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「えから始まるもの」の検索結果
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「望むのは死刑ですか オウム“大執行”と私」の長塚洋監督がオウム真理教教祖・麻原彰晃の娘である松本麗華にカメラを向け、加害者家族として批判の目に晒されながらも懸命に生きる姿を捉えたドキュメンタリー「それでも私は Though I’m His Daughter」が、6月14日(土)より新宿K’s cinemaほか全国で順次公開される。メインビジュアルと著名人コメントが到着した。 麻原の逮捕時に麗華は12歳で、以来どこへ行っても父の名、事件の記憶、そして「お前はどう償うのか?」という問いがついて回った。「虫も殺すな」と説いた教団の信徒らによる凶行に衝撃を受け、また裁判中の父が言動に異常を来したため、彼が犯罪を命じたこともまだ受け入れ切れない。 父を治療して事実を話させてほしいと求め、識者らも賛同するが、間もなく死刑が執行される。社会が父の死を望んだと感じた麗華は打ちひしがれ、それでも人並みの生活を送ろうとするが、定職に就くことや銀行口座を作ることも拒まれる。国は麗華に対して教団の「幹部認定」をいまだ取り消さず、裁判で不当を訴えても棄却されてしまう──。 地下鉄サリン事件から今年で30年。加害者家族の葛藤の人生に目を向けたい。 〈著名人コメント〉 「麻原の娘」として生まれ、「アーチャリー」として全国に存在を知られる。 生まれてくる環境など誰も選べないのに、彼女の人生はあまりにも苦難に満ちている。 それでも、前を向いて生きる麗華さんの姿に、背筋が伸びる思いがした。 ──雨宮処凛(作家・反貧困活動家) ぼくには想像を絶する、 いつ終わるともしれぬ状況にいる彼女が それでも懸命に生きている。 生きようとしている。 応援したい。と思った。 ──田原総一朗(ジャーナリスト) ただ1人の娘として、女性として生きたかっただろう。仕事をして恋をして、友達と笑い合う。 そんな当たり前の人生を奪われ、喪失と向き合い続けるのは被害者や被害者の家族だけではない。 ──浜田敬子(ジャーナリスト・元AERA編集長) 言葉を選ぶ目元から伝わる悲しみ。穏やかに語る口元。そのギャップに胸が苦しくなる。12歳の頃からずっと、彼女の“生”は国や社会から拒絶されてきた。優しさを失わないために、何度、自分を殺したのだろうか。 ──春名風花(女優・声優・アイドル) 彼女がなにした? ──村本大輔(ウーマンラッシュアワー) 彼女はとても脆い。そして圧倒的に強い。どちらかではない。どちらもある。つらいはずだ。嗚咽が聞こえる。吐息を感じる。でも彼女は前に進む。決して誇張ではなく、観ながら呼吸がうまくできなくなる。彼女がこれまで過ごした時間、現在、そしてこれからを思う。 多くの人に観てほしい。多くの人は観るべきだ。 ──森達也(映画監督・作家) 〈監督メッセージ〉 「加害者家族」は事件の一方の当事者だと知っていても、その苦しみや自分の人生を生きたいという切実な願いに、私たちはどれだけ目を向けてきただろうか? 世に最も憎まれた死刑囚の親族という究極の身の上にある主人公を追いながら、ずっと自らに問い続けていた。加害者への罰を求めることはたやすいが、ではその家族にどう向き合うべきなのか。映画を通じて当事者の存在を感じ、問いを共有し、考え続けていただけたらと願う。 「それでも私は Though I’m His Daughter」 監督:長塚洋 撮影:長塚洋、木村浩之 編集:竹内由貴 整音:西島拓哉 アニメーション:竹原結 音楽:上畑正和 特別協力:「それでも私は」上映委員会 配給協力:きろくびと 製作・配給:Yo-Pro 2025年/日本/カラー/119分 ©Yo-Pro 公式サイト:https://iamhisdaughter.net/
