解説
20年前にタイムスリップした世界で、かつて難病で他界した憧れの女性の命を救おうと腐心する若者の姿を描いたラヴ・ファンタジー。監督は「カナリア」の塩田明彦。梶尾真治による『クロノス・ジョウンターの伝説』に収められた『鈴谷樹里の軌跡』ほかの原作短篇を基に、「@ベイビーメール」の鈴木謙一、「さよならみどりちゃん」の渡辺千穂、塩田監督が共同で脚色。撮影を「着信アリ2」の喜久村徳章が担当している。主演は、「海猿 UMIZARU」の伊藤英明と「着信アリ2」のミムラ。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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如庵
2005年; 塩田明彦監督/原作:梶尾真治
長く生きてると、ずっと気になり「ああしておけば」との後悔が多い。死ぬ間際にも大いに気になるだろう。生きる事に意味があるのなら、意志に関係なく得た命には、生きて魂が学ぶべき義務があるのではないか。荒唐無稽な設定ながら、自然なリアリティを獲得してる。ただ結婚式、演奏会等、少し冗長な映像多く、あえて語らない余韻を削いでいるのが残念。愛川欽也、十八代勘三郎ら故人の懐かしい演技もお得感あり、脈絡なく泣かされる倍賞千恵子の芝居は凄い。伊藤英明とミムラの演技も素晴らしく、思ってたよりずっと楽しめる良い映画。
「この胸いっぱいの愛を」のストーリー
勤務する百貨店のお弁当フェア開催の為、小学生時代を過ごした北九州の門司を訪れた鈴谷比呂志は、同じ飛行機に搭乗していた布川ら3名の乗客と共に、自分が20年前の世界にタイムスリップしていることに気づく。そして、家庭の事情から祖母の経営する旅館で暮らしていた10歳の自分=ヒロと出会い、旅館の仕事を手伝いながら幼い自身との奇妙な同居生活を始めた彼は、近所のお蕎麦屋さんのひとり娘で、彼にヴァイオリンを教えてくれた憧れの“和美姉ちゃん”のことを想い出す。東京の音大を主席で卒業したものの、難病にかかってこの世を去ってしまった和美。比呂志は、彼女の命を救えなかったことを心にずっと引きずっていた。布川らとの話で、どうやら過去に遂げられなかった想いに決着を着けたら、元の世界に戻れるらしいと判明した。そこで、比呂志は和美の命を救うべく、ヒロと共に彼女に手術を受けさせようと腐心するのだが、心を閉ざした和美はそれを聞き入れようとしない。しかもそんな中、彼は知ってしまうのである。実は、自分や布川らが飛行機事故で既に死んでいたことを! しかし彼は諦めず、あるアイデアを思いつく。それは、門司で開かれるクラシックのコンサートのステージに和美を立たせてやることだった。果たして、比呂志とヒロの招待で会場にやって来た和美は、痛む体を押しながら満員の観衆を前に演奏を繰り広げ、生きる勇気を与えられる。しかし、それは同時に比呂志との別れを意味した――。2006年、飛行機事故で行方不明だった4名の遺体が、無事見つかったとの報道がされた。同じ頃、とある音楽教室では和美が子供たちにヴァイオリンの指導をしている。障害は残ったものの、今、彼女はどんなことがあっても生き続けようと思っていた。自分を支えてくれ、その後姿を消した“あの男性”の為にも。
「この胸いっぱいの愛を」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「この胸いっぱいの愛を」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ファンタジー |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2005 |
公開年月日 | 2005年10月8日 |
上映時間 | 131分 |
製作会社 | TBS=東宝=MBS=東京都ASA連合=中部日本放送=小学館=WOWOW=日本出版販売=ジェネオン エンタテインメント=レヴィプラス=S・D・P=ツインズ・ジャパン=IMJエンタテインメント |
配給 | 東宝 |
レイティング |
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