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【あの頃のロマンポルノ】第10回 プロフェッショナル神代辰巳
2021年5月7日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、「キネマ旬報」に過去掲載された記事の中から、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げていく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時連載していきます。 今回は、1973年発行『キネマ旬報』5月下旬号に掲載されました、神代辰巳監督の特集記事を転載いたします。 1919年に創刊され100年以上の歴史を持つ「キネマ旬報」の過去の記事を読める貴重なこの機会をお見逃しなく! 「プロフェッショナル神代辰巳」 神代の処女作『かぶりつき人生』を私は公開当時から観ているが、正直言ってこの作品を分かったと言える自信がなかった。情念のままにぶつ切りになって行く様な演出。妙に心にひっかかるラストの不可解さが印象に残っている。 それから四年。神代は日活ロマンポルノ初期秀作群の中核的作家として我々の前に姿を現わした。見事に自身の文体を持った作家としてである。 ▲『一条さゆり 濡れた欲情』の撮影中 神代辰巳監督(中央) 神代辰巳は、「葉隠」で有名な鍋島藩の城下町佐賀市に生まれた。生家は祖父の代からの薬問屋。当時使用人が20人位いた。父は小倉の陸軍病院に薬剤師として勤務していたが、中学二年の頃腹膜炎で死亡。母の実家は佐賀の醤油屋で父には絶対服従の昔かたぎの人だったらしい。 昭和15年彼は旧制佐賀中学に入学する。「葉隠」一本槍の教育を受けた。中学時代の彼は〈軟派〉学生で、文学書をよく読み映画をよく観るといった生活だった。教師に陸軍士官学校も海軍兵学校も受けないと言って殴られた経験がある。この頃「プラーグの大学生」という映画に強い印象を受ける。男四人女一人の五人兄弟の長男だったが、家を継ぐ意志はなかった。 昭和20年九大附属医学専門部に入学。軍隊にとられたくなかったからである。敗戦。その年いっぱいで学校を辞め、佐賀高校を受け直す勉強を始めた時、肋膜炎に倒れた。半年間寝た切りの生活を送る。この時期に読んだキェルケゴールから大きな影響を受けた。 昭和22年早稲田第二高等学院に進む。小説家になろうと思っていた。24年、新制大学に切り替わり早大文学部英文科へ。この頃の彼の生活を一口で言えば、親のスネをかじり学校へ行かずに下宿に文芸雑誌を何冊も買い込んで来て、小説家を目指す学生が誰でもそうである様に、少し書いては止め、少し書いては止めの毎日だった。三年の頃映画に進もうと考え始める。小津安二郎が大好きだった。 昭和27年松竹京都撮影所入社。同期に蔵原惟繕、松尾昭典、長谷和夫がいる。最初についた監督は内出好吉。高田浩吉物の時代劇だった。29年制作を再開した日活に蔵原が移る。半年後松尾昭典が、30年に神代も移った。給料が三倍にハネ上がった。滝沢英輔や森永健次郎の作品についた後、斎藤武市の「渡り鳥シリーズ」にはすべてついている。とにかく忙しかった。 神代:映画づくりは誰に学ぶというより自分で獲得して行くもので、他人の影響はないと思いますね。例えばフランス・ヌーベル・バーグがフィルムライブラリーから生まれたように。自分でも映画を観てますし。映画はすべてその監督のものだという気がします。 この後、蔵原惟繕の『何か面白いことないか』『執炎』などの助監督をしながら自作の準備にかかる。39年「泥の木がじゃあめいてるんだね」(「映画評論」39年3月号掲載)というオリジナル・シナリオを書き上げ、製作寸前まで行ったが、商売にならないという理由で中止となる。当時の神代を久保圭之介プロデューサーは次の様に書いている。「コツコツとコタツの中で全く孤独で書いている彼の姿に、私は限りなく作家を感じます。」(前出)。後年『濡れた唇』や『白い指の戯れ』となって結晶した原型シナリオ「痴漢ブルース」「スリ」はこの時期に書いた。 昭和42年にデビュー作『かぶりつき人生』(公開は43年)を撮った後、四年間干された。その間テレビの仕事を手がけ、日本テレビ火曜日の女シリーズ「九月は幻の海」(2本)、すばらしい世界旅行(1本)、フジテレビ恐怖劇場アンバランス第五話「死骸を呼ぶ女」を撮る。 昭和46年日活は、ロマンポルノ製作に踏み切った。この転換を彼は次の様に語る。 神代:これは今までの映画界の常識から言ってはるかに好きなことができる革命的なことです。