「力道山」のストーリー

第二次大戦下の日本。力士の金(ソル・ギョング)は、朝鮮人だということで先輩から虐めを受けていた。ある日、刑事が金を窃盗容疑で逮捕しようとする。「濡れ衣だ!」と逃げ出す金。街中で大騒ぎとなった。群衆の中に相撲部屋の先輩・東浪関の後見人、菅野(藤竜也)もいた。金は菅野に「私は相撲がしたいだけです!」と叫んだ。その姿に心を打たれた菅野は後見人となり、「力道山」と命名した。欲しいものを聞かれた力道山は、菅野が面倒を見ていた芸子・綾(中谷美紀)を嫁にくれと言った。しかし、道は険しかった。勝ち続けていたにも関らず番付表から外された力道山。そこには明らかに「朝鮮人」という壁が立ちはだかっていたのだ。力道山は酒を煽り、暴れた。そんなある日、喧嘩がきっかけで知り合った男を通じてプロレスという格闘技を知る。男はプロレスラー・ハロルド坂田だった。国も人種も関係ないプロレスに魅せられた力道山は、菅野に頼み込んでアメリカに修行に行かせて貰う。力道山はみるみる頭角を現し、ついに日本で試合を行うことになる。1954年。柔道の井村と共にリングに上がった力道山はアメリカのシャープ兄弟を打ちのめした。その姿はテレビで全国放送され、力道山はたちまち日本の英雄になっていくのだった……。人気絶頂の力道山と菅野との間の溝が明らかになっていく。「プロレス全体」のことを考えろという菅野の言いつけを破り、取引きに応じず勝ち続ける力道山。しかし菅野からの持ち株譲渡を条件とした引退興行をついに受け入れた。綾も力道山に「一度だけ負けてください」と言った。二人の思惑通り、無抵抗に外国人レスラーに痛めつけられる力道山。しかし、ファンの声援を聞いた時、力道山に火がついた。反撃し、徹底的に敵を打ち負かしたのだ。そんな力道山に菅野は訣別を告げ、綾も去っていった。そして力道山はある日、クラブでチンピラに刺され、その数日後にこの世を去った。