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リチャード・スタークの犯罪小説『悪党パーカー/人狩り』をリー・マーヴィン主演×異才ジョン・ブアマン監督により映画化したハードボイルド・アクション「殺しの分け前/ポイント・ブランク」(1967)が、6月13日(金)よりシネマート新宿ほか全国で順次公開される。主人公ウォーカーが44マグナムを激射するスローモーション・シーンを連続写真的に配したメインビジュアル、ならびに特報映像が到着した。 ウォーカー(リー・マーヴィン)は友人のリースと共に、アルカトラズ刑務所の跡地で取引している組織を襲い、大金を強奪。だがリースはウォーカーに銃弾を浴びせ、金を持って逃げ去った。「夢だ、これは夢だ」。意識が薄れゆく中、ウォーカーの脳裏でさまざまな記憶と幻想が交錯する──。 https://www.youtube.com/watch?v=N2bbXdFr7BA フィルム・ノワールの定番というべき裏切りと復讐のドラマを、ヌーヴェルヴァーグの型破りな手法およびアメリカ西海岸発祥のサイケデリック・カルチャーを交えて描いた本作。主人公の激情と妄執を歪んだ時空間の中に断片化し、それまでの犯罪映画を刷新した。マーティン・スコセッシは「ヌーヴェルヴァーグのストーリーテリングの革新──衝撃的な編集、フラッシュフォワード、表現の抽象化──を初めてクライム・アクションに応用し、ジャンルを再定義した作品」、スティーヴン・ソダーバーグは「(演出技術を)この作品から盗ませてもらった」、クリストファー・ノーランは「主人公のアイデンティティの問題に切り込んだこの作品は、とにかく素晴らしい」と称えている。異色作にして傑作、見逃せない。 「殺しの分け前/ポイント・ブランク」 出演:リー・マーヴィン、アンジー・ディキンソン、ジョン・ヴァーノン、シャロン・アッカー、キーナン・ウィン 監督:ジョン・ブアマン 製作:ジャド・バーナード、ロバート・チャートフ 脚本:アレクサンダー・ジェイコブス、デイヴィッド・ニューハウス、レイフ・ニューハウス 原作:「悪党パーカー/人狩り」by リチャード・スターク 撮影監督:フィリップ・H・ラスロップ 音楽:ジョニー・マンデル 1967年/アメリカ/カラー/スコープサイズ/92分 原題:POINT BLANK キングレコード提供 コピアポア・フィルム配給 ©2025WBEI 公式サイト:https://pointblank2025.com/
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[caption id="attachment_49793" align="aligncenter" width="1024"] 「蒲田行進曲」[/caption] 5月のBS松竹東急に登場するのは、映画女優たちの代表作3本。「蒲田行進曲」(82)は、つかこうへいの同名戯曲を深作欣二監督が映画化したヒット作。映画の撮影所を舞台に、スター俳優の〝銀ちゃん〞(風間杜夫)と彼を慕う大部屋俳優のヤス(平田満)、銀ちゃんの恋人で売れない女優・小夏の三角関係を描いている。銀ちゃんの子どもを身ごもって、ヤスと結婚する小夏を演じたのが松坂慶子。銀ちゃんに捨てられた彼女を引き受けたヤスの純愛に心を動かされ、やがて彼を支えていく哀しくも可愛い女性を体当たりで演じきった。彼女はこの演技でキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞をはじめ、日本アカデミー賞、毎日映画コンクールなどの主演賞を総なめ。彼女はすでに「事件」(78)や「青春の門」(81)で演技力が評価されていたが、ここでの小夏役が決定打となってトップスターの座を獲得した。 [caption id="attachment_49794" align="aligncenter" width="848"] 「キネマの天地」[/caption] 映画のタイトルになっている〈蒲田行進曲〉は、松竹映画「親父とその子」(29)の主題歌となり、20年から36年まで東京・蒲田にあった松竹の撮影所を象徴する歌だった。