これまで撮りたくても撮れなかったものがどんどんできるんだからすごいことですよ。 それに関しては我々の観て来たとおりである。日活アクション全盛期を裏で支えながら、全く〈孤独〉に自己資質をたくわえていった作家といえる。 * 『かぶりつき人生』を撮った後、会社から干されている頃だったと思う。一本撮っただけでヤル気があるのかないのかわからないといった感じのこの作家に関する私生活上の風聞を耳にした。それは女との複雑な〈関係〉に身を溺れ込ませているといった類いのゴシップで、映画をつくらずに生活の水位に深くかかえ込んでいるこの人の"修羅"を私は思わずにはいられなかった。 ▲『一条さゆり 濡れた欲情』の撮影中 談笑する神代辰巳監督(右) この記事のためのインタビューの中で神代氏は「自分を曝さない人なんてインチキだと思いますね」と言った。佐藤重臣は『一条さゆり 濡れた欲情』の中で、ヒモが担ぐ大きなトランクを指して次の様に書いている。「あの金属製のトランクは、つまり、神代にとって、人生のガラクタをつめた十字架なのだ。それは貧困極まりない、今日の日本映画の様でもあるし、神代自身の十字架でもあるようだ。」(「映画評論」47年12月号) 神代の作品が我々に時代へのアイロニカルな対応と見えたり、現実に大してニヒリスティックなカーブを描く様に見える時、ほんとは〈私はこれだけです〉と自身を時代の風圧に曝すことによってそれを強いたものとよく対峙していると言うべきである。 文・吉田成己「キネマ旬報」1973年5月下旬号より転載 『一条さゆり 濡れた欲情』【Blu-ray】 監督・脚本: 神代辰巳 価格:4,620円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 日活ロマンポルノ 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 オフィシャルHPはこちらから -
【第11回】みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ
2021年4月30日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定) 今回の特集は、山本晋也監督の作品。初放送の作品も多いと思うんですが、きっと皆さんにもお楽しみ頂けると思います。晋也番組特集楽しみにご覧くださいませ。 ほとんどビョーキ! 生まれた瞬間から始まる、余生へのカウントダウン。残された人生をハッピーエンド&グレイトにすごすため、男たちの永遠のバイブル!日活ロマンポルノ青春ロードショー!こんやはシンヤ・ヤマモト・プレゼンツ「晋也番組」。日本の男が一度はお世話になったアノ「キング・オブ・ポルノ」山本晋也を大特集!!奇想天外ぶっ飛びポルノ。常識を覆すエロアーナキーが蘇る!真っ暗闇に広がる大人のワンダーランド。あの頃、晋也がエロかった! まだ、バリンバリン童貞だった頃から、よくポルノ映画見に行ってたんですが、何本かに1本山本晋也監督の作品が入っていることが多かったんです。その時、僕は、「何のために生きてるんだろう?」みたいな、すごく人間としての疑問が出るぐらいのギャグポルノっていうんですかね?エロとギャグ。 当時のちょっと理解し難い組み合わせだったんですけども。後にSEX を覚えてから、意外と笑いとエロは背合わせであるって事がって事が、ようやくわかってきました。ずいぶん前の話なんですけども、当時、つき合ってた彼女の部屋で、たまたま日曜日の夕方にエッチを始めちゃたんですけどもね。テレビがつけっぱなしだったんですよね。僕も、まぁいいかと思っていたんですけども、しばらくして「笑点」のあのテーマ曲が流れてきてね、どうしたもんかと思いました。でも自然と動いているんですよね。もう、そんな自分が可笑しくて、笑い出しそうになったんですけど必死に我慢しました。それですよね、山本晋也監督作の世界観って、と勝手に思っています。 これは重要なことなので、ちょっと語っていいですか? 日本に「LOVE & SEX」 っていう言葉が持ち込まれたのは60年代後半ぐらいですよね。 たぶん、その以前に訳が「LOVE=愛」はあったでしょ?だから「LOVE & SEX」って言葉を知った時、やはりここは行為中に、二度三度「愛してる」とか言ったほうがいいんじゃないかと思って、言っていたんですよね。でも、彼女の方から「本当に愛してる?」と聞き返された時はドキッとしました。だって、愛についてよく知らなかったんですから。