津川雅彦 ツガワマサヒコ

  • 出身地:京都府京都市中京区
  • 生年月日:1940年1月2日
  • 没年月日:2018年8月4日

略歴 / Brief history

京都府京都市の生まれ。本名・加藤雅彦。父は往年の日活スター・沢村国太郎、母は女優のマキノ智子(恵美子)。二男二女の次男で兄が俳優の長門裕之、母方の祖父が“日本映画の父”と呼ばれた牧野省三、母方の叔父がマキノ雅弘監督、父方の叔父が加東大介、叔母が沢村貞子という、文字通りの芸能一家に育つ。5歳の時に、大映「狐の呉れた赤ん坊」45に出演したのを皮切りに、子役として多数の映画に出演。しかし俳優になるつもりはなく、新聞記者を目指して、1956年に早稲田大学付属高等学院に入学する。入学後まもなく、母親を通じて日活「狂った果実」56の主演話が持ち込まれ、原作者・石原慎太郎の命名による“津川雅彦”の芸名で、本格的に俳優デビューを飾る。一躍青春スターとして注目を浴びたが、同じ日活に兄・長門裕之がいたことから、兄弟の人気の食い合いを避ける意図もあり、58年に松竹へ移籍。甘い二枚目としてメロドラマで活躍する一方、大島渚、吉田喜重、田村孟など“松竹ヌーヴェルヴァーグ”の監督たちに起用されて芸域を広げた。64年より松竹を離れて、フリーに。以降は、定番の二枚目イメージから抜け出せず伸び悩んだ時期もあったが、映画・テレビドラマで長年活躍。81年、東陽一監督「マノン」で若い女性と付き合う中年男を演じ、独特の色気が注目を浴びる。この作品でブルーリボン賞助演男優賞を受賞。さらに、84年の「お葬式」から伊丹十三監督作品の常連俳優となり、特に当たり役だった「マルサの女」87の国税局査察官役でキネマ旬報賞、毎日映画コンクール、報知映画賞など、この年の助演男優賞を総なめにした。ほかにも、女たちの間で揺れる中年に扮した根岸吉太郎監督「ひとひらの雪」85で、日本アカデミー賞優秀助演男優賞、作家・永井荷風を思わせる初老の男を演じた新藤兼人監督「濹東綺譚」93で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、大石内蔵助を演じた深作欣二監督「忠臣蔵外伝・四谷怪談」94と梶間俊一監督「集団左遷」94の2本で日刊スポーツ映画大賞助演男優賞、東京裁判に臨む東条英機を演じた伊藤俊也監督「プライド・運命の瞬間」98で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、日本映画界を支える名優として、数々の栄冠に輝く。その間の73年に結婚した女優の朝丘雪路と、フジテレビ『肝っ玉捕物帳』で結婚後、夫婦初共演。翌74年には倉本聰脚本のNHK大河ドラマ『勝海舟』で徳川家康を演じ、それ以後ドラマ出演が増えて、山田太一脚本のTBS『岸辺のアルバム』77、早坂暁脚本のテレビ朝日『おはん』78、向田邦子脚本のTBS『幸福』80など名脚本家と組んで実績を残す。出演ドラマはほかに、TBS『野々村病院物語』81・82、『サラリーマン金太郎』99~02、『白い影』01、NHK『澪つくし』85、『神様の女房』11、フジテレビ『世界で一番パパが好き』98、『合い言葉は勇気』00、『離婚弁護士』04・05、テレビ朝日『黒革の手帳』04など多数。NHK大河ドラマの常連俳優でもある。近年はテレビ朝日『相棒』04~の元議員・瀬戸内米蔵役が印象的。2006年、落語の世界を題材にした中島らも原作の「寝ずの番」で映画監督業に進出。“マキノ”の名を受け継ぐべく、生前のマキノ雅弘から許しをもらったという“マキノ雅彦”を監督名とし、その後も「次郎長三国志」08、「旭山動物園物語・ペンギンが空を飛ぶ」09と続けて監督作を発表している。06年、紫綬褒章受章。朝丘との間に生まれた一人娘・真由子も女優となった。2018年8月4日、心不全のため東京都内の病院で逝去。享年78歳。

