解説
「月よりの母」の青柳信雄と東條瞭の共同による製作で、田村泰次郎の雑誌「ロマンス」掲載の原作より「新遊侠伝(1951)」の八田尚之が脚色し、「東京悲歌」の田中重雄がメガホンをとっている。カメラは「月よりの母」の三村明。出演者の主なものは、「月よりの母」の久慈あさみ、「哀愁の夜(1951)」の折原啓子、「南風」の若原雅夫に、伊藤一郎、徳大寺伸、清水将夫、江川宇禮雄などの助演である。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
戦後の没落した家族と、それを食い物にしようとする男との争い。文芸作品になるかと思いきや。
映画の出だし。どこかの広場で複数のグループが歌を歌ったり、楽器を弾いたりして集っている。カメラがクレーンでそれぞれのグループを移動しながら移していって、ある合唱グループを映し出す。指揮をしている男と、歌っている人達。これが、歌っている人達は楽譜ばかり見て指揮を見ていないんだなあ。しかも楽譜は表裏の1枚なのに何回もひっくり返して違うメロディを歌っている。神は細部に宿るんだよ。
で、そのメインで歌っているのが主人公の女性になるんだけど、これがきれいじゃないんだよなあ。むしろ妹役の方がきれいだった。
で、ストーリーは文芸作品から三文小説的な展開になってきて、それはそれでいいんだけど、途中、歌謡映画みたいに歌が何曲もはいってきて、最後、ラブロマンスの成就で終わる。いかにも新東宝らしい。それでもギリギリ楽しめる映画だった。
戦前の金持ちってすごい家に住んでたんだなあ、とか、貧乏な独身男はこんな暮らしをしていたのかがわかる。やたらコーヒーカップだけは立派だったりして。
ラストのハッピーエンド。相手の男はストーリー上大事だから、もっと登場シーンを多くすれば良かったのに。
1951年は、新東宝がまだ大倉貢に乗っ取られる前だから、まだまともだったのかな。この映画の敵役の男と大倉貢が重なってしまう。
それにしても映画タイトル「女豹の地図」はいかにもキワモノというタイトルだなあ。
「女豹の地図」のストーリー
白石杏子は、元子爵の亡父から外国へ遊学までさせてもらった橋見信也が、姉美津子の純潔をふみにじった上、婚約を破棄したことを怒り、橋見をなじるが、亡恩の橋見はかえって美貌の杏子にいい寄り、手ひどく痛めつけられた。そこで橋見は、杏子たちの債権社牧重亮の手先になり、その娘芙佐江を抱き込んで、杏子たちを抵当にはいっている邸から立退かせようとした。邸を改築してキャバレー「キャザリン」をはじめるというのである。杏子の強気から、母娘は邸の一室にがんばっていたが、キャバレーの従業員がのり込んで来て、病気の母の病勢をつのらせてしまった。苦学生倉田一平だけが、母娘のため献身的につくしてくれた。杏子はその一平と思い切って銀座へ流し歌手となって出るが、その美貌と気品は、一躍銀座の人気者となった。橋見はその杏子に「キャザリン」へ出演してくれと申し込むが、又しても激しくはねつけられたので、その腹いせに杏子が銀座を流していることをその母につげた。気位の高い杏子の母はそれが打撃となり病気が悪化して死んでしまった。杏子は橋見への復讐を誓い、キャバレー「シルバークイン」のプリマドンナになり、「キャザリン」の人気を奪った。そして落目になったその店を、西方清の後援で買い取り、橋見を一使用人としてこき使えるようになった。杏子は一平を想っていたが、彼が姉の美津子を思っていることを知り、その失望から西方の結婚という条件に応じたのだが、さすが開店の夜、歌い終ってその場に昏倒した。しかし西方が無条件で「キャザリン」を杏子に贈る気持であったと知ったときには、西方の愛情にすがって再び強く生きようと決心するのだった。
「女豹の地図」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「女豹の地図」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1951 |
公開年月日 | 1951年12月7日 |
上映時間 | 87分 |
製作会社 | 新東宝=聯合 |
配給 | 新東宝 |
レイティング | |
カラー/サイズ | モノクロ |