解説
自身の体験をもとに、年上作家と不倫関係にある一方、過去に身を焦がす恋をした年下の男と再会し、両者の愛の間で心を乱す女を描いた瀬戸内寂聴の同名小説を、「海炭市叙景」「鬼畜大宴会」の熊切和嘉監督が映画化。女の業に悩む主人公を「悪人」「愛のむきだし」の満島ひかりが、主人公と妻の間を行ったり来たりする年上の作家を「舟を編む」「秘密」の小林薫が、ひたすら主人公を求め嫉妬に狂う年下の男を「るろうに剣心」「クローズZEROII」の綾野剛が演じている。音楽は、2004年グラミー賞オルタナティヴ・ミュージック・アルバム部門・年間最優秀プロデューサーを受賞し「海炭市叙景」「実録・連合赤軍」などの音楽を担ったジム・オルーク。
ユーザーレビュー
「夏の終り」のストーリー
昭和30年代の暮れ。染色家の相澤知子(満島ひかり)が帰宅すると、一緒に暮らしている年上の作家・小杉慎吾(小林薫)から、木下という男(綾野剛)が訪ねてきたと告げられる。木下とは、知子が結婚していた12年前に出会い恋に落ち、夫と子どもを置いて駆け落ちした相手だった。大みそかの夜、風邪をひいて寝込む知子を小杉は優しく介抱していたが、妻の家へと赴く。小杉には妻子があり、きっちりと週の半分ずつを両方の家で過ごしている。小杉との生活は8年になり、普段は安定した収入を持ち自立していることに自負を持つ知子だったが、このときばかりは寂しさがよぎった。年が明けて快復した頃にかかってきた木下からの電話に、寂しさから、会いにきてほしいと言ってしまう。その日から、小杉が妻の家に行っている間に木下と会い、小杉が帰って来たらいつもの穏やかな日々に戻る生活が始まった。嫉妬に駆られた木下は、こんな関係がいつまでも続けられると思っているのかと問い詰めるようになるが、知子は木下との関係を断つことができないでいた。木下の知子への執着が日に日に増す一方、知子は揺らぎないと思っていた小杉との生活に疑問を持つようになる。ある日、小杉の妻からの手紙を見つけて読んでしまい、そこに込められた妻の愛情に触れてしまった知子は、小杉の妻の家を訪ねる。小杉の妻は出かけており小杉しかいなかったが、家に溢れる二人の生活の生々しさを目にし、知子は逃げるように家を後にする。その後、何事もなかったかのように知子の家に来た小杉は、大衆小説の仕事を引き受けたことを告げる。軽蔑していた仕事をなぜ引き受けたのか責める知子を前に、居場所がないと泣き崩れる小杉。二人ともこの関係に息苦しさを感じていたと気付いた知子は、一から人生をやり直そうと決心する。そして夏の終わり、再出発を切った知子の前に、ある人が現れる……。
「夏の終り」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「夏の終り」のスペック
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