ズーム/見えない参加者の映画専門家レビュー一覧

ズーム/見えない参加者

WEB会議ツール『Zoom(ズーム)』を題材にした新感覚ホラー。新型コロナウイルスのパンデミックによりロックダウンされたイギリス。ある日、Zoomを介して死者と交信を行う“Zoom交霊会”を始めた男女6人。やがて、それぞれの部屋で不気味な現象が勃発し……。監督は、若干17歳で初監督を務めた『Strings』(12)で、英国インディペンデント映画賞レイダンス賞史上最年少受賞を果たしたロブ・サヴェッジ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「リング」のビデオテープを例に挙げるまでもなく、ホラーはメディアの進化と共に歩んできた。そう考えると、ズーム・ホラーの登場はまさに必然であり、それ以上に、これまで無数のホラー映画が描いてきたパンデミック社会が本当に到来してしまった現在は絶好の機会でもある。しかし、本作で評価できるのはそのスピーディーな製作体制だけ。個々の描写に関しては、近年量産されてきたフェイスブック・ホラーから後退さえしている。最初から霊媒師が出てきてズッコケた。

  • ライター

    石村加奈

    ロブ・サヴェッジ監督、スタッフ、出演者が一度も接触することなく、全篇Zoomで撮影された、2020年ならではの意欲作。“交霊会”という、インターネットならではの恐怖を煽った着眼点は面白いが(脚本もサヴェッジ監督による)、大勢の観客と一緒に大きなスクリーンで観るよりも、ひとりでPC鑑賞した方が断然、臨場感や恐怖度が増すモチーフであるのが悩ましいところだ。本篇終了後に流れる、約5分間のリハーサル映像は蛇足。ここが見どころだなんて、くやしいではないか!?

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    コロナ禍でロックダウン中、Zoomでの複数対話をPC画面上のみで描く。使い古された「交霊」と「POVモキュメンタリー」をあの“閉鎖的だけど繋がってはいる状況”に上手く組み込んでいる。家のPCで観たのだが、決定的なシーン直後、無人の室内だけが延々映し出されている映像が続く。演出と思って数分間観ていたが何も起こらない。スマホに変えると続きが観れた。今まで配信試写でこんなことはなかったので、心底ゾッとした。それも含めて「今」の体験型ホラーだった。

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