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- 中村育二
略歴 / Brief history
和歌山県新宮市の生まれ。日本大学芸術学部写真学科在学中に、学内の仲間と劇団GAYAを結成。1975年の『東京少年鑑別所』で旗揚げし、以後も好評を博す。卒業後の80年、大学後輩の石井聰亙監督「狂い咲きサンダーロード」に劇団員とともに出演し、山田辰夫演じる主人公と敵対する右翼構成員をワイルドに演じる。86年の大森一樹監督「恋する女たち」では一転、斉藤由貴演じる女子高生のヒロインも惹きつける大人の色気を放ち注目された。GAYA解散後の87年、男優6人だけで劇団カクスコを結成し、作・演出も担当。さりげない日常から独特のユーモアを引き出す世界観で、2002年に解散するまで演劇ファンの支持を集めた。98年には紀伊國屋演劇賞の団体賞にも輝いている。映画はその後、原田眞人監督「金融腐蝕列島・呪縛」99で、腐敗した銀行の膿を出すべく立ち上がる銀行マン“ミドル4人組”のひとりを力演。その安定した演技力が、映画界でも重宝され続ける。ふたりの個性的な新入りに呆れつつも、温かいまなざしを向ける人情味豊かな上司を好演した長澤雅彦監督「ココニイルコト」01、自らの犯した罪の重さに精神的に追いつめられていく男の心の闇に肉迫した黒沢清監督「叫」07などの演技が印象深く、佐々部清監督「陽はまた昇る」02、原田監督「クライマーズ・ハイ」08、山下敦弘監督「マイ・バック・ページ」11など、実話に基づく人間模様を描いた作品中にも自然に溶け込み、リアリティ豊かに作品を支える。テレビドラマも、フジテレビ『ラブジェネレーション』97などのヒット作から、WOWOW『再生巨流』11などの社会派まで幅広く多数出演。テレビ朝日『名探偵の掟』09のナレーションや、声の主演をつとめたアミノテツロー監督「昆虫物語・みつばちハッチ/勇気のメロディ」10など、深い響きのある美声を活かした仕事も多い。
中村育二の関連作品 / Related Work
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漁港の肉子ちゃん
制作年: 2021西加奈子の同名ベストセラー小説を原作に、明石家さんまが企画・プロデュースする劇場アニメ。食いしん坊で能天気な肉子ちゃんと、しっかり者の娘・キクコは、訳あって漁港の船で暮らしている。そんな母娘の秘密が明らかになるとき、2人に最高の奇跡が訪れる。声の出演は「後妻業の女」の大竹しのぶ、『鬼滅の刃』の花江夏樹。監督は「海獣の子供」の渡辺歩。アニメーション制作を「映画 えんとつ町のプペル」のSTUDIO4℃が担当する。 -
くらやみ祭の小川さん
制作年: 2019府中市が大國魂神社のくらやみ祭を題材に製作した人間ドラマ。早期退職した小川さんは、ひょんなことから大國魂神社のくらやみ祭を手伝うことに。出戻り娘の恋愛騒動や、母親の認知症など、家族は問題だらけだったが、小川さんは人生の楽しさに気づいていく。出演は、「ザ・ファブル」の六角精児、「おみおくり」の高島礼子、「デイアンドナイト」の佐津川愛美、「あまのがわ」の水野久美。監督・脚本は、「青春Hシリーズ いかれたベイビー」の浅野晋康。83点 -
アウトレイジ 最終章
制作年: 2017北野武監督が手掛けるバイオレンスシリーズ最終章となる3作目。大友が身を寄せる韓国の張会長を相手に、花菱会の花田がトラブルを起こす。花菱会会長の野村と若頭の西野による覇権争いは張会長襲撃にまで発展し、張会長に恩義を感じる大友は帰国を決意する。前作に続きビートたけし、西田敏行、塩見三省、金田時男、白竜、名高達男、光石研、中村育二、松重豊らが出演するほか、「ミュージアム」の大森南朋、「エヴェレスト 神々の山嶺」のピエール瀧、「TAP THE LAST SHOW」の岸辺一徳、「シン・ゴジラ」の大杉蓮、「ボクの妻と結婚してください。」の原田泰造、「レイルロード・タイガー」の池内博之、「シン・ゴジラ」の津田寛治らがシリーズ初出演する。60点