解説
精神病院に入退院を繰り返す男の一方的な求愛を受けたポルノ女優が、やがてその異常な愛を受け入れてゆくまでを描く奇想天外なラブ・ストーリー。原題は「私を縛って」の意。エグゼキュティヴ・プロデューサーはアグスティン・アルモドバル、監督・脚本は「欲望の法則」のペドロ・アルモドバル、撮影はホセ・ルイス・アルカイネ、音楽はエンニオ・モリコーネが担当。出演はビクトリア・アブリル、アントニオ・バンデラスほか。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
アルモドバル初期の変態ド直球映画。アルモドバルのこういう映画が好きなんだよなあ。何処が変態かって?もうストーリー自体が変態でしょう。後は、画面の隅々に変態さがちょくちょく出てくるでしょ。浴槽の中の潜水夫のおもちゃとか(その撮り方)。平気でトイレで排泄のシーンを入れるところ。映画の打上げでのあのパーティ、ちょっと変わっているでしょ。画面の色彩も、これはアルモドバルだけじゃないけど、原色を多く使っていて(これは以前に他の映画レビューでも書いた記憶があるが、南ヨーロッパって明るい派手な色調が多いよね、ホドロフスキーの映画も派手な色調だ)。あと、映画の最初の方なんだけど、映画中の映画撮影で殺人者にロープを巻き付けてベランダから飛び降りて相手を殺す、ベランダで振り子のように揺れる主人公が、あのシーンが印象的だ。
この映画って、普通だったらサスペンスで、最後、変態男が捕まるか死ぬかするんだけど、これをラブストーリーにするところがアルモドパルだね。
アントニオ・バンデラスが準主役で、今観ればバンデラスって判るけど、公開時は彼のことは知らなかった。バンデラスを知ったのはロバート・ロドリゲスの「デスペラード」からだ。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」も「フィラデルフィア」も今観ればバンデラスが出てるって判るけど、当時は脇役の一人で印象もなかったな。映画の途中で薬を売っていた女(ロッシ・デ・パルマ)、特徴的な顔しているので忘れないでしょ。アルモドパルの映画によく出ている。
「アタメ」のストーリー
精神病院を出たばかりの23歳のリッキー(アントニオ・バンデラス)はこれからは普通人として生きていこうと結婚を決意する。彼が目をつけたのはかつて一夜を共にしたことのある元娼婦のポルノ女優マリーナ(ビクトリア・アブリル)だった。しかしその求愛は彼女に何の断わりもない一方的なもので、勝手に仕事場やアパートに乗り込んできたリッキーにマリーナは怒るが、たちまちベッドに縛りつけられてしまう。最初は単なる被害者だったマリーナだが、外出する時には相変わらず彼女を縛るものの、それ意外は優しく、性的関係も強要しないリッキーにしだいに奇妙な愛情を覚え、そして彼が彼女のためにチンピラと戦って傷ついて帰ってきた時、ついに彼の前に身を投げ出し、その愛を受け入れる決意をする。こうして2人の間に至福の時間が訪れるが、それも束の間、行方不明になったマリーナを探しに来た姉(ロレス・レオン)が彼女を連れ出してしまう。マリーナを失なって生まれ故郷の村へ戻り、茫然と佇むリッキー。しかしそこへ自らの愛を告げたマリーナが姉と共に迎えに来る。3人を乗せた車は一路マドリッドでの新生活へと向かうのだった。
「アタメ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「アタメ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ラブロマンス |
製作国 | スペイン |
製作年 | 1990 |
公開年月日 | 1991年1月26日 |
上映時間 | 111分 |
製作会社 | エル・デセオ・プロ |
配給 | 松竹富士 |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
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