だが、劇中に描かれる撮影所のモデルになったのは東映京都撮影所で、監督も東映育ちの深作欣二。このことを残念に思った松竹の監督・野村芳太郎が、松竹撮影所の物語を作ろうと企画したのが、山田洋次監督による「キネマの天地」(86)である。松竹大船撮影所50周年記念作品として作られたこの映画は、蒲田撮影所時代の監督や俳優を描いた群像劇。メインとなるのは、浅草の映画館の売り子から蒲田撮影所のトップ女優へと成長していく田中小春で、松竹の大スター・田中絹代がモデルになっている。この小春役に抜擢されたのが、当時新人だった有森也実。演技がうまくできなくて監督にダメ出しされ、元舞台役者の渥美清扮する父親に励まされながら、徐々に成長していく小春は、演じた有森自身を彷彿とさせて、まさにはまり役。彼女はこの演技で日本アカデミー賞新人俳優賞に輝き、後に『東京ラブストーリー』(91)などのトレンディドラマで人気を集めた。今回は『松竹創業130周年記念特集:映画に愛を捧げて』と題して、他にも西田敏行が映画をこよなく愛する映画館主を演じた「虹をつかむ男」二部作(96、97)が放送される。 [caption id="attachment_49795" align="aligncenter" width="1024"] 「緋牡丹博徒 お竜参上」[/caption] 1960年代、任侠映画全盛期に絶大な人気を博した、藤純子(現・富司純子)主演の「緋牡丹博徒」シリーズ全8作品も放送される。任俠映画は渡世の義理に縛られた男たちが、最後は悪辣なやくざに怒りをぶつけるのがパターン。そこに藤が演じる〝緋牡丹のお竜〞こと女俠・矢野竜子が加わった。男社会のやくざの中で、お竜が熊本弁でキレのいい啖呵を切りながら理不尽な奴らに立ち向かっていく、そのカッコよさと凄絶な美しさ。中でも加藤泰監督による第6作「緋牡丹博徒 お竜参上」(70)はシリーズの最高傑作。菅原文太扮する一匹狼の渡世人・青山常次郎と雪の降る今戸橋で別れる場面で、お竜がミカンを渡そうとするところは、女俠ものならではの情感が漂う名シーンになっている。任俠スター・藤純子のイメージを確立した傑作シリーズを全作一挙に見るチャンスだ。 文=金澤誠 制作=キネマ旬報社(「キネマ旬報」2025年5月号より転載) BS松竹東急 BS260ch/全国無料放送のBSチャンネル ※よる8銀座シネマは『一番身近な映画館』、土曜ゴールデンシアターは『魂をゆさぶる映画』をコンセプトにノーカット、完全無料で年間300本以上の映画を放送。 ■5/12[月] 夜8時 「蒲田行進曲」 監督:深作欣二 出演:松坂慶子、風間杜夫、平田満 ほか © 1982 松竹株式会社 ■5/13[火] 夜8時 「キネマの天地」 監督:山田洋次 出演:中井貴一、有森也実、渥美清、松坂慶子、倍賞千恵子 ほか © 1986 松竹株式会 ■5/27[火] 夜8時 「緋牡丹博徒 お竜参上」 監督:加藤泰 出演:藤純子(現・富司純子)、若山富三郎、山城新伍、嵐寛寿郎、長谷川明男、菅原文太 ほか © 東映 詳細はこちら:https://www.shochiku-tokyu.co.jp/special/eiga/
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5月1日発売の『キネマ旬報NEXT Vol.63』の表紙に、なにわ男子の大橋和也さんが初登場。畑芽育さんとのW主演映画「君がトクベツ」(6月20日公開)を記念して、大橋和也さんへのロングインタビューを敢行。大橋さん演じる国民的アイドル・桐ヶ谷皇太と陰キャ女子・さほ子との胸キュンな恋模様を描く本作の魅力や、グループの垣根を超えて結成されたアイドルグループ「LiKE LEGEND」への想いをお聞きしました。そして、スーパーアイドルとして愛されるご自身と重なる皇太を演じることで、さらに輝きを増すアイドルとしての魅力や信念に迫り、今日までのさまざまな経緯をお話しいただくことで、大橋さんの内側から放たれるまばゆいばかりの“アイドルのチカラ”を、ご自身の言葉と共に深堀します。 “アイドルとはヒーローである”と考える大橋さんに、その言葉がもつ真の意味や、“アイドル・大橋和也”の存在意義から、“アイドル”としての自分を支えているものとは、そして自身が信じる“言霊のチカラ”についてなど、究極の“アイドル的思考”を語っていただきました。 さらに、インタビュー後半では、「大橋和也が考える、実現させたい“とある企画”」にまで話題は発展。大橋さんから次々に飛び出すアイデアの豊かさに驚かされる企画の内容は、ぜひ、誌面にてチェックして欲しい。表紙と巻頭12頁にわたる、大橋さんのキラキラなオーラをそのままとじ込めた撮り下ろしの素敵なグラビアと、貴重なインタビューをお見逃しなく! [caption id="attachment_49598" align="aligncenter" width="1024"] © 幸田もも子/集英社・映画「君がトクベツ」製作委員会[/caption] また今号では、特集テーマ「アイドルのチカラ。」にちなんで、ご登場いただいたみなさんにとっての“憧れのアイドル像(アーティスト像)”が描かれている映画についてそれぞれに挙げてもらい、作品にまつわるエピソードを合わせてうかがっています。 まず、5月18日からWOWOWで放送開始の『連続ドラマW I, KILL』に主演する田中樹さんが12Pで登場。本作で“半群凶”の士郎を演じた田中さんに、芝居において“自分の感情が一番動く瞬間”をお聞きしました。田中さんの知られざる感情の導火線を探った興味深いロングインタビューをお見逃しなく。 5月30日公開の「BADBOYS -THE MOVIE-」からは、JO1の豆原一成さんが12Pで登場。グループでは末っ子の豆原さんが、暴走族チームの「八代目トップ」となる役を通して、今回座長を務めた意気込みや、現場でのチームの一体感をどのように深めていったのか、たっぷりお聞きしています。豆原さんが共演を熱望する、“あるアイドル”についてのお話もぜひご覧ください。 6月13日公開の映画「青春ゲシュタルト崩壊」からは、佐藤新さん(IMP.)と渡邉美穂さんが12Pで登場。[青年期失顔症]にまつわる少女の成長を描いた物語の共感ポイントをお聞きすると共に、本作を通して佐藤さんと渡邉さんのお二人が考える、“自分を見失わない生き方”のアドバイスや、“アイドルであることの存在意義”についてお話しいただいた力強いインタビューを、ぜひ誌面でご覧ください。 続いて、6月9日から上演されるミュージカル『梨泰院クラス』からは、主演の小瀧望さんが10Pで登場。舞台においてご自身が対峙する試練に対して、“苦しむことすら楽しんで乗り越えてみせる”という、まさに演じるパク・セロイとシンクロした強い信念を感じさせるインタビューと、夜景に包まれた小瀧さんのエモさたっぷりなグラビアも必見。 そして、6月27日公開の映画「YOUNG&FINE」からは新原泰佑さんが10Pで登場。ある男子高生の“性春”の日々を描いた本作を通して、新原さんが初挑戦したという演技におけるチャレンジや、現場でのエピソードを振り返っていただきました。また、新原さんが考える“究極のアイドル像”についての興味深いお話は、ぜひ誌面でチェックしてください。 加えて、スペシャルインタビュー枠には、放送中のドラマ『あやしいパートナー』に主演する八木勇征さんが8Pで登場。大ヒット韓国ドラマのリメイク作品に主演される八木さんに、最低な出会いから始まる“悪縁”とも“運命”とも見分けがつかない恋愛模様の見どころをお聞きすると共に、役者として、アーティストとして飛躍する八木さんが大切にしてきた“自分の直感力”についてなど、貴重なお話がうかがえるインタビューをお見逃しなく! 制作=キネマ旬報社編集部 キネマ旬報NEXT Vol.63(No.1961) 「表紙:大橋和也」 2025年5月1日(木)発売/雑誌コード:02992-05 定価:1,100円(税込) 購入はAmazon またはKINEJUN ONLINE SHOP から
