「月光の夏」のストーリー

吉岡公子はかつて教師として勤めた鳥栖小学校の古いグランドピアノについて忘れられない思い出を持っていた。昭和二〇年初夏、当時ピアノ係をしていた公子のところに、目達原基地から二人の青年特攻隊員が訪れた。生きては帰れぬ出撃を前にどうしてもピアノが弾きたいと、一人の青年はベートーベンのピアノソナタ『月光』を、もう一方の青年は『海ゆかば』を弾いて基地に帰っていった。二か月後に戦争は終わった。公子が語るその思い出は新聞やラジオで報道され、平和の記念碑としてピアノは保存されることになった。地元ラジオ局の石田りえはドキュメンタリー作家の三池安文と共にピアノを弾いたと思われる元少尉風間森介を訪ねるが、風間は何も語ろうとしない。石田たちは生き残った特攻隊員に取材を重ね、特攻出撃を途中で放棄した隊員を幽閉していた“振武寮”の存在を知り、特攻平和記念館で『月光』を弾いた海野光彦少尉の遺影を発見する。それをきっかけに風間の閉ざされた心は徐々に開き、エンジンの不調で特攻から引き返したこと、“振武寮”に入れられた屈辱と絶望の日々のことを語り始めた。半世紀を経て思い出のピアノと再会した風間は、当時を振り返りながら『月光』を奏でるのだった。

今日は映画何の日?

注目記事