「時の娘」のストーリー

江戸情緒の面影もすっかりなくなった元吉原。想太郎の母と花火師富造は、昔、恋仲であったが、富造は、江戸花火師の意地と、床についたまま明日も知れぬ昔の惚れた女の為、仲間の花火職人と語らって、今は語り草でしかない江戸前の大花火を、法を破っても打ち上げようとしていた。しかし、名人気質で、死んだ母をかえりみなかった父親の職人としての情熱をかなしく恨んでいた娘の紋は、警察に通報しても、それも止めようとする。江戸の華はついに打ち上がらず終りかと思えたが……。