解説
長編映画初監督となるミロスラヴ・スラボシュピツキーが、主演のグレゴリー・フェセンコを含む全ての出演者にプロの俳優ではない聾唖者を起用し、全編セリフなし、音楽なしで作り上げたドラマ。カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリなど、世界中で多数受賞。聾唖者専門の寄宿学校を舞台に、悪の道に染まった若者の葛藤を描く。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
ウクライナ映画なのに何処の国に持って行っても字幕なし、吹き替えなしで観られる映画。なんせ出てくる人皆聾唖者だから。台詞なしの彼ら、彼女らの演技で見せる映画。こんな映画、初めてです。この試みには拍手をしましょう。カンヌの国際批評家週間でグランプリを獲得、とあるが、いかにもカンヌが好きそうな映画だ。
カメラは1シーン1カットで、おそらくはほとんど手持ちで撮影しているでしょう。必然的にアップはありません。画調は全体的に暗い感じ。
1シーン1カットの為、ちょっと退屈になってきます(これは体調のせいか)。あと、役者が初見のせいかわかりにくいです。ラストシーンは主人公じゃないよね?
やっぱり、表現の1手段である言葉を外すと、どうしても欠けてしまう部分はあると思う。聾唖者達は手話という会話手段があるが、見ている方は手話(ウクライナの手話)はわからないので、なんか話している、しか理解できない。我々が理解できないところで話が進んでいるかもしれない。そこはどうしようもないよなあ。全体のストーリー展開はわかるけど、細かいところがわからない。そこのところが結局、私の不満となってしまった。
ウェキおじさんによると、演じていたのは全員聾唖者で、役者じゃないとのこと。それにしては女の子、頑張っていたよな。
「ザ・トライブ」のストーリー
セルゲイ(グレゴリー・フェセンコ)は、聾唖者専門の寄宿学校に入学する。その学校では公式祝賀会が開かれ、一見、民主的な雰囲気に包まれているが、裏では犯罪や売春などを行う悪の組織“族(=トライブ)”によるヒエラルキーが形成されていた。入学早々、セルゲイも手荒い歓迎を受ける。リーダーを中心とした集団が観戦する中、数人の学生を相手に殴り合いを強要されたセルゲイは、意外な強さを示したことから、組織の一員として認められる。当初は下っ端だったセルゲイも、恐喝や凶悪な暴力行為に加担していくうち、次第に実力者として頭角を現してゆく。組織の主要な財源は売春。セルゲイは先輩に付き添って、毎晩のようにリーダーの愛人アナ(ヤナ・ノヴィコヴァ)と同室の女、2人を車に乗せて、長距離トラックが駐車しているエリアまで送り届けていた。厳寒の中、数10台ものトラックの間を徘徊し、ドアを叩いて運転手に女たちを見せながら、交渉を開始。やがて話がまとまると、女たちは運転席に乗り込むという段取りだった。ある夜、駐車場で先輩がトラックに轢かれて死亡する事故が発生。セルゲイは、すぐにその後任に収まる。そして毎晩のように送迎を繰り返すうち、アナに恋してしまう。やがて、恐喝で得た金を上納せずにアナに貢ぎ、たびたび関係を持つようになるセルゲイ。一方、同室の女とウクライナから脱出し、イタリアに旅立つことを夢見るアナのために、リーダーは出入国管理事務所で2人のパスポートを入手する。アナへの狂おしい想いに囚われたセルゲイは、感情を抑えられず、売春の元締めである木工の教師の部屋を急襲。金を奪ってアナに差し出し、売春とイタリア行きをやめるよう懇願するが、彼女は激しく拒絶する。さらに、リーダーたちの手酷いリンチに遭い、満身創痍となったセルゲイは、怒りと憎悪を露わにして、ある決断を下す……。
「ザ・トライブ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「ザ・トライブ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | ウクライナ |
製作年 | 2014 |
公開年月日 | 2015年4月18日 |
上映時間 | 132分 |
製作会社 | Ukrainian State Film Agency, Rinat Akhmetov's Foundation "Development of Ukraine", Garmata Film Production |
配給 | 彩プロ、ミモザフィルムズ |
レイティング | R-18 |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
音量 | 5.1ch |
公式サイト | http://thetribe.jp/ |
コピーライト | (C) GARMATA FILM PRODUCTION LLC, 2014 (C) UKRAINIAN STATE FILM AGENCY, 2014 |
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