超擬態人間の映画専門家レビュー一覧

超擬態人間

ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭のアジア部門でグランプリを授賞したスラッシャー・ホラー。伊藤晴雨の幽霊画『怪談乳房榎図』に着想をえて、「狂覗」の藤井秀剛監督がオリジナルストーリーを構築。森で目を覚ました親子がたどる不可思議な運命を綴る。出演は「狂覗」の杉山樹志、田中大貴、望月智弥、宮下純。
  • フリーライター

    須永貴子

    ホラー映画の殺人モンスターにとって、特殊な武器や能力はなにより重要。本作の、他人に擬態する能力を持ったモンスター“擬態人間”の脅威に晒される人たちは、みな頭がイカれており、奇しくもバトルロワイヤル的な構図になっていく。そのため、擬態人間による殺戮以外にも、独創的かつ多彩なスプラッター描写がふんだんで、満足度は高い。蜘蛛の糸のように腸を使うシーンは笑いの領域に到達。効果的な音響や劇伴に比べ、録音が残念。たびたび台詞が聞き取れなかった。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    グロテスクでエネルギッシュなシーンが続き、次第に息が詰まってくる。そういう効果を狙っていたとしたら、成功している。が、シーンの強烈さに心を奪われて、意味が読み取れない。あるいはすべては脳内妄想なんだと無理に納得しようとしてしまう。ホラーものは嫌いではないし、こういった斬新な絵作りにも抵抗はない。だが、作品に入っていけないのだ。蚊帳の外に置かれているようで、妙な疎外感に捉われてしまう。マニアでない限り楽しめないのだろうか。

  • 映画評論家

    吉田広明

    父親に虐待されていた児童に虐待をし続ける実験によって、自己防衛のために擬態を身に着けた擬態人間を生み出す、という話なのかと思うが、一体何に擬態するのか、虫なのか恐れる対象である父なのか。前者ならSFモンスター映画に、後者なら分身の心理ホラーになりそうだが、そのどちらでもなく、ナマハゲみたいなのが出てくる。なぜナマハゲ?擬態なら擬態で、理屈は通してほしい。人物関係もよく分からない。脚本の構成をより緊密にすべきだし、台詞が聞こえない録音も難。

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