この山本晋也監督の作品をずらっと観てもらうと分かりますけども、この言葉が輸入される時にラブとセックスが入れ替わっちゃって「SEX LOVE」なんてことになったのではないかと。和訳すると「交尾愛」ですからね(笑)。 今回、そんな『それゆけ痴漢』、『ポルノ・チャンチャカチャン』、『赤塚不二夫のギャグポルノ 気分を出してもう一度』、そして『好色透明人間 女湯覗き』という4作品をお送りします。山本晋也監督の作品は、ものすごい数を撮られているんですけど、取り分け、“これぞ晋也作品”という、タイトルだけでも見ていただきたいと思います。まず、監督と言えば、「下宿シリーズ」ですね。 下宿のおねえさんが、牛乳瓶のフタみたいなレンズのメガネをかけたマジメ大学生を誘惑したりするシリーズの一本だと思いますね。 『続・未亡人下宿 表も貸します裏も貸します』 ま、後ろから前からのハシリでしょうね。 『セミドキュメント 新・未亡人下宿』 セミっていうのがいいですよね。半分ホントってことですよね? 『ドキュメントポルノ 痴漢アパート』 こいれにはセミが入ってないですね。こんなアパートに入る人いるんですかね? 『新・未亡人下宿 すぐ入れます』 どうやらいつも空いているようですね。 晋也監督と言えばこの「痴漢シリーズ」も有名ですけど、どうなんですかね?今では考えられないシリーズでしょ? 『ドキュメントポルノ 痴漢集団』 『ドキュメントポルノ 続・痴漢集団』 『セミドキュメント にっぽん痴漢五十年史』 また、セミですが、いつから、50年をさかのぼっているのでしょうかね? 『ドキュメントポルノ 痴漢常習犯』 いや、もうこうれはダメでしょう。 『それゆけ痴漢』 それゆけって、一体だれが言っているんですかね? 『ドキュメント・ポルノ 女紐』 『ドキュメントポルノ (秘)痴漢テクニック』 『ドキュメントポルノ 温泉旅館(秘)テクニック』 このジャンルを一手に引き受けてらっしゃったということがスゴイです。今観ると、すごく外ロケの撮影がしっかりしているんですよね。ちょっと夜のシーンが当然、多いですからね。相当な照明をたいて撮影してらっしゃったということです。すごい撮り方も凝っておられます。言い方変なんですがマットーな映画のように撮っておられるんですよね。それでタイトル『それゆけ痴漢』ですからね。面白くないわけないとは思いますけどね。エロにはやはり面白い世界があるということですよね。それを今回観ていただくということです。 『それゆけ痴漢』(1977年) 『ポルノ・チャンチャカチャン』(1978年) 『赤塚不二夫のギャグポルノ 気分を出してもう一度』(1979年) 『好色透明人間 女湯覗き』(1979年) ※各作品はFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です 『好色透明人間 女湯覗き』の発想って後にケヴィン・ベーコン出演の『インビジブル』(2000年 アメリカ映画)ってのがありましたけど、影響下にあるんじゃないですか?『インビジブル』でも透明人間になると、やっぱり女性のお尻を触ったりするんですよね。晋也監督作の方は、女湯に行くんですがね。いや、この晋也作品、特撮もスゴいです。円谷英二さんが特撮監督した『透明人間』(1954年東宝製作)に匹敵しますよ。そういうとこも気を付けて観て頂きたいです。ということであなたもグレイト余生を! 出演・構成:みうらじゅん /プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活 ■2021年5月 放送予定 【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方) ・『団鬼六 薔薇地獄』 ・『薔薇のためいき』 ・『黒薔薇昇天』 ・『白薔薇学園 そして全員犯された』 〔日活ロマンポルノ傑作選~団鬼六と女王たち~〕 ・『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壺』 ・『団鬼六 女美容師縄飼育』 ・『団鬼六 縄責め』 ・『団鬼六 美教師地獄責め』 【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方) ・『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壺』(R-15版) ・『団鬼六 薔薇地獄』(R-15版) ・『タクシー野郎 夜の淫花』(R-15版) あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯96」を放送! ※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集! 【日活ロマンポルノ】 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから -