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浜辺美波×目黒蓮W主演『ほどなく、お別れです』実写映画化 コメント解禁
2025年4月30日就職活動に全敗し途方に暮れる中、とあるきっかけで葬儀会社にインターンとして就職したヒロインと、そんな彼女を厳しく指導する指南役の葬祭プランナーがタッグを組み、“最高の葬儀”を目指す、長月天音のデビュー作『ほどなく、お別れです』シリーズが浜辺美波×目黒蓮のW主演で実写映画化が決定。コメントが解禁された。 新人葬祭プランナー・清水美空を演じるのは、浜辺美波。そして、浜辺演じる美空をスカウトし厳しく指導する葬祭プランナー・漆原礼二を演じるのは、目黒蓮。メガホンを取るのは、「アオハライド」「今夜、世界からこの恋が消えても」などの三木孝浩。脚本は岡田惠和監修のもと、数々のドラマを手掛けてきた本田隆朗が務める。 誰しも避けては通れない「大切な人との別れ」。今作では、美空と漆原が様々な境遇を抱える遺族と故人に向き合い、彼らがともに“死”に区切りをつけて前を向いていくための儀式を丁寧に描く。 〈コメント〉 浜辺美波(清水美空役) 私は、“死”というものに演技でしかしっかりと向き合ったことがなく、最初にオファーをいただいた際は演じられるか少し不安でしたが、三木監督には事前に『ご遺族や故人様に向き合ったときの気持ちを大事にしてほしい』というお手紙をいただいたため、あえて意識はせず、自分の感情を大切に演じました。監督とはデビュー当時から映画やMVなどで何作もご一緒させていただいておりますが、とても心が温かい方で、監督の優しさに包まれてこの作品はできているのだなと思いました。また、目黒さんとは初共演でしたが、現場にいらっしゃる姿が紳士で、佇まいから誠実さが伝わってくる方でした。上司と部下という役柄もあり、あまり会話をする機会はありませんでしたが、現場でずっと見守って下さり安心感がありました。口数は少ないけれど心は温かくて漆原さんにぴったり。今回、ご一緒できて良かったです。“お別れ”というのはどうしても避けられない、身近で、一番悲しいものだと思いますが、同時に、前向きで温かいものでもあると思います。周りの人を大切にしたいと感じる作品になっていると思います。ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 目黒蓮(漆原礼二役) 事前に原作を拝読しましたが、“お別れ”をテーマに描かれているため悲しいなと思う一方で、希望がもてる部分もあり、「お別れはしたけれど、この先、いつかまた会えるかもしれない」という考えはとても素敵だなと思いました。三木監督とは初めてご一緒させていただきましたが、とても穏やかな方で、現場では監督の空気感に支えられていたなと思います。集中したいときも、言葉で意思疎通をするというより、監督がつくってくれる雰囲気の中でのびのびと演じさせてもらえました。同じく初共演の浜辺さんは、監督としっかりコミュニケーションをとり丁寧に役を作っていく方だなという印象で、とても共感できましたし、浜辺さんのおかげで、漆原と美空の関係性がしっかりつくれたのではないかと思います。今作は、お葬式を通じて、非日常に感じてしまいがちな大切な人との別れを最も現実的なものに感じさせてくれる作品です。日々過ごしているこの時間でさえも、大切でもう帰ってこない時間。映画の「ここに注目してください」というより、観終わったあとに、自分自身の先の人生に注目してもらえたらと思います。きっと、人に対する接し方など、何かが変わると思います。 三木孝浩(監督) 本作『ほどなく、お別れです』の中で描かれる死は誰しもに起こり得る身近な人、愛する人とのお別れです。何十年先かもしれないし明日かもしれない。でもその時が訪れた時、自分は悔いなくその人を見送れるだろうか。