レイジング・ファイアの映画専門家レビュー一覧

レイジング・ファイア

「新少林寺/SHAOLIN」のベニー・チャン監督の遺作となった警察アクション。チョン警部が長年追う極悪犯の薬物取引の現場で、何者かが捜査官と犯人一味を惨殺し、ブツを奪う。捜査線上に浮上したのは、かつてチョンを慕っていた元警察官ンゴウだった。出演は、「イップ・マン」シリーズのドニー・イェン、「エア・ストライク」のニコラス・ツェー。第34回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門出品作品。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    第一子誕生を控えた刑事というトム・クルーズも真っ青の年齢不詳設定のもと、全盛期の激しさや速さとはまた異なる重みや円熟味を増したアクションを見せてくれるドニー・イェン、対する動きのキレと色気で勝負するニコラス・ツェー、二人の闘いは見応え十分。九龍城砦のようなドラッグ密売人のアジト、車や人でごったがえす街路などで展開される肉弾戦や銃撃戦は、アクションそのものに加え、随所に見られる香港ならではの空間の狭さを生かそうとするさまざまな工夫にも要注目。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    ドニー・イェン演じる警部と、その警部に恨みを持つ元同僚のバトルという至極わかりやすい物語であることを早々に告げる展開がまず良い。つまりドニー・イェンらの武闘を楽しく見させられるかが映画の勝負どころで、大勢の悪漢たちに立ち向かうシーンは映画の武闘シーンの醍醐味が凝縮されており素晴らしく、子供を車の衝突から救う場面の見事なカットとアクションには思わず声をあげてしまった。そしてやっぱり武闘のトレーニングシーンがある映画は好きだと確信する。

  • 文筆業

    八幡橙

    ドニー・イェンvsニコラス・ツェー。「かちこみ!」以来の好カードだ。激しく対立する二人だが、どちらが善とも悪とも単純には割り切れない。白と黒、善と悪とがマーブル模様のごとく混じり合い、表裏一体となる妙味も含め、久々の香港らしいアクションに血湧き肉躍った。実はセットだという「廣東道」での凄まじい銃撃戦やギリギリを衝くカーチェイス、撮影に二週間も費やした二人だけのラストの肉弾戦と、見どころたっぷりの126分。ベニー・チャンへの哀悼漂う劇終にも、感無量。

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