ファスビンダー作品をフランソワ・オゾンがリメイク。映画監督が美青年に翻弄される「苦い涙」
- フランソワ・オゾン , ハンナ・シグラ , 苦い涙 , ドゥニ・メノーシェ , イザベル・アジャーニ , ハリル・ガルビア , ステファン・クレポン , アマンテ・オーディアール
- 2023年02月16日
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」(1972)を、彼を敬愛するフランソワ・オゾンが現代風アレンジを施してリメイクし、第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品された「苦い涙」が、6月2日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。
ファスビンダーが自らの戯曲を基に、愛の孤独と絶望の中で葛藤する女性たちを描いた「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」。これをオゾンが、「焼け石に水」(2000)に続くファスビンダー戯曲の映画化として撮り上げたのが「苦い涙」だ。主人公を男性に置き換え、映画監督ピーターが思いを寄せる美青年アミールに翻弄されるさまを、ユーモラスかつシニカルに描き出す。
ピーターを演じたドゥニ・メノーシェ(「ジュリアン」「悪なき殺人」)はセザール賞主演男優賞にノミネート。彼の親友である大女優シドニー役には、おなじみイザベル・アジャーニ。ピーターの母親役には、オリジナル版をはじめとするファスビンダー作品の常連であり、オゾン作品へは「すべてうまくいきますように」に続く出演となるハンナ・シグラ。さらにアミール役のハリル・ガルビア、ピーターの助手であるカール役のステファン・クレポンなどフレッシュな若手俳優が共演する。
映画はベルリン国際映画祭でオープニングを飾り、カルトの巨匠ジョン・ウォーターズが2022年の第1位に選出した。往年の重要作がいかに甦るのか、期待したい。
Story
著名な映画監督のピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシェ)。助手のカール(ステファン・クレポン)を下僕のように扱いながら、事務所を兼ねたアパルトマンに暮らしていた。恋人と別れて激しく落ち込んでいた彼のもとへある日、親友で大女優のシドニー(イザベル・アジャーニ)が青年アミール(ハリル・ガルビア)を連れてやって来る。ピーターは艶やかなアミールに一目惚れすると同時に、彼の才能を見出してアパルトマンに住まわせ、映画の世界で活躍できるよう手助けするが……。
「苦い涙」
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:ドゥニ・メノーシェ、イザベル・アジャーニ、ハリル・ガルビア、ステファン・クレポン、ハンナ・シグラ、アマンテ・オーディアール
原題:PETER VON KANT/2022/フランス/フランス語/85分/日本語字幕:手束紀子/配給:セテラ・インターナショナル
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