イン・ザ・ハイツの映画専門家レビュー一覧

イン・ザ・ハイツ

トニー賞4 冠、グラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞に輝いたブロードウェイミュージカルを、「クレイジー・リッチ!」のジョン・M・チュウ監督が映画化。大停電が起きた夏の日の夜、移民が多く住むワシントンハイツの4人の若者の運命が動きはじめる。シンガー・ソングライターとしても活躍する「アリー/ スター誕生」のアンソニー・ラモス、「ストレイト・アウタ・コンプトン」のコーリー・ホーキンズらが出演。本作の原作ミュージカルや『ハミルトン』を手がけ、「モアナと伝説の海」に作詞・作曲として参加したリン=マニュエル・ミランダが、本作の製作や作詞・作曲を担当している。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    オフブロードウェイでの初演から16年を経て、(いくつかの脚色は加えられてはいるが)政治的にもますますアクチュアリティを増しているリン=マニュエル・ミランダの作劇の素晴らしさだけでなく、「クレイジー・リッチ!」では保留せざるを得なかったジョン・M・チュウの演出手腕にも唸らされた。舞台に対する明確なアドバンテージであるロケーションの力を最大限活かした、ミュージカル映画の「不自然さ」を逆手にとった非現実的なギミックの数々に素直に大興奮。

  • ライター

    石村加奈

    移民の街、ワシントン・ハイツを舞台にした、傑作ミュージカルの映画化だけあって、歌とダンスのシーンが素晴らしい。中でも、プールでの〈96,000〉のパフォーマンスと、ニーナ&ベニーのファンタスティックな壁ダンスが印象的。ハイツのゴッドマザー・アブエラ(手袋のエピソードがさりげなくて素敵)や、ハイツのチアリーダー(言い得て妙!)ことダニエラ、年配女性陣の存在感が圧倒的すぎて、主人公ウスナビのキャラクターが、弱まってしまった感も。恰好いいのだけれど。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    個人的に、特にミュージカルは登場人物のリアリティを求めてしまう。急に心情を歌い出す、その違和感を超えるには背景への十分な理解が不可欠だ。本作のNYで生活する移民達は、「どこで、どう生きるか」ということと常に対峙しているが、この一年半、それを考えてきた多くの人にその姿は突き刺さるだろう。終盤の夕焼けのジョージ・ワシントン橋を背景にしたダンスシーンが秀逸、「世界中がアイ・ラヴ・ユー」のセーヌ河岸での幻想的なダンスと同様、今後何度も観たくなると思う。

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