8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版の映画専門家レビュー一覧

8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版

コロナ禍の最中、樋口真嗣らがSNS上で実施した「カプセル怪獣計画」の番外編となる作品で、ほぼ全編リモートで撮影された。通販サイトで“コロナと戦ってくれる”カプセル怪獣を買ったサトウタクミは、仲間と連絡を取りながら、怪獣を育てていくが……。「ラストレター」の岩井俊二が脚本・監督・造形を務め、「麻雀放浪記2020」の斎藤工、「この世界の片隅に」ののんなど、豪華キャストが出演している。
  • フリーライター

    須永貴子

    この状況で映画を撮る目的、そのための工夫、メッセージ性、演者の力量、監督の作家性などを兼ね備えた、ウィズコロナ時代のお手本のような作品。斎藤工が演じる俳優のサトウタクミと各人の、パブリックイメージを利用したトークが非常にリアル。特にのんとのやりとりは、初共演とは思えないほど自然かつ、ストーリーにおいてスリリングなアクセントになっている。カプセル怪獣の育成日記が、SFホラー映画「ライフ」のように展開することを期待した自分は多分不謹慎なのだろう。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    岩井俊二さんもこんな肩の凝らないものを撮るんだな、と楽しくなった。全篇ほぼリモートで撮られたこということで、その限界を感じさせると同時にそれまでとは違った面白がり方ができる。脚本は岩井氏だが、斎藤工やのん等役者陣はほとんどアドリブで喋っている感じがする。コロナ禍での新しいライフスタイルを提案する長い長いプロモーションムービーといった趣きである。ズームでの対話の合間合間に差し挟まれる仮面をかぶった女性たちの踊りや怪獣の飛翔をやたら美しく感じた。

  • 映画評論家

    吉田広明

    カプセル怪獣を通販で買ったYoutuberが、日毎の変形に一喜一憂するのと、同じく通販で宇宙人を買ったその女友達が宇宙人に感化されて、ダメな人類を救うため宇宙留学に行くと言い出す六末を、配信動画やZOOMの映像を通して描くフェイク・ドキュメンタリー。コロナ下の日常のような非日常を微妙なくすぐりで捉え、希望のメッセージで終わる。詰まらなくもないが薬にもなるまい。全篇モノクロ、怪獣=女性が躍る意味不明なイメージ映像等、いかにもスカした岩井スタイル。

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