Netflix『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のノア・シュナップ主演!心もお腹も満たしてくれるフード映画 ブラジル人監督の実体験に基づく少年の成長譚 映画『エイブのキッチンストーリー』 料理が大好きな12歳の少年が、バラバラになってしまった家族の絆を“手作り料理”で取り戻そうとする。と聞くと、よくあるお涙頂戴映画のようだが、本作が面白いのは、ニューヨーク・ブルックリン育ちの主人公エイブがイスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ、その境遇にある。それもそのはず、本作は映画監督でYoutuber、新聞や雑誌の記者でもある多彩なフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデの半生をベースにしており、一種自伝的な側面もある物語だからだ。 映画初主演でエイブを演じるのは、Netflixの大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(’16~)のウィル役でお馴染みのノア・シュナップ。エイブが料理を学ぶ師匠チコを、路上生活をしながらブラジリアンポップサンバを改革した人物として知られ、ウェス・アンダーソン監督作『ライフ・アクアティック』(’04)にも出演する偉才の持ち主セウ・ジョルジが好演している。 “フュージョン料理”に魅せられたエイブのひと夏の大冒険 物語は、エイブの12歳の誕生日から始まる。「人と話すより料理をしているほうがいい」と語るエイブは、料理を作ってはSNSに投稿。自分の誕生日のごちそうだって自分で作る。でも、何かと口を挟んでくる母の言いなりになるうちに、ケーキのスポンジはぺしゃんこ。さらに、孫を祝うために集まったはずの祖父母はいつしか宗教や文化の違いで対立し、エイブそっちのけで食卓には険悪な空気が漂う。これが、エイブの家族のいつもの風景だ。 しかし、12歳になったエイブはこれまでとはひと味違う。偶然、ネットで知った料理人・チコに思い切って会いに行くことにしたのだ。違う文化の料理をミックスし、新たなメニューを生み出す “フュージョン料理”を作るチコに衝撃を受けたエイブは、彼に弟子入りを志願する。始めは適当にあしらっていたチコも、エイブの熱意に押され渋々受け入れるのだが…。 人間関係も“味付け”次第でその可能性は無限に広がる 本作には、ブラジル料理をジャマイカ風にアレンジした“アカラジェ”や、イスラエル料理のフムスとハラーを組み合わせた創作料理など、おいしそうでユニークなメニューがたくさん登場する。好奇心に任せて何でも掛け算すればいいというわけではなく、食材を吟味し何度も試作を繰り返し、初めて調和(フュージョン)のとれた料理ができあがるのだ。 人間関係だって同じなのかもしれない。バラバラになってしまった家族に自作料理を食べてもらおうと試行錯誤をするエイブの姿から、そんなことを痛感させられる。おいしいものを食べて怒り出す人はおそらくいないだろう。文化が違っても、境遇が違っても、人間がいがみ合うのではなく調和することを共に目指せれば、きっと人生は、そして世界は豊かになる。そんな無限の可能性で心もお腹も満たしてくれる、フード映画の秀作がまたひとつ誕生した。『エイブのキッチンストーリー』は、現在先行デジタル配信中で5/7にBlu-ray&DVDがリリースとなる。 文=原 真利子/制作=キネマ旬報社 『エイブのキッチンストーリー』 ●3月20日(土)より先行デジタル配信 ●5月7日(金)Blu-ray&DVDリリース デジタル配信・Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray 5,280円(税込) DVD 4,180円(税込) ●2019/アメリカ・ブラジル/本編85分 ●監督・原案/フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ、脚本/ラミース・イサック、ジェイコブ・カデル 出演/ノア・シュナップ、セウ・ジョルジ、ダグマーラ・ドミンスク、アリアン・モーイエド、マーク・マーゴリス ●発売・販売元:ポニーキャニオン ©2019 Spray Filmes S.A.
