同じだろうと思う。「少しずつ、今より前に進むしかない」境遇だということも……。 背中を押されて、望んでいない場に出て行かざるを得なくなった。派手に転んで恥をかき、回復不能なほどの痛手を負うかもしれない。 しかし、だ。転んでもどうってことない。誰かが手をつかんでくれるだろうし、手を取ってもらえなかったとしても、ちょっと恥ずかしい思いをして、パンパン服をはたきながら起き上がればいいだけだから……。 人生を歩むうえで、無謀な挑戦は“無限”に繰り返されるものだ。バテずに進んでいこう。 『あたしだけ何も起こらない “その年”になったあなたに捧げる日常共感書』より、#20「人生、その無謀な挑戦」を転載 ※無断転載禁止 ■『あたしだけ何も起こらない “その年”になったあなたに捧げる日常共感書』 女性共感度100%の年齢考察イラストエッセイ。あたしだけ人生何もない? いいえ、スタートが遅いだけです! アラサー女子の飽くなき疑問と焦りにそっと寄り添う、笑って泣ける日常共感書。 ハン・ソルヒ=著、オ・ジヘ=イラスト、藤田麗子=訳 仕様:四六判カラー/232頁/価格:1,595円(税込)/発行:キネマ旬報社 ※電子版書籍も発売中 いつからか結婚の話題を出さなくなった両親、いざ結婚へのプレッシャーが消えると沸いてくる焦りと挫折感、ムカつくほど広がっていく毛穴、日に日に低下する記憶力、人生で最も輝いていた瞬間へのノスタルジーetc……。自分だけ置いてきぼりのような人生の中、年齢をまたひとつ重ねていく女性の共感を呼ぶエピソード満載で贈る、笑いと涙の年齢考察イラストエッセイ。 最近よく聞く言葉、“その年”で。“その年”でそれはちょっと……。年を取るって制限がつきもの? 年を取るって失っていくことなの? ミドル世代女子の飽くなき疑問と焦りにそっと寄り添い、 “自分らしく生きる”人生の選択を応援する、日常共感書。 大人気コラムニスト、ジェーン・スー氏がコメントを寄稿! 「あまりにも正直すぎて、気が滅入ったあと声をあげて笑ってしまった。 大丈夫、なんとかなるよ。」―ジェーン・スー氏 -
アラサー女性の心をわしづかみにする韓国エッセイ『あたしだけ何も起こらない』 第2回「遅れるということの美学」エピソードまるごと紹介 「結婚もせず子供もいない、遅れたからって何よ。これはこれで悪くない」と思いながらも、人より遅いペースで人生を歩んでいく女性の焦燥や不安を、笑って泣けるポジティブな自虐エピソードと共に紡ぐ話題の韓国エッセイ『あたしだけ何も起こらない “その年”になったあなたに捧げる日常共感書』(ハン・ソルヒ=著、オ・ジヘ=イラスト、藤田麗子=訳/キネマ旬報社刊)。共感必至の全24話の中から、特に心に刺さる3つのエピソードを全3回でご紹介します。【第2回「遅れるということの美学」】 第1回「最近よく聞く言葉、“その年”で」 第2回「遅れるということの美学」 第3回「人生、その無謀な挑戦」 第2回「遅れるということの美学」 #私の人生にハッシュタグをつけるなら? 私の人生にハッシュタグをつけるとしたら、最初のキーワードはおそらく #遅刻、あるいは #遅れる あたりになるだろう。ちょっとした遅刻が常態化しているせいだろうか。私は今、人生の軌道を人より遅いペースで走っている気分だ。 その中でもとりわけ遅れている部分がある。“流行”だ。 私が周りの人々より流行に乗るのが一足遅いということに気づいたきっかけは、ソテジワアイドゥル〔1992年にデビューし、熱狂的な人気を集めた男性ヒップホップグループ〕だった。友達がソテジワアイドゥルに熱狂して『ナン アラヨ(僕は知っている)』〔1stアルバムに収録された大ヒット曲〕を歌っている頃、私はまるで聴きたいと思わなかった。当時は、画一的なブームに乗りたくないという反骨精神のせいだと思っていた。しかし、ちょうど1年後、私は一人で腕組みをして「ナン、アラヨ~ ! 