キング・オブ・シーヴズの映画専門家レビュー一覧

キング・オブ・シーヴズ

英国史上、最高額で最高齢の金庫破りと呼ばれた窃盗団の実話を基に「博士と彼女のセオリー」のジェームズ・マーシュ監督が映画化。裏社会から引退し、愛する妻と平穏な日々を送るブライアン。だが妻が急逝し、かつての犯罪にまみれた自分が呼び起こされてゆく。出演は「グランドフィナーレ」のマイケル・ケイン、「ベロニカとの記憶」のジム・ブロードベント、「さざなみ」のトム・コートネイ。
  • 映画評論家

    小野寺系

    25億円相当の財宝を盗み出した老窃盗団の実話を、マイケル・ケインはじめベテラン俳優たちが演じるという企画がいい。ロバート・レッドフォードの「さらば愛しきアウトロー」同様に、「ミニミニ大作戦」など俳優たちの過去作のシーンが挿入されるのも楽しい。その上で郷愁に溺れ過ぎず、窃盗団の面々をひたすら強欲に描いているドライな演出にもリアリティがあって良いが、その反面、人物像に奥行きがなく、独立した映画としては共感する部分が見出せないまま物語が進行してしまう。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    お年寄り+若者一人による集団強盗を題材にしたこの映画は、クライム・サスペンスを楽しむというよりは、若者を除く老人の人生の重みと歳を取ることの悲哀に、むしろ見応えがある。キング・オブ・シーヴスと呼ばれるほどのスキルとは対照的に、肉体に老化がありありしているのが面白い。耳が遠かったり、肝心な時に睡魔に襲われたり。強盗には致命的な現象に、歳が近いので共感するも、犯罪ドラマとしての緊迫感が今ひとつ。それでもベテラン俳優の豪華共演が醸す風格に★一つ進呈。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    ヨボヨボのロートル窃盗団が金庫破りをするという実話ベースのプロットは面白いし、耳が遠くて仲間の合図を聞き逃したり、見張り中に居眠りこいてしまうなどというお年寄りあるあるも笑えるのだが、6人もいるジイさんたちのキャラ立てと計画の全容の説明がまだ中途半端な段階で最大の見せ場であろうミッションシーンに突入してしまう構成には疑問を感じてしまったし、折り返し以降で描かれる事件後の物語もいまひとつ切れ味が鈍く、せっかくの素材をさばき損ねている印象を受けた。

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