カンヌで受賞。法に抗って同性を愛する自由を求めた男の物語「大いなる自由」

 

男性同性愛が禁じられた中で、愛する自由を求め続けた男の20余年にわたる物語を描き、2021年カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞を受賞、2022年アカデミー賞国際長編映画賞オーストリア代表作に選ばれた「大いなる自由」が、7月7日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかで全国順次公開される(Bunkamuraル・シネマが自社買付し、初めて全国配給する作品となる)。

 

 

ドイツの男性同性愛を禁じた刑法175条は、1871年から1994年まで123年間施行され、ナチス時代には厳罰化されて14万人も処罰された(※同法は男性のみが対象で、女性同性愛については違法と明記されていなかった)。

そうした法に抵触するとして繰り返し投獄される主人公ハンスを演じたのは、ミヒャエル・ハネケ監督「ハッピーエンド」(17)やドイツ映画賞主演男優賞に輝いた「希望の灯り」(18)、クリスティアン・ペッツォルト監督「水を抱く女」(20)で印象を残した俳優にして、ダンサー・振付師でもあるフランツ・ロゴフスキ。そして、同性愛者のハンスを嫌悪していたものの次第に心をほどいていく殺人犯ヴィクトール役には、「Bright Nights」(17・未)でベルリン国際映画祭最優秀男優賞に輝いた演技派ゲオルク・フリードリヒ。絶妙な距離感を見せるふたりのケミストリーは、「言葉はいらない。この二人がいればいい」(DEUTSCHLANDFUNK KULTUR)、「傑出した俳優たちによる、力強く忘れがたい物語」(POLYESTER FRANCE)と称えられた。

監督・脚本はオーストリア人のセバスティアン・マイゼで、高く評価された長編デビュー作「Still Life」(11・未)以来の劇映画となる。撮影はセリーヌ・シアマの「水の中のつぼみ」(07)「トムボーイ」(11)「ガールフッド」(14)を手掛けたクリステル・フルニエ。

映画は「レンブラントの絵画のような美しさ」(SCREEN DAILY)、「深遠なる官能」(Little White Lies)と評され、日本でも2022年レインボー・リール東京で上映されて称賛を呼んだ。迫害の歴史の中に、愛と自由の本質を見つめた静かな衝撃作だ。

 

 

【Bunkamuraル・シネマ編成担当のコメント】
パンデミック下、2021年5月のカンヌ国際映画祭。現地参加を見送りオンラインで試写した本作には、編成チーム一同ぜひ上映したい!と魅了されました。公開方法を模索するなか、昨年7月にレインボー・リール東京で再見。スクリーンで、そして日本語字幕付きで観ると、ますます「見過ごされてはならない映画」だと確信し、自分たちで全国配給することを決めました。

 

Story
第二次世界大戦後のドイツ。男性同性愛を禁じた刑法175条のもと、ハンスは性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の殺人犯ヴィクトールは彼を嫌悪して遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所から刑務所へ直接送られたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる頑固者ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まったふたりの関係は、長い年月を経て、互いを尊重する絆へと変わっていく。

 

「大いなる自由」

監督・脚本:セバスティアン・マイゼ 共同脚本:トーマス・ライダー 撮影監督:クリステル・フルニエ 編集:ジョアナ・スクリンツィ 音楽:ニルス・ペッター・モルヴェル、ペーター・ブロッツマン
出演:フランツ・ロゴフスキ、ゲオルク・フリードリヒ、トーマス・プレン、アントン・フォン・ルケ
2021年/オーストリア、ドイツ/116分/1:1.85/カラー/原題:Große Freiheit/英題:Great Freedom
配給:Bunkamura
©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions
公式サイト:https://greatfreedom.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/greatfreedomjp
公式Instagram:https://www.instagram.com/greatfreedomjp

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