「パリ・オペラ座のすべて」のストーリー
348年前、フランス国王ルイ14世が作り上げたバレエの殿堂、パリ・オペラ座。以来、革命や戦争を経て世界は激変し、人類が宇宙まで飛び出していく現代まで、世界最古のバレエ団として最高峰に君臨し続けてきた。だが、その実態はいまだ謎に包まれたままである。入団を許されるのは、幼い頃から厳しい教育を受け、熾烈な競争を勝ち抜いてきた一握りのエリートだけ。さらに、入団したからといって将来が約束されているわけではない。いくつもの厳しい試験に合格しなければ上には昇れない。その険しい山の頂点に立つのが、エトワール(=星)と呼ばれるダンサーたち。エトワールとは、まさにトップの中のトップにしか与えられない、輝ける称号である。パリ・オペラ座とは一体何なのか?どの用に運営されているのか?巨大かつ荘厳な建物の内部には何があるのか?いまだかつて、誰も見たことのないパリ・オペラ座の素顔を明かすために、カメラは聖域に足を踏み入れる。そこに映し出されるのは、トップダンサーたちの練習風景から、セモリナ粉を主食とする食事風景まで、彼らの日常生活。ニコラ・ル・リッシュ、マチュー・ガニオ、アニエス・ルテステュを始めとし、全てのエトワールも出演。加えて圧巻は、舞台の袖から捉える公演の数々。『ロミオとジュリエット』、『くるみ割り人形』などの演目が、現地でなければ味わえない臨場感と迫力で繰り広げられる。さらに、カメラが捉えるのはダンサーだけではない。手作業で布を染め、小さなビーズに糸を通し、衣装の一枚一枚に手で縫いつけるという、気の遠くなる作業を黙々と続けるスタッフ。経営をめぐる会議。有力な支援と資金を得るための広報活動。ダンサーたちとの待遇をめぐる交渉など、企業としてのパリ・オペラ座の顔も赤裸々に明かされていく。そしてさらに、カメラは私たちを奥の奥にある閉ざされた部屋へと導いていく……。