」と歌っていた。 こうしたことはちょくちょく起こった。すでに放送が終わった『覆面歌王』〔覆面をかぶったスターが歌唱力を競う歌番組。2015年からMBCで放送中〕の“音楽隊長”〔2016年に9 週連続で勝ち抜いた出場者〕の話を持ち出して『Lazenca, Save Us』を聴き、最近はドラマ『シグナル』〔2016年に韓国tvNで放送された刑事ドラマ〕を観て「イ刑事!」と叫びまくり、「どうしてこんなにおもしろいドラマを観ていなかったんだろう!」と大騒ぎして周囲の人々をさんざんわずらわせた。 運動神経もなく、かけっこはいつもビリで他人の後頭部を見ながら走っていたが、生きるスピードまで遅いとは何事か! だから、周りはみんな結婚したのに、シングルとして寂しく老いていく境遇になったのではないだろうか。身体も心もなぜ一般的な大きな流れに乗れず、一人ぼっちでさまよっているのか。実に奇異なことだ。 私という人間を構成する遺伝子に“遅く行動すること”という命令が彫り込まれているのではないだろうか? だから他の人々が進路について悩んでいた20代に一人でビールを飲み、他の人々が結婚について悩んでいた30代もやはり一人でビールを飲み、人生について深く悩むべき40代になっても一人でビールを飲んでいるのではないだろうか……。 何事にもタイミングがあるはずなのに、こんなふうに他の人々より遅いテンポで歩んでいたら、一人だけ取り残されてしまうのではないかという恐怖に襲われた。これまで取り逃したものに急いで追いつかねばと決心したとたん、思いがけないお見合い話が舞い込んできた。四十路を超えてからの縁談だけに、母は天の助けとばかりに何が何でも会ってみろと私の背中を強く押した。 気持ちが先走りすぎたせいだろうか。男女平等を超えて、女性上位時代といわれる21世紀ではあるが、お見合いの席であるまじき失態を犯した。 そう、泥酔して記憶を失ってしまったのだ。翌朝、二日酔いで早く目覚めた私は身悶えするほど後悔したが、もはや後の祭り。どうしようもない! 諦めよう。そのとき、意外なことにお見合い相手から電話がかかってきた。「酔い覚ましの食事をしよう」と……。 それで、どうなったかって? 私には、まだ見ぬハチミツ壺のような甘いドラマが12話分も残っていて、その男とのデートが待っている。 『あたしだけ何も起こらない “その年”になったあなたに捧げる日常共感書』より、#11「遅れるということの美学」を転載 ※無断転載禁止 【第3回に続く】 ■『あたしだけ何も起こらない “その年”になったあなたに捧げる日常共感書』 女性共感度100%の年齢考察イラストエッセイ。あたしだけ人生何もない? いいえ、スタートが遅いだけです! アラサー女子の飽くなき疑問と焦りにそっと寄り添う、笑って泣ける日常共感書。 ハン・ソルヒ=著、オ・ジヘ=イラスト、藤田麗子=訳 仕様:四六判カラー/232頁/価格:1,595円(税込)/発行:キネマ旬報社 ※電子版書籍も発売中 いつからか結婚の話題を出さなくなった両親、いざ結婚へのプレッシャーが消えると沸いてくる焦りと挫折感、ムカつくほど広がっていく毛穴、日に日に低下する記憶力、人生で最も輝いていた瞬間へのノスタルジーetc……。自分だけ置いてきぼりのような人生の中、年齢をまたひとつ重ねていく女性の共感を呼ぶエピソード満載で贈る、笑いと涙の年齢考察イラストエッセイ。 最近よく聞く言葉、“その年”で。“その年”でそれはちょっと……。年を取るって制限がつきもの? 年を取るって失っていくことなの? ミドル世代女子の飽くなき疑問と焦りにそっと寄り添い、 “自分らしく生きる”人生の選択を応援する、日常共感書。 大人気コラムニスト、ジェーン・スー氏がコメントを寄稿! 「あまりにも正直すぎて、気が滅入ったあと声をあげて笑ってしまった。 大丈夫、なんとかなるよ。」―ジェーン・スー氏