ある閉ざされた雪の山荘での映画専門家レビュー一覧

ある閉ざされた雪の山荘で

ベストセラー作家、東野圭吾の同名ミステリー小説を重岡大毅主演で映画化。新作舞台の主演を決める4日間の合宿形式の最終選考に集まった7人の役者たち。“大雪で閉ざされた山荘で起きる連続殺人事件”を演じることになった彼らは、思わぬ出来事に遭遇する。共演は「劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~」の中条あやみ、「キングダム 運命の炎」の岡山天音、「シン・仮面ライダー」の西野七瀬、「バカ塗りの娘」の堀田真由、「東京リベンジャーズ」の間宮祥太朗。監督は「宇宙人のあいつ」の飯塚健。
  • 文筆家

    和泉萌香

    オーディションの場所という理由で、登場人物たちが<自主的に>そこにとどまることを決める密室もの。登場人物が全員役者に加え、山荘での設定もフィクション、かつこれはそもそも映画という、嘘で固められた世界の表面に、奥に触れることに我々は挑むはずだが、疑いにしばられることへの緊迫さに欠けるし、最後の最後までいびつさが物足りない。原作者自身が「突拍子もない」という設定もそうだが、彼らの動機も幼稚な印象が拭えないし、少々無理がある気も。

  • フランス文学者

    谷昌親

    作中に本が出てくるアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる設定であり、大雪で山小屋に閉じ込められた8人を描いたタランティーノの映画「ヘイトフル・エイト」(15)を思い起こさせもする。ところが、今回の映画では「雪の山荘」と言っても雪は空想のものにすぎず、それは集められた7人がすべて役者だからであり、彼らが役者であるからこそ、独特な視点で描かれる山荘の空間のなかで、物語が二転三転する。原作にはない冒頭とラストがいいアクセントになっている。

  • 映画評論家

    吉田広明

    ある別荘に芝居の候補生が集められ、そこで事件が起こるのでその謎を解けという設定で生活、実際に一人一人と消えてゆくが、これはベタなのかネタなのか。そのドンデンが続いている間は面白く見ていられるとはいえ、終わってみれば、こんな大掛かりな仕掛けを支える動機が貧弱、そこに身障者への失礼があるように感じられて不快、そもそもなぜ重岡の役の人がそこに参加しているのかが分からないなど疑問は次々湧く。終わった後にすべて忘却上等、暇つぶしとしての推理ものの典型。

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