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チェコの伝説的大作「マルケータ・ラザロヴァー」、フランチシェク・ヴラーチル監督のコメント公開

チェコ・ヌーヴェルヴァーグの巨匠フランチシェク・ヴラーチル監督による1967年の大作「マルケータ・ラザロヴァー」が、7月2日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。監督が生前に残した貴重なコメントが公開された。

 

 

13世紀ボヘミア王国を舞台に、宗教と部族抗争に翻弄される少女マルケータを描いた「マルケータ・ラザロヴァー」。タルコフスキーの「アンドレイ・ルブリョフ」や黒澤明の「七人の侍」などと並び評され、チェコの映画批評家とジャーナリストを対象にした1998年の世論調査で史上最高の映画に選出された。

 

フランチシェク・ヴラーチル監督のコメントは以下。

「道は似ていて、様々な木が並ぶ」「まっすぐな木に高い木、風に揺れる木」──ヴァンチュラが原作で書いた言葉が非常に印象的だった。私は映画作りで風景を何より重視する。私にとって芸術とは視覚芸術で、昔から映画の風景ばかりを見ていて字幕を読むのに苦労した。物語の主題は目に見えないので、映画の主題を決めるのは大変な作業だったよ。映画向けに作られたオリジナルの物語でも、小説が原作の物語でもどちらでもいい。重要なのは物語の第一印象だよ。かすかな印象でも十分だ。
先ほど、本作の原作について言及したがもう一度引用したいと思う。「道は似ていて様々な木が並ぶ」「まっすぐな木に高い木、風に揺れる木」。多くの知恵を含みながらも視覚的な印象を強く与える言葉だ。頭に浮かぶ第一印象は壮大である必要はない。かすかなイメージさえ得られればそれを踏み台にできる。そして1つの物語に膨らませていけばいい。
映画作りに最も近い芸術形態は恐らく詩だろう。詩を構成する節の一つ一つにはそれぞれ違う意味がある。映画も同じように数多くのショットで構成されている。違う意味を持つ複数のショットを編集で組み合わせるとまた違う意味が生まれる。そういう意味で映画は詩的な芸術であり、それこそが映画の魅力だろう。

『In the Web of Time (V síti času)』(1989年/監督:フランチシェク・ウルドリッヒ)より

 

フランチシェク・ヴラーチル František Vláčil プロフィール
1924年チェコスロバキア(現チェコ共和国)チェスキー・チェシーン生まれ。1945年よりブルノの大学で美学と美術史を学ぶ。在学中に映画製作に興味を持ち、ブルノ漫画・人形映画スタジオで脚本家として働いたのち、新設された科学教育映画スタジオで短編ドキュメンタリー映画の制作に携わる。1951年からは陸軍の映画スタジオで働き、短編ドキュメンタリーを制作。1958年に初の短編劇映画「ガラスの雲」を監督した。その後、チェコの大スタジオ〈バンドラフ・スタジオ〉に移り、1960年に初の長編映画「白い鳩」を監督。同作はカンヌやヴェネチアなどの国際映画祭で評価され、チェコ・ヌーヴェルバーグの嚆矢といわれている。その後、「悪魔の罠」(61)「マルケータ・ラザロヴァー」(67)「蜂の谷」(67)の歴史三部作および初のカラー作品「アデライド」(69)を監督し、それぞれ高い評価を得た。〈正常化〉以降、ヴラーチルは長編映画の製作を許されず、バランドフ・スタジオを去らざるを得なかった。1976年に再び長編映画の製作が許可されて「焼きジャガイモの煙」(76)を監督。「暑い夏の影」(77)はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でクリスタルグローブ賞を受賞した。ビロード革命後、それまでのチェコ映画への貢献に対してチェコのアカデミー賞であるチェコ・ライオン賞が授与され、チェコ映画テレビアカデミーの会長に就任した。1999年死去。

 

 

© 1967 The Czech Film Fund and Národní filmový archiv, Prague
配給・宣伝:ON VACATION

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