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GWはネトフリアニメ! 戦国時代にアフリカ人で初の武士となったYASUKE-ヤスケ-
2021年4月27日アフリカ人で初の武士となった最強の浪人・ヤスケが主人公のNetflixオリジナルアニメ、ファンタジー時代劇「Yasuke -ヤスケ-」(全6話)が、遂に2021年4月29日に全世界独占配信スタート! 一度は隠居の身となった浪人ヤスケが、謎の力を持つ少女・咲希を闇の力から守るため、再び刀を手に取り立ち向かっていく。 主人公のヤスケを始め、織田信長、謎の力を持つ少女・咲希、恐ろしい力を操る闇の大名 、ヤスケと共に織田信長に仕えていた夏丸、咲希を狙う神父アブラハム、戦国の世を生き延びた戦士・守助、アブラハムに雇われた傭兵軍団・イシカワ、アチョウジャ、ハルト、ニキータ、そして咲希の母親・一華と、個性豊かなキャラクターの姿も明らかになった。 原案、プロデュースそして監督を務めるのはラション・トーマス、彼にとって前作「キャノン・バスターズ」に続き2作品目のNetflixオリジナルアニメシリーズとなります。アニメーション制作を「ドロヘドロ」、「進撃の巨人 The Final Season」や「呪術廻戦」など国内外を問わず高い評価を得ているMAPPAが担当し、キャラクターデザインを小池健(「LUPIN the Third -峰不二子という女-」)が手がけます。第93回アカデミー賞で『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』で助演男優賞にノミネートされ注目を浴びる俳優のラキース・スタンフィールドがヤスケを演じ、グラミー賞にノミネーションされた経歴を持つフライング・ロータスが音楽で参加。 併せて、咲希を守るヤスケと彼らを不敵に見つめる目が描かれたキーアートも解禁され、いよいよ全貌が明らかになるヤスケの戦いに期待が高まる。 【キャラクター紹介】 ●ヤスケ(CV:副島淳) アフリカ人で初の武士として織田信長に仕え、本能寺の変の後は隠居し、浪人として生活を送っていた。船頭として細々と暮らしていたが、咲希と出会い彼女を守るため、再び戦いへと身を投じていく。 ●織田信長(CV:平岳大) 戦国時代の大名。「古きものに囚われていては先に進めない」という前衛的な考えの持ち主。ヤスケを気に入り自身のもとへと招き入れる。 ●咲希(CV:田村嬉子) 謎の力を持つ少女。ヤスケが住む村で母親の一華と暮らしていたが、突如眠っていた力が目覚め、闇の勢力から追われることとなる。 -
【あの頃のロマンポルノ】第9回 1972年内外映画総決算 日本映画編
2021年4月23日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げ る定期連載記事を、キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。キネマ旬報」に過去掲載された、よりすぐりの記事を「キネマ旬報WEB」にて連載していく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。(これまでの掲載記事はコチラから) 連載第9回は、佐藤忠男氏による「1972年内外映画総決算 日本映画編」の記事を「キネマ旬報」1972年2月上旬特別号より該当部分を一部抜粋してお届けいたします。1971年11月20日の『団地妻 昼下りの情事』と『色暦大奥秘話』の公開でスタートした日活ロマンポルノ。本格稼働した1972年の日本映画の総評の中にて、ロマンポルノ作品がまず言及された点において、当時の映画業界の中で注目を集めていたかを知ることができるのではないでしょうか。過去の記事を改めて読める貴重なこの機会を、ぜひお見逃しなく! 