ウクライナの家に空いた〈穴〉から、未来の惨禍が見える──「世界が引き裂かれる時」

 

2014年7月にウクライナのドネツク州で起きたマレーシア航空17便撃墜事故を背景に、同地で懸命に生きる一人の女性を描き、第95回アカデミー賞最優秀国際長編映画賞ウクライナ代表に選出、第38回サンダンス映画祭ワールドシネマ部門監督賞や第72回ベルリン国際映画祭パノラマ部門エキュメニカル賞など41冠に輝いた「世界が引き裂かれる時」が、6月17日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。ポスタービジュアルと予告編が到着した。

 

 

ロシアとの国境に近いウクライナの村。出産間近の女性とその夫が暮らす小さな家が、明け方に襲撃され、壁に大きな穴が開く。そして、修繕に取り掛かろうとする夫婦をよそに、親ロシア派と反ロシア派の対立はエスカレート。事態は混迷を深めていく……。

 

 

昨年の東京国際映画祭では「クロンダイク」の題で上映され、注目を浴びた本作。これが長編5作目となるウクライナ人のマリナ・エル・ゴルバチ監督が、長回しや遠近法を効果的に用い、ワイドスクリーンに逃げ場のない閉塞感を醸成した。ラスト15分は、対立の深まりとともに戦争の兆しが見え始め、ただならぬ緊迫感。のちに現実となるロシアのウクライナ侵攻を予見したような衝撃ドラマだ。

 

     

 

「世界が引き裂かれる時」

監督・脚本:マリナ・エル・ゴルバチ
撮影:スヴャトスラフ・ブラコフスキー 音楽:ズヴィアド・ムゲブリー
出演:オクサナ・チャルカシナ、セルゲイ・シャドリン、オレグ・シチェルビナ
2022/ウクライナ・トルコ/原題:KLONDIKE/ウクライナ語・ロシア語・チェチェン語・オランダ語/100分/カラー/DCP/ワイドスクリーン/5.1ch
配給:アンプラグド 後援:在日ウクライナ大使館
HP:https://www. unpfilm.com/sekaiga/

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