帝一の國の映画専門家レビュー一覧

帝一の國

舞台化もされた古屋兎丸のコミックを、「溺れるナイフ」の菅田将暉主演で実写化。超名門・海帝高校に進学した帝一は、総理大臣になって自分の国を作る夢を実現させるために、将来の内閣入りが約束されるという生徒会長の座を狙い熾烈な政権闘争を繰り広げる。生徒会長になるためにはどんな手も辞さない帝一を菅田将暉が演じるほか、「ライチ☆光クラブ」の野村周平、『仮面ライダードライブ』の竹内涼真、「高台家の人々」の間宮祥太朗らが出演。監督は「世界から猫が消えたなら」の永井聡。
  • 評論家

    上野昻志

    原作は読んでいないが、マンガだったら面白く読めるのだろうと、映画を見ながら思った。というのも、ここまで徹底して類型的な人物を活かすのには、付随的なエピソードを含めて、叙述に相当な分量を必要とするからだ。マンガなら何ページも使って、それができる。だが、映画では、尺数の関係もあり圧縮せざるを得ない。そうなると、類型的であればあるほど、人物の薄っぺらさが際立ってしまう。だから原作を読んだ人には、それを踏まえて見る面白さもあろうが、素で付き合うのは辛い。

  • 映画評論家

    上島春彦

    この生徒会選挙運動映画という大真面目なホラ話に痺れる。絵に描いたような正義漢があくまで脇役で、ライバル関係にある主人公二人、菅田と野村がどっちも「ろくなもんじゃない」という構造が秀逸。いわゆる権謀術数というヤツ、「どこまで相手をおとしめられるか」のみが問題なのだ。現代日本の政治体制云々を連想するのは野暮で、あくまで冗談だからいいのよ。文化祭の和太鼓パフォーマンスとか、菅田の相棒のメカおたくとか細部の充実ぶりも特筆もの。マイムマイム事変にゃ大笑い。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    鈴木則文が「ドカベン」で実践したように漫画実写化は表情から動きまで如何に再現するかが重要だが、その方法論を理想的に発展。役が固定化しかけていた菅田に跳んだ役を振ったおかげで全篇を全力で演じて引っ張るが、間宮の〈妖演〉も良い。「ちょっと今から仕事やめてくる」同様に吉田鋼太郎の怪演も支柱になっている。「小説・吉田学校」を超える政治闘争劇を堪能。演技や世界観が大仰な分、演出は抑制されているのも好感。この布陣なら加藤諒を迎えて『パタリロ!』も出来そう。

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