ロベルト・ロッセリーニ

  • 出身地:イタリア、ローマ
  • 生年月日:1906年5月8日
  • 没年月日:1977年6月3日

略歴 / Brief history

【イタリア・ネオレアリスモの巨匠】イタリア、ローマの生まれ。父と祖父は著名な建築家。子供の頃から映画に関心を持ち、1936年、教育映画連盟に入り、40年までに6本の短編映画を製作。いずれも自主映画的なものではあるが、後年のロッセリーニの萌芽が色濃くあるといわれている。41年「白い船」で長編映画監督デビュー。この作品では弟のレンツォが作曲家として参加しており、以降のほとんどの作品で音楽を手がけることになる。42年には脚本にミケランジェロ・アントニオーニが参加した「ギリシャからの帰還」を撮る。次いでロシア戦線の従軍牧師を描いた“L.uomo dalla croce”を製作する。第二次大戦中、イタリアは連合軍とドイツ軍に二分され、ローマはドイツ軍に占領された。戦火から逃れながらロッセリーニは、いつかこの悲劇を映画に撮ろうと思い続けていた。やがて連合軍によるローマ解放。ロッセリーニは活動を開始する。撮影機材が不備な状況が続くが、彼はローマ市民の苦難の日々をドキュメンタリー・タッチで描いた。レジスタンスと、すさまじい弾圧。巻き込まれる市民たち。こうして傑作「無防備都市」(45)が誕生、ネオレアリスモ誕生を告げる作品となった。【“戦争3部作”完結】戦後第二作は「戦火のかなた」(46)、続いて「無防備都市」のアンナ・マニャーニと組んだ「アモーレ」(47)を発表、廃墟のベルリンにカメラを据えて撮った「ドイツ零年」(48) では、ドイツの少年の心の荒廃を描いた。「無防備都市」「戦火のかなた」とこの「ドイツ零年」がロッセリーニの“戦争3部作”と呼ばれる。そして、この3部作を総括する意図で「ヨーロッパ一九五一年」(52)を撮っている。50年「ストロンボリ/神の土地」を撮るが、製作中から主演のイングリッド・バーグマンとの“世紀の恋” が噂になり、共に既婚者だったが翌50年に結婚。夫婦間の愛の崩壊や人間の孤独をテーマにした「ヨーロッパ一九五一年」「イタリア旅行」(53)、「不安」(54)などのコンビ作を手がけたが、本国イタリアではもちろん、海外でも内容的にも興行的にもまったくの不人気だった(近年になってこの時期の作品が再評価されている)。二人は三児をもうけたが58年に離婚。その後ロッセリーニは、再び国際的にも評価されるようになる。「ロベレ将軍」(59)は第二次大戦末期が舞台。ナチの収容所に収監されているパルチザンの指導者を探るために詐欺師を放り込む。詐欺師に扮したのはヴィットリア・デ・シーカだった。そして翌60年「ローマで夜だった」。これも第二次大戦末期のローマ。闇商売をしている娘が連合軍の脱走兵三人を自宅に匿うが、ナチの追及が激しくなる。抵抗運動と小市民生活、国際的な信義をめぐってテーマが発展した。以降もイタリア統一運動、激動の60年代に素材を求めたが日本では公開されず、叙々に活躍の場をテレビに移していった。

ロベルト・ロッセリーニの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優

    制作年: 2015
    イングリッド・バーグマンの生誕100周年を記念し、2015年にカンヌ国際映画祭でプレミア上映されたドキュメンタリー作品。アカデミー賞に3度輝いた大女優である一方でスキャンダルを重ねた彼女の足跡を辿り、一人の女性としての姿を浮かび上がらせる。監督はウディ・アレン監督やラース・フォン・トリアー監督へのインタビューが日本でも刊行されたスティーグ・ビョークマン。イングリッド・バーグマンと同じくスウェーデン出身で、「リリーのすべて」で第88回アカデミー賞助演女優賞を獲得したアリシア・ヴィキャンデルがナレーションを担当している。劇場公開に先立ち、第28回東京国際映画祭パノラマ部門にて上映された(上映日:2015年10月26日、28日/映画祭題「イングリッド・バーグマン (仮題)」)。
    100
  • 王家の谷(1969)

    制作年: 1969
    一八八一年、エジプト学者ジョルジュ・マスペロの指揮のもとに古代エジプトの首都テーベで行われたデイル・エル・バハリの王墓の発掘の実話に基づいてシャディ・アブデルサラム監督が書きおろしたオリジナル脚本による我が国初公開のエジプト映画。シャディ・アブデルサラム監督は「クレオパトラ」「太陽の王子ファラオ」やロベルト・ロッセリーニ監督の「生存闘争」の美術監督をつとめ、これがデビュー作。なおこの作品はジョルジュ・サドゥール賞の一九七〇年外国映画賞を受賞している。製作協力はロベルト・ロッセリーニ、撮影はアブデル・アジズ・ファミ、音楽はマリオ・ナシンベーネが各々担当。出演はアーメッド・マレイ、アーマッド・ヘガジ、ズーズー・エル・ハキム、アブデルモネム・アブルフートー、アブデラジム・アブデルハック、ナディア・ルートフィ、ガビー・カラズ、モハメド・カーイリ、アーマッド・アナン、モハメド・ナビー、シャフィリ・ヌーレディンなど。
  • カラビニエ

    制作年: 1963
    戦争をごく単純な図式に従いつつ、その表情をニュース・ドキュメントのように解説した、ゴダールのいわゆる“呪われた”作品。製作はジョルジュ・ド・ボールガール、監督は「彼女について私が知っている二三の事柄」のジャン・リュック・ゴダール、脚本はゴダールとロベルト・ロッセリーニ、ジャン・グリュオー、原作はベンジャミーノ・ジョッポロ、撮影は「彼女について私が知っている二三の事柄」のラウール・クタール、音楽はフィリップ・アルチュイス、美術はジャン・ジャック・ファブル、編集はアニエス・ギュモ。出演は「山猫」のマリノ・マーゼ、ほかアルベール・ジュロス、ジュヌヴィエーヴ・ガレア、カトリーヌ・リベイロ、ジェラール・ポロク、ジャン・ブラッサなど。
  • ロゴパグ

    制作年: 1963
  • ローマで夜だった

    制作年: 1960
    「ロベレ将軍」につぐロベルト・ロッセリーニ監督作。セルジオ・アミディの原案をアミディ自身とディエゴ・ファブリ、ブルネロ・ロンディ、ロベルト・ロッセリーニが共同で脚色。撮影担当は「ロベレ将軍」のカルロ・カルリーニである。音楽を受けもったのはレンツォ・ロッセリーニ。出演するのは「ロベレ将軍」のジョヴァンナ・ラリ、英国俳優レオ・ゲン、「人間の運命」のソ連俳優セルゲイ・ボンダルチュク、「ロベレ将軍」のハンネス・メッセマー、「若者のすべて」のレナート・サルヴァトーリなどの国際的俳優陣。製作フランコ・マグリ。
  • ロベレ将軍

    制作年: 1959
    「無防備都市」「戦火のかなた」のロベルト・ロッセリーニ監督が数年の沈黙を破って作ったレジスタンスにまつわるドラマ。インドロ・モンタネリの原作をセルジオ・アミディが脚色し、撮影はカルロ・カルリーニが担当。音楽はレンツォ・ロッセリーニ。出演するのは「カジノ・ド・パリ」のヴィットリオ・デ・シーカ、「脱獄十二時間」のハンネス・メッセマー、サンドラ・ミーロ等。製作モリス・エルガス。
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