コリーニ事件の映画専門家レビュー一覧

コリーニ事件

ドイツで現役の弁護士として活躍するシーラッハのベストセラー小説を映画化したサスペンス。模範的なドイツ市民として働く67歳のイタリア人コリーニが、大物実業家を殺害する事件が発生。新米弁護士ライネンは、その裁判で被告側弁護人に任命されるが……。出演は「はじめてのおもてなし」のエリアス・ムバレク、「ジョン・ウィック:チャプター2」のフランコ・ネロ。監督は「クラバート 闇の魔法学校」のマルコ・クロイツパイントナー。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    いわゆるネタバレになるが、作品魅力の遜色にはならないと判断し述べます。ドイツならではのナチス亡霊の世代を超えるトラウマ社会派サスペンス。しかしユダヤ人が登場しないことと主人公がトルコ人という二点が独特。いままでドイツはユダヤ人に対して全面謝罪し続けてきたことで、逆に隠蔽されてしまったナチスの本質と戦後の加担者への過度な庇護や寛容。そしてどうしても自分たちドイツ人では客観視できないゆえ主人公をトルコ人に据え置いたこと。まだまだナチスネタは豊富。

  • フリーライター

    藤木TDC

    フランコ・ネロが画面に現れた瞬間に「映画」が始まる。ネロを見るためだけにオッサンは劇場に行く価値がある。地味に思われがちな法廷ミステリを多彩なキャラをちりばめスピーディに構成、欧米製の連続ドラマのような現代的センスで一気に見終わらせる。ただ中年の私には軽さやご都合主義も感じられ、その悪目を救っているのがネロの古くさく重苦しい演技で、意外な配役が功を奏した。ドラマをより楽しむならドイツの殺人罪や60年代末の政治状況を予習しておいたほうがいい。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    シーラッハの小説は淡々としながらも、不思議なエモーションに溢れているから楽しんで読めるが、そういった筆致を削ぎ落してストーリーだけを追うと、どこかで聞いたような地味な作品に仕上がってしまう。コリーニが頑なに沈黙を続ける理由や、なぜ語りを引っ張る必然があるのか不自然に感じる。全体に同じトーンが続く演出も地味で、ぼんやりとした締まりのない映画だ。弁護士が主人公なのにディベートの刺激が乏しく、過去の黒を白にしかねない法廷劇の良作映画と比べ退屈。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事