おいしい給食 Road to イカメシの映画専門家レビュー一覧

おいしい給食 Road to イカメシ

2019年に放送を開始した市原隼人主演のコメディドラマ『おいしい給食』シリーズの劇場版第3弾。函館の中学校に赴任した給食マニアの教師・甘利田幸男は、生徒の粒来ケンと給食アレンジバトルを繰り広げていたが、給食が危うく政治利用されそうになり、「おいしい給食」を守るために立ち上がる。2023年秋放送のドラマseason3と同じく北海道の函館を舞台に、英語教師・比留川愛役の大原優乃や粒来役の田澤泰粋など、おなじみの俳優陣が集結。新たに石黒賢が甘利田の行く手に立ちはだかる等々力町長役で参加する。監督は『おいしい給食』シリーズのほか、『ねこ物件』シリーズや、映画「人狼ゲーム」シリーズなどを手がけてきた綾部真弥。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    市原隼人扮する教師の「お前は最後まで手を抜かなかった」というセリフに、あんたに言いたいよ、と思った瞬間、落涙。『孤独のグルメ』の松重豊とは異なる独自の食事芝居を編み出したのは偉業である。血管の切れそうな熱演は頭の回転の速さ、身体能力の高さにも裏打ちされ、見応えがすごい。そして当たり役を得るとはすなわち全スタッフの職人技を味方につけることだとも痛感。80年代という時代設定はややあざといが、きちんと現代的テーマも盛り込み、娯楽作の在り方として優秀である。

  • 映画評論家

    北川れい子

    そういえば昨今の急激な物価高で、給食会社の休業や給食費の値上がりがニュースになっているが、北海道の中学校が舞台の本作の時代は、バブルが崩壊するちょっと前。格別豪華な給食が出てくるわけではないが、給食を生き甲斐にしている主人公の教師が、暴走的妄想を発揮しながら食べはじめるとどれも美味しそうで、演じる市原隼人、給食のためなら見栄も外聞もなし。人は美味しく食べることを発明した唯一の生きものだ、という台詞もなるほどね。気楽に楽しめる消化のいい娯楽作。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    恥ずかしながらTVシリーズも劇場版も未見につき、未知との遭遇だったが、市原隼人のアクションに瞠目する。1コマたりともノーマルな人間の動きを見せることを拒絶し、人力VFXともいうべき体技と表情を全篇にわたってやってのける。生徒を威圧しまくる直情的な教師像も時代設定を踏まえれば違和感はない。給食が町長選に利用される話だが、大谷グローブを私物化する非常識な市長もいる現代からすれば、本作で給食に介入する町長は、程よくスパイシーな味付けとして作用する。

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