制作年: 2009
かつて東洋一の金鉱の街といわれた台湾北部の街“金瓜石”の栄枯盛衰の歴史を辿るドキュメンタリー。監督・脚本は「風を聴く 台湾九龍物語」の林雅行。街を歩く一人の老人。元日本軍兵士の彼は、かつて台湾で同じ部隊だった上官を訪ねる。彼らが台湾の思い出話に花を咲かせる中、やがて“金瓜石”という街の名を口にする。そこは、かつて日本人が経営していた東洋一の金鉱の街だった……。台湾北部の観光地・九龍から山ひとつ挟んだ場所に金瓜石がある。1894年に露頭(金脈)が発見され、その後、田中組や日本鉱業など、日本人の手によって開発が進められた。銅も発見され、海側の水南洞には大規模な製錬所が建設されている。当時の建物の面影は現在も至るところに残っていた。日本人の社宅が復元されている場所もある。当時この地域に住んでいた日本人が、その頃の暮らしに思いを馳せる。小学校や友人、先生、祭のおみこし。笑顔がこぼれることもあれば、眉をひそめる思い出もあった……。太平洋戦争が始まると、人々は兵隊にとられていき労働力が不足、また、金よりも銅が求められるようになっていく。金瓜石に捕虜収容所が設置され、イギリス人やオーストラリア人捕虜が坑内作業にあたった。1945年。終戦を迎えると、金瓜石の捕虜は解放され、日本人は台湾から去っていく。そして、中華民国政府下の管理を経て、1987年に閉山。それから21年。日本で、台湾で、当時を知る人々が各地で金瓜石を想う気持ちは今でも鮮やかに色づいている……。