沈滞と昂揚が同時に 一部にめざましい昂揚 ▲『一条さゆり 濡れた欲情』より 1972年の日本映画は、総体的には甚だしい沈滞をつづけたが、一部にめざましい昂揚があった。 めざましく昂揚した部分として、とくに目立ったのは日活のロマンポルノであり、とくに神代辰巳監督の「濡れた唇」、「一条さゆり 濡れた欲情」の二本と、村川透監督の「白い指の戯れ」、それに、藤田敏八監督の「エロスの誘惑」などであった。日活が、71年に、いったん製作の中止を発表したとき、これで日活映画もおしまい、と思われたし、その後、ロマンポルノ路線を発表したときも、それまでの日活の有名監督たちはすべて手をひき、スターたちも他社へ去った状態だったので、直接費700万円とかいう極端な低予算ではたしてどれだけのことができるのか、ほとんど期待できないのではないかと思われたが、目だたない二線級の監督と目されていた神代辰巳がとつぜん見違えるばかりの旺盛な作家精神を燃やして、なるほどポルノにもこういう行き方があったか、と瞠目するような作品を発表したのは嬉しい驚きであった。 ▲『一条さゆり 濡れた欲情』より そこには、堕ちて、堕ちて、堕ちぬくということの壮烈な快感がうずいており、敗戦直後に坂口安吾が「堕落論」で説いたようなことが、いまようやく、具体的な作品に実ったかのような感慨があった。そう言えば、神代監督は、安吾が「堕落論」を書いた頃に学生だった世代に属している。村川透の「白い指の戯れ」もシナリオに神代辰巳が協力しており、その作中人物の人生に対する捨て身の構えには神代辰巳の人間観が濃密に出ていると思う。それを、若い村川透が、ニューシネマふうのソフトなさわやかな感触に染めあげ、さらに、主役に荒木一郎を起用したことで、その、現代青春風俗の一断面としてのリアリティは確固たるものになった。 ▲『濡れた唇』より 藤田敏八の「エロスの誘惑」は、堕落とか反抗とかいう構えをぬきにした、もっと普通の映画である。松竹蒲田いらいの日本映画の伝統的な下町庶民ものと言ってもいい。人間の生活をリアルに見つめれば、とうぜん、そこにセックスの要素も入ってくる、というように、この映画にもセックスの要素が入ってくる。ポルノ路線を名乗ることによって、却って既成のホームドラマよりも、もっと生活に密着した作品が生まれる可能性がある。その可能性に注目したい。ただし、この作品がそういう作品として充分成功していたかといえば、かなり、もの足りないと言わなければならない。 ところで、傑出した作品はあったが、日活ロマンポルノの全体が昂揚していたというわけではない。沢田幸弘監督の「濡れた標的」などを見ると、ねらいは分るが、物質的な貧しさと俳優の貧しさとで、ねらいが空まわりしていることは否めないと思う。他にも、調刺的な時代劇などで面白い作品もあったが、安手な作品も少なくはなかった。もちろん、安手な作品が少なくないのは日活だけのことではない。当り前のことであるが。 文・佐藤忠男 「キネマ旬報」1979年4月下旬号より転載 『一条さゆり 濡れた欲情』【Blu-ray】 監督:・脚本 :神代辰巳 価格:4,620円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 『白い指の戯れ』【Blu-ray】 監督:神代辰巳 脚本:神代辰巳・村川透 価格:4,620円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 『エロスの誘惑』【DVD】 監督:藤田敏八 脚本:松田昭三 価格:3,300円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 日活ロマンポルノ 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 オフィシャルHPはこちらから