解説
「座頭市牢破り」の猿若清方、「二匹の用心棒」の杉浦久「尼くずれ」の吉田哲郎の三人が共同で脚本を執筆し、「二匹の用心棒」の三隅研次が監督した座頭市シリーズ第十九作。撮影は「兵隊やくざ強奪」の森田富士郎が担当した。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
映画の冒頭クレジットが流れるところから変化球がくる。鈴木清順かと思っちゃう。座頭市が橋を渡るシーン、橋脚の左下から座頭市の後ろ姿を撮るシーンなんか完全な構図。座頭市とお袖(三田佳子)が女郎屋から逃げ出すシーンとヤクザがやってくるシーンをカットバックで入れているが、これがフラッシュバックであること(よくある手法だけど、こんな娯楽映画に)。そして何よりラストの立ち回りが良い。暗闇での斬り合いからスポットライトを当てたような設定。そして浪人(佐藤允)との決闘。三隅美学がよく出ている。
脚本は今ひとつかな。せっかく西村晃や戸浦六宏を出しているのに、出演シーンが少ない。もっと悪役ぶりを十分に発揮できるような筋書きにしてほしかった。
三田佳子は好きじゃない女優の一人だが、この映画では良い役をしている。
映画の中で勝新の歌が流れるが、声を聞いて水原弘に似ているなあと思う。音楽はまるで西部劇だ。やっぱり座頭市は日本の西部劇だ。
「座頭市喧嘩太鼓」のストーリー
年の瀬も迫った甲州路。石和宿に来た座頭市は、一宿一飯の義理から、やむなく博徒宇之吉を斬った。だが、斬らせた熊吉の狙いは、宇之吉の姉お袖にあった。お袖を豪商猿屋宗助に世話をし、ひと儲けをたくらんでいたのだ。弟の遺体にすがるお袖に、熊吉の子分が襲いかかった。市はお袖を救いだすと、熊吉の卑怯なやり方に憤り、石和宿を後にした。一方お袖に逃げられた熊吉は、勘造ら五人に後を追わせた。そんなお袖の身を案ずる市は、全神経をお袖に向け、つかず離れずの道中を歩んだ。とある里にさしかかった時お袖は、旅の浪人柏崎にそそのかされた。またまた危難を救われたお袖は、厳しく見送る柏崎や追手を後に、市と道づれの旅を始めた。だが、恩人でありながら仇であるという市に、お袖の心は妖しく動揺するのだった。ある晩、お袖は市に宇之吉形身の匕首をむけた。しかし、所詮は女の手。市にさとされ嗚咽するしかなかった。やがて、お袖が高熱で倒れ、市は金の工面に賭場に赴いた。だが、ツイていない市は文無しにされてしまった。その時、市の仕込杖を抵当に、柏崎が小判を投げ出した。市は鮮かな手さばきで最後の勝負に挑んだが、柏崎の冷徹な目は、そのイカサマを見破っていた。簀巻にされた市は、富士川に投げこまれるところを、勘造一味に五両で買われ、乱暴されるのだった。そんな市を一味から解放したのが、柏崎だった。そこで市は、仕込杖を返されたものの、柏崎に殺意を感ぜずにはおれなかった。刀の柄に手をかけ、市の動静を見守る柏崎。その緊迫を破って、柏崎を追って来た三人の侍が斬り込んだ。市が旅篭に帰った時、お袖は置手紙を残し、諏訪の遊女屋金平楼に発っていた。お袖が弟の更生のためにつくった三十両は、身売りした金だった。市は、金平楼に赴きお袖を脱け出させると、金の工面に佐七の賭場を訪れた。そこには熊吉一味が市を待受けていたが、市の仕込杖に、かなう者はなかった。金を手にした市は、お袖の待つ寺へ急いだ。ところが、そこにはお袖と共に柏崎が待っていた。折しも、鳴り響く諏訪明神の一番太鼓。居合斬りの市と鏡心明替流の柏崎との壮絶な対決は、市の勝利に帰した。市はその時駈けつけた金平楼の男衆の前に小判を投げ出した。お袖の目に光る涙。諏訪明神の太鼓は鳴りひびき市の顔は元旦の日の出に赤く染っていた。
「座頭市喧嘩太鼓」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「座頭市喧嘩太鼓」のスペック
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