イオセリアーニ映画祭、マチュー・アマルリックの俳優デビュー作「月の寵児たち」映像、著名人コメントなど到着
- マチュー・アマルリック , オタール・イオセリアーニ , 月の寵児たち , そして光ありき , ここに幸あり , 汽車はふたたび故郷へ , 皆さま、ごきげんよう , 唯一、ゲオルギア
- 2023年02月06日
名匠オタール・イオセリアーニの全監督作21本をデジタルリマスター版で上映する〈オタール・イオセリアーニ映画祭 〜ジョージア、そしてパリ〜〉が、2月17日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シアター・イメージフォーラムで開催。日本で劇場初公開となる「月の寵児たち」(84)の本編映像・場面写真および同作で俳優デビューしたマチュー・アマルリックのコメント、さらに各作への著名人コメントが到着した。
イオセリアーニが故郷ジョージアからパリに拠点を移して初の長編であり、ヴェネチア国際映画祭審査員大賞に輝いた「月の寵児たち」。パリの女画廊主と愛人の技師、鉄砲店主、美容師、警視、空き巣の父子、過激派の音楽教師、娼婦、暗殺者のアラブ人、ホームレスなどが主役・脇役の区別なくポリフォニックに描かれた、奇想天外でとぼけた味わいの群像劇だ。到着した本編映像では、「空き巣の息子」を演じるマチュー・アマルリックが確認できる。
場面写真は、イオセリアーニ作品ではおなじみの食事シーン、窓から外を見る空き巣親子と隣人女性、テレビに釘づけの子供たちを切り取っている。
マチュー・アマルリックのコメント
みなさんは何と幸運なのでしょう!
あなたたちは一人の映画作家を発見することになるのです。彼のおかげで世界は再び、生きていてよかったと思えるもので一杯になる。彼は皮肉屋だけれど心根はやさしく、不条理かと思えば音楽性に富んでいて、そして可笑しい。
まずは彼が故国で撮ったジョージア映画から見始めてください。
それから彼がフランスで撮った映画。
ぼくはオタールのおかげで映画の世界に入ることができて、とんでもなく幸運でした。彼がぼくの人生を見つけ出してくれたのです。彼は子供の頃からぼくを知っており、ピアノの練習を助けてくれたし、もっと後では、映画の編集を手伝ってくれました。毎日彼のことを思います。彼の精神の気高さ、遊びを許す正確さ、人やものに投げる優しい、いたずらっぽい視線。今ほど彼が求められる時代もありません。
お楽しみください。
各作への著名人コメントは以下(敬称略)。
「月の寵児たち」(84)
歴史、生活の中で
繰り返される愛おしさと
繰り返してしまう愚かさの同居に、
悲しさがコメディになる事を思い出していました。
場所や音、モノ、動物達がそれを関係ないみたいに側で見ている事で、その哀愁漂う人間臭さが
強調されていたのが印象的でした。
──たなかみさき(イラストレーター)

「そして光ありき」(89)
舞台がアフリカ、ディオラ族の暮らす森に変わってもイオセリアーニ節は全く変わらず!むしろこの作品があっての後の傑作群なのではと思う。
セリフが無くとも伝わってくる強烈なメッセージ!
──川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)(ミュージシャン)
「唯一、ゲオルギア」(94)
時空を超えて、ジョージアの歴史、文化、人々の想いが交錯する形で伝わってきた。
ジョージアの全てを知る上でとても意義があり、ソ連とはなんだったかということ、ウクライナ問題の根源を知る上でも大変貴重な映画だ。
──廣瀬陽子(慶應義塾大学 総合政策学部教授)
「ここに幸あり」(06)
よしっ、決めた!
わたしもここの住人になる!
──矢野顕子(ミュージシャン)
「汽車はふたたび故郷へ」(10)
時間がゆっくりと心持よく流れてゆく。
こんな映画は今日ではめったに見られるものではない。
イオセリアーニは、いい監督だ。
──山田洋次(映画監督)
「皆さま、ごきげんよう」(15)
こんなに世の中が不条理で人生が辛く思える時、同じ世界が美しさも希望も含んでいることをチャーミングに教えてくれるイオセリアーニ監督にただ感謝したい。
──山崎まどか(コラムニスト)
配給:ビターズ・エンド
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