鬼平犯科帳 血闘の映画専門家レビュー一覧

鬼平犯科帳 血闘

池波正太郎の時代小説『鬼平犯科帳』を十代目松本幸四郎主演でドラマおよび映画化する『鬼平犯科帳』SEASON1の劇場版。平蔵が居酒屋の主と盗賊の顔を持つ鷺原の九平を探していることを知ったおまさも九平を探すうちに、凶賊・網切の甚五郎の企みを知り……。監督は、北大路欣也版『剣客商売』シリーズや『三屋清左衛門残日録』シリーズなど数々の時代劇を手がけてきた山下智彦。盗賊から“鬼平”と恐れられる火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を十代目松本幸四郎が、若き日の鬼平を十代目松本幸四郎の実子である八代目市川染五郎が演じるほか、中井貴一、柄本明ら豪華キャストが揃う。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    敵役を演じた北村有起哉の素晴らしさに尽きる。何しろ声がいい。口上ではカリスマ性を迸らせるが実戦ではへっぴり腰というキャラも、主人公より目立つべからずという作劇的配慮かもしれないが、なかなか秀逸な人物造形だ。それ以外は「様式まつり」というか、心機一転の再始動にしては新味のない、型通りの長寿番組の延長に見えた。セリフを喋る俳優の口許も表情も全部映さないと気が済まない平凡な画が続くので、昔の時代劇のほうがもっと面白い撮り方をしていた気がしてならない。

  • 映画評論家

    北川れい子

    中断はあるものの、昭和、平成と長きにわたって継続されてきたテレビ時代劇の『鬼平』シリーズ。その令和版シリーズの劇場版で、鬼平役は十代目松本幸四郎。まあね、こういうシリーズものは「あぶ刑事」にしてもそうだが、演技、展開、見せ場などにいくつもの“お約束ごと”があり、その約束ごとがあるからファンも安心して楽しめるのだが、この「鬼平」令和版、ダイイング・メッセージなどを盛り込んでいるが、テレビ時代劇の様式を律儀に守りすぎてか演技、演出も型通りなのが残念。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    前回の劇場版以来29年ぶりに「鬼平」を観たので新鮮だったが、誰が演じるというより、〈声〉によって鬼平は決まるのではないか。声が印象深い中村吉右衛門や丹波哲郎と比較しても、流石、当代幸四郎。強弱自在に発せられる声が聴き応えあり。加えて北村有起哉、柄本明の声も個性を発揮する。手堅い演出で飽きさせず見せるが、先行して放送されたTV版と同様の出来栄えで、映画館で流す意義がどこにあったか。もっともそれを言い出せば、先代の劇場版でも同じことを感じたが。

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