津川雅彦の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • アジア三面鏡2016:リフレクションズ

    制作年: 2016
    アジアの気鋭の映画監督3人が、“アジアで生きる”をテーマに作り上げたオムニバス作品。帯広の牧場で働いていたマニーは、ある日突然、不法滞在者として祖国フィリピンに強制送還されることに……(「SHINIUMA Dead Hourse」)。「SHINIUMA Dead Horse」「鳩 Pigeon」「Beyond The Bridge」の3篇から成るオムニバス。出演は「ボーン・レガシー」のルー・ヴェローソ、「後妻業の女」の津川雅彦、「テラフォーマーズ」の加藤雅也。監督は「キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-」でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したフィリピンのブリランテ・メンドーサ、「リバーズ・エッジ」の行定勲、カンボジア出身の女性監督ソト・クォーリーカー(「シアター・プノンペン」)。
  • HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION

    制作年: 2017
    EXILE TRIBEを中心に企画されたアクションシリーズの劇場版最終章。史上最大の敵・九龍グループの攻勢を受けて、壊滅的な被害を受けたSWORD地区。この危機に、SWORDを始め、対立していた男たちが集結し、九龍グループに戦いを挑む。「たたら侍」のAKIRA、『戦力外捜査官』のTAKAHIROらEXILE TRIBEのメンバーに加え、「後妻業の女」の津川雅彦、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の岸谷五朗など、豪華キャストが総出演。
    80
  • HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY

    制作年: 2017
    ダンス&ヴォーカルユニットEXILEや関連メンバーによる総合エンタテインメント・プロジェクト『HiGH&LOW』劇場版続編。最凶のスカウト集団DOUBTのリーダー林蘭丸が出所。決裂したロッキー率いるWhite Rascalsを潰しにかかる。『EXILE』のリーダーであるHIROの企画プロデュースのもと、総勢100名を超すキャスト陣が集結。監督は「ROAD TO HiGH&LOW」「HiGH&LOW THE MOVE」の久保茂昭と、ドラマ『HiGH&LOW SEASON 2』を手がけた中茎強。
    80
  • 生きとし生けるもの(2017)

      制作年: 2017
      映像作家・カメラマンの今津秀邦が、北海道の雄大な自然の中に生きる野生動物の日常を捉えたドキュメンタリー。5年の歳月を費やし、8万羽ものマガンのねぐら立ち、キタキツネの子育てなど、様々な命の輝きを撮影。旭川市旭山動物園元園長の小菅正夫が監修。また、旭山動物園を題材にした「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」でメガホンを取った俳優・津川雅彦がナレーションを担当する。
    • たたら侍

      制作年: 2017
      EXILE HIROプロデュースのもと、劇団EXILEの青柳翔と錦織良成監督が「渾身 KON-SHIN」に続いてタッグを組んだ時代劇。戦国時代末期、奥出雲に伝わる幻の鋼を代々作る家に生まれた伍介は、村を守るために強くなろうと侍を志すが……。ほか、ダンス&ヴォーカルユニットEXILEおよび三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEのパフォーマー小林直己、「0.5ミリ」の津川雅彦らが出演。第40回モントリオール世界映画祭最優秀芸術賞受賞作品。劇場公開に先駆け、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017にて上映(上映日:2017年3月4日)。
    • 涙の数だけ笑おうよ 林家かん平奮闘記

      制作年: 2016
      脳溢血の後遺症と闘いながら活動を続ける車椅子の落語家、林家かん平を追ったドキュメンタリー。リハビリ生活や同居する母の介護に苦労しながらも、芸人仲間や同級生たちに支えられ、自らの体験を基にした創作落語を高座で披露するまでを映し出す。監督・編集は「アイドル7×7監督 vol.2 傷女子」の竹藤恵一郎。ナレーションを「0.5ミリ」の津川雅彦が務める。

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