原作小説を読ませていただいた時、普段忌むべきものとして無意識に遠ざけてしまっている死にこそ寄り添う大切さを感じさせてくれました。ラテン語でメメントモリ=「死を想え」という言葉があります。死を意識することで今ある生をより大切にできるという意味ですが、この言葉は、自分だけでなく周りの人の死についても当てはまる気がします。今回、キャストだけでなくスタッフみんながかつて経験した別れそしていつか来る別れを想いながら撮影にのぞんで出来た大切な映画です。観ていただく観客の皆さんにもそれぞれにメメントモリを感じてもらえる作品になっていたら嬉しいです。 長月天音(原作) デビュー作の映画化、これほど嬉しいことはありません。浜辺さんと目黒さん、今をときめく魅力あふれるお二人に、美空と漆原を演じていただけるなんて夢のようです。撮影見学時に感じた張りつめた雰囲気は、厳かな葬儀場の空気に通じるものがありました。本作の見どころでもある葬儀シーンは今から楽しみであり、監督やスタッフの方々にとても丁寧に作っていただいているのを実感しました。誰もが避けられない大切な人との別れ。原作では伝えきれなかった部分にまで踏み込んでくださった素晴らしい脚本で、より多くの方にお届けできることを幸せに思います。 春名慶(プロデューサー) 喪われた命を見送る物語ですが、悲しい結末は用意していません。「死の事実は変わらない。けど受け止め方は変えられる」2019年の年初に読んだ本作のテーマに感銘を受け、映画にしようと三木監督を誘いました。一心に葬祭に向き合う師弟のタッグを、たおやかに描いて欲しいと岡田さんに脚本をお願いしました。「大切な人を亡くしても、遺族は生きていかなければならない」葬儀でどう気持ちを整理し区切りをつければ、未来へ歩むことができるのか。美空は漆原と一緒にその答えを見つけていきます。 死の悲しみを、死者への慈しみに変える。ふたりが導き出す奇蹟のような「見送る時間」をぜひ劇場で体感してください。念のため、タオルかハンカチ持参でお願いします。 稲垣優(プロデューサー) 本作を実写映画化するにあたり、実際に葬祭プランナーの方々にも沢山お話をお伺いし、作品作りに活かしてまいりました。その時に皆様に対して感じたことは、ご遺族や故人の方に寄り添う誠実さ、そして葬祭プランナーという職業に誇りを持ち、日々前向きにお仕事に臨まれる真摯な姿でした。キャスティングについても、この「誠実さ」と「真摯さ」を嘘無く表現できる方に演じていただきたいと思っていた時に、真っ先に頭に浮かんだのは浜辺美波さん、目黒蓮さんのお二人でした。そして、撮影を通してその予感は全く間違っていなかったことを実感しました。これまで多くの映画やドラマに出演されているお二人ですが、本作でしか観ることのできない浜辺さん、目黒さんの新たな魅力を楽しんでいただけたらと思います。そして観客の皆様にとって、この映画をご覧いただくことで「自分の大切な人を見送るとはどういうことか」を、美空と漆原を通して考える機会になっていただけたら嬉しく思います。 Story 就職活動で連戦連敗の清水美空。そんな彼女が、ひょんなことから葬祭プランナー・漆原礼二と出会い、導かれるように──葬儀会社「坂東会館」でインターンとして働き始める。教育係となった漆原からの厳しい指導の数々に、日々心をくじかれそうになる美空だったが、彼の遺族や故人にとことん寄り添う心遣いや所作、そして出棺のときに優しく『ほどなく、お別れです』と告げる姿にいつしか憧れを抱くようになる。永遠の別れは、誰にでもやってくる。残された遺族だけでなく、故人も納得できる葬儀とは何か?美空は、漆原と一緒にその問いに向き合うなかで、彼の背中を追いかけるように自身も葬祭プランナーを目指すことを心に決める。そして「ほどなく、お別れです」の言葉に込められた本当の意味を知っていく──。 「ほどなく、お別れです」 原作:長月天音『ほどなく、お別れです』シリーズ(小学館文庫) 配給:東宝 監督:三木孝浩 脚本監修:岡田惠和 脚本:本田隆朗 出演:浜辺美波、目黒蓮 ©2026『ほどなく、お別れです』製作委員会