この映画、公開時に観ている。ほとんど忘れているが、逃亡者が小屋に隠れていてアナが食料を持って行くシーンは記憶にある。「フランケンシュタイン」の映画は覚えているような。映画の中で重要な意味を持っているのに。
時代設定が1940年だからフランコ独裁政権の時代だ。ウェキおじさんに聞くと、独裁政権が確立してすぐの頃だとか。また、この映画の製作が1973年でまだフランコが政権を持っていた時代だ。フランコ政権はファッショ政権で、なかなか政権を批判する映画は作れなかったろう。ウェキおじさんによると、映画の中にいろいろの寓意を入れている、とあるが、日本で観る側には、よっぽどのスペイン通でない限りその寓意は伝わりづらいだろう。
舞台はスペインの小さな田舎の村。主人公アナの父親は養蜂を行っており、かなりの金持のよう。家がでかい。一人でヘッドホンをしてこっそりとラジオを聞いているところなんかは、アンチフランコかな、と思わせる。母親は昔の恋人かに手紙を出している。そんなこの村に巡回の映画がやってくる。昔は、特に小さな田舎町ではこんな感じで映画を上映していたんだろうなあ。上映作品は「フランケンシュタイン」。どうも映画の中で少女がフランケンシュタインに殺され、フランケンシュタインも殺されたよう。映画に感化された少女アナが姉?のイザベルになんで2人とも死んだのか尋ねたところ、イザベルは2人とも死んでいないという。フランケンシュタインは精霊で本当は死んでいなくて、村はずれの小屋に住んでいる、と言う。そこから幻想的な世界観が少しずつ広がってくる。そこに怪我をした逃亡犯がその小屋に隠れた。アナはその彼に食料と父親の懐中時計を与える。彼は警察に見つかり銃撃され殺される。時計は父親の元に戻り、父親はアナの前で時計を見せる。さて、精霊のフランケンシュタインは何処に行ってしまったのか?
スペインの田舎の風景や村の景色がゆっくりと流れていく。まだ現実と幻想の区別がつかない幼い少女アナの心の動きをゆっくりと描いているところが良いのだろう。それより何より、アナの目がクリクリして可愛いのだ。これだけで高得点。アナを演じたアナ・トレントと言う女優は今でも活躍しているとのことだが、もうアラカンだって。時の経つのは早いなあ。