紛争の背景が見える「ウクライナから平和を叫ぶ」、国際政治学者グレンコ・アンドリーのコメントなど到着
- ウクライナから平和を叫ぶ~Peace to You All~ , ユライ・ムラヴェツJr.
- 2022年07月05日
紛争当事者双方の証言を集め、現在のウクライナ情勢の背景を浮かび上がらせるドキュメンタリー「ウクライナから平和を叫ぶ~Peace to You All~」が、8月6日(土)より渋谷ユーロスペースで公開。特報&場面写真および国際政治学者グレンコ・アンドリーのコメントが到着した。
親ロシア派と親欧米派が対立してきたウクライナと、同国の欧州連合やNATO加盟を警戒して圧力をかけてきたロシアのプーチン大統領。発端は2013年9月、ウクライナのヤヌコーヴィチ大統領が欧州連合との連合契約に署名しなかったことに遡る。これを受け、親欧米派の野党や大統領の汚職を批判する市民による大規模な反政府デモが勃発。翌年、ヤヌコーヴィチ大統領は国外へ逃走し、ロシアがクリミア半島を併合する。さらにルハーンシク州とドネツク州では、親ロシア派が分離共和国を宣言し、ウクライナとの紛争状態に陥った。その渦中にいた国民に何が起きたのか。この状況をどう捉えてきたのか。生活はどう変わったのか。
本作は、2010年より旧ソ連の国々を取材してきたスロバキア人写真家ユライ・ムラヴェツJr.が2015年にウクライナ入りし、ドネツク側とウクライナ側双方の生の声を記録したもの。ドネツク側では、戦争に参加した鉱夫と参加しなかった鉱夫、ウクライナ兵にスパイと間違えられ拘束された人、「プーチンに助けてほしい」と言う女性、ウクライナ側では、大佐、手榴弾で手足を失った退役軍人、老女、子供、ホームレスなどが証言。当時を辿ることで、現在の紛争の本質が見えてくる。
なお、監督が2014年と2022年にウクライナで撮影した写真をプリントしたチャリティTシャツ(売上金の一部はウクライナ大使館に寄付される)と全国共通特別鑑賞券(税込1300円)が、公式販売ページで販売中(▶︎ 販売ページはこちら)。
全国共通特別鑑賞券の購入者には、ウクライナ料理レシピカード3種のうち1種がランダムで配布される(カードのQRコードからアクセスすると料理動画が視聴可能)。
グレンコ・アンドリー(国際政治学者)コメント
戦争とは、テレビで見られる燃えている建物の映像ではない。何十万人、何百万人の悲劇の積み重ねだ。出てくる人達の一部はウクライナを憎み、ロシアに助けを期待している。悲惨な目に遭いながら、この状況を起こしたロシアに感謝する、これほど悲しいことはないだろう。
この映画は、ロシアによる全面侵略の数年前に、ウクライナ東部での局地戦争が続いていたころに制作された。あの頃は、ドンバスだけが戦場となり、他の地域は直接な攻撃を受けなかった。ここで描かれている光景だけでも、戦争はいかに恐ろしいか、十分理解できるはずだ。
Story
2013年の大衆デモ〈ユーロマイダン〉により、ウクライナでは親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領が追放され、親欧米派の政権が樹立された。しかし東部ドネツク州とルハーンシク州では、ロシアを後ろ盾とする分離主義勢力とウクライナ政府の武力衝突が勃発。14年4月、分離主義勢力によりドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立が宣言される。15年4月、スロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツJr.は、ユーロマイダンの中心地だったキーウからドネツクに向かう。
そこでムラヴェツに戦争の悲しみと平和への望みを語る住民たち。クリフリク村最後の住民となった老婆は「プーチンに助けてほしい」と訴える。16年2月、ドネツク人民共和国情報省より入国禁止ジャーナリストに指定されたムラヴェツは、今度はウクライナ側の村や紛争の最前線マリウポリで取材を開始する。ドネツク側とウクライナ側の住民に等しく話を聞くことで見えてくる、「繰り返される戦争の理由」とは?
「ウクライナから平和を叫ぶ~Peace to You All~」
監督・脚本・撮影:ユライ・ムラヴェツJr.
出演:ユライ・ムラヴェツJr.、ウクライナの人々、ドネツクの人々
原題:Mir Vam(英題:Peace to You All)
2016年/スロバキア/1時間7分/カラー・モノクロ/1.85:1/ステレオ/スロバキア語・ウクライナ語・ロシア語
配給:NEGA 配給協力:ポニーキャニオン 監修:岡部芳彦
© All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televízia Slovenska
公式サイト:https://peacetoyouall.com
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