解説
久しぶりのスウェーデン映画、しかもイングマール・ベルイマン監督の作品である。五八年度カンヌ映画祭で最優秀監督賞と主演女優四人の主演女優賞を得た。出産を通して、三人の女性の三様の姿が描かれる。脚本はスウェーデンの女流作家ウラ・イザクソンがベルイマンのために初めて書いた。撮影はマックス・ウィレン、編集はカール・オロ・スケップステッド。出演は「外国の陰謀」のイングリッド・チューリンのほかは日本では未紹介のエヴァ・ダールベック、ビビ・アンデショーン、バルブロ・ヒオルト・アフォルナズら。
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「女はそれを待っている」のストーリー
セシリア(イングリッド・チューリン)は大病院の急患待合室に夫に連れられてきた。妊娠三カ月。突然、出血が始まったのだ。担架に乗せられて去る前、セシリアは夫のハリーに絶望的な目を投げた。“あなたは、ほんとは赤ちゃんなんかほしくないんだわ”。セシリアは流産し、昏睡状態のまま、E病室に移された。二人の患者と同室だ。肥って陽気なスティナ(エヴァ・ダールベック)と、まだ少女っぽいヒョルディス(ビビ・アンデショーン)である。--セシリアは高熱にうかされ、看護婦のブリタにウワ言をいいつづけた。過去の夫との生活への不満、夫の愛への呪いの言葉に満ちていた。--スティナは痛みにもだえるセシリアをやさしく世話した。彼女は子供を生みたくてたまらない。訪ねてきた小市民的な夫と、子供を育てることを楽しく夢見て話しあった。セシリアは見舞いにきたハリーを冷たくあしらった。“結婚したのが間違いだった”。追い返すようにした。ヒョルディスは子供を生みたくなかった。赤ん坊の泣声や姿がいやだった。田舎からやくざな男と駈落し、妊娠して捨てられたのだ。母からは帰ってくるなと言われた。婦長は父なし児のための設備があり、国が面倒を見るからと更生をすすめるが、ヒョルディスはそんなつもりになれなかった。その夜、スティナに陣痛がやってきた。彼女は満足げに産室へ向った。眠れぬヒョルディスは自分の身上をセシリアに話し続けた。朝、スティナが帰ってきた時、彼女の顔は青白く、すべてを失った表情であった。激しすぎた陣痛が子供を失なわせたのだ。ヒョルディスが与えようとしたコップの水をたたき落した。ヒョルディスはそういうスティナを見て、出産を決意した。ブリタに励まされ、母へ電話した。母は許してい、帰郷をすすめた。ヒョルディスはブリタの胸で泣いた。彼女が病院を出る時、セシリアにはハリーの妹が訪ねてきていた。セシリアももう一度夫と話し合おうと考えていた。
「女はそれを待っている」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「女はそれを待っている」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | スウェーデン |
製作年 | 1958 |
公開年月日 | 1960年9月3日 |
上映時間 | 88分 |
製作会社 | ノルディスク・トーネフィルム |
配給 | 大映 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | モノクロ/スタンダード |
音量 | モノラル |
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