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映倫 次世代への映画推薦委員会推薦作品 —「ぼくのお日さま」
2024年9月6日出会いは光と影の両面をもたらす 小学6年生タクヤ(越山敬達)は野球もアイスホッケーも身が入らず、上達しない。彼は同じリンクでフィギュアの練習に打ちこむさくら(中西希亜良)の華麗な舞に心を奪われ、彼女の真似をして無心にフィギュアのステップを試みては転倒する。不純な動機から入ったにせよ、何かに打ちこむ心性を持ちうるかどうか。そんなタクヤを発見し、フィギュアの世界へ導く荒川コーチ(池松壮亮)の情熱が心を打つ。若年世代にとって出会いがいかに大切であるかを痛感させる存在だ。 奥山大史監督は前作「僕は神様が嫌い」と同様、今回も撮影・脚本・編集を兼任し、自己の作品世界を妥協することなく構築。28歳ながら、前作のサン・セバスティアン国際映画祭での最優秀新人監督賞に続き、今作はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で上映され、約8分間ものスタンディングオベーションで讃えられたという。少年少女の単純なサクセスストーリーだとしたら、これほどの国際的評価には繋がるまい。世界の映画界はそんなに甘いものではない。 奥山大史はすぐに見つかる答えや予定調和で終始させていない。練習し、上達し、打ち解ける。アイスリンクに差し込む恩寵的な午後の光に包まれながら氷上で舞う姿を、奥山自身もスケート靴を履いて滑走しながらカメラを回す。目くるめくスピード感で背景が流れていくが、彼らの成長する姿はしっかりと画面中央に留められている。 一方、荒川コーチは同性の恋人と暮らしているが、残念ながらそのことが物語に影を落としてしまう。こうした背景についてどう受け止めていくかが、ここで問われてもいる。他者への想像力を醸成し育むための未解決なヒントが、本作には込められているのである。 文=荻野洋一 制作=キネマ旬報社(「キネマ旬報」2024年9月号より転載) https://www.youtube.com/watch?v=rzmKFW5Uf1c 「ぼくのお日さま」 【あらすじ】 吃音をもったアイスホッケー少年タクヤは、フィギュアスケートを練習する少女さくらの姿に心を奪われる。さくらのコーチ荒川は、ホッケー靴のままフィギュアのステップを真似ては何度も転ぶタクヤを見つけると、タクヤに自分がかつて愛用した靴を貸し、フィギュアの世界へいざなう。荒川の提案で、タクヤとさくらはペアを組んでアイスダンスの練習を始める。 【STAFF & CAST】 監督・撮影・脚本・編集:奥山大史 出演:越山敬達、中西希亜良、池松壮亮、若葉竜也 ほか 配給:東京テアトル 日本/2024年/90分/G 9月13日(金)より全国にて順次公開 © 2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS 公式HPはこちら -
映像監督・写真家として活躍する奥山由之が、東京・二子玉川の川沿いにある古ぼけたベンチを舞台に、人々の何気ない日常を切り取っていく「アット・ザ・ベンチ」。2023年9月30日に第1編、2024年4月27日に第2編がVimeoで無料公開されて反響を呼んだが、このたび第5編まで合わせたオムニバス長編として、11月15日(金)よりテアトル新宿、109シネマズ二子玉川、テアトル梅田ほか全国で公開することが決定した。 キャストは広瀬すず(第1編・第5編)、仲野太賀(第1編・第5編)、岸井ゆきの(第2編)、岡山天音(第2編)、荒川良々(第2編)、今田美桜(第3編)、森七菜(第3編)、草彅剛(第4編)、吉岡里帆(第4編)、神木隆之介(第4編)。奥山監督の熱望した俳優が顔を揃えた。 奥山由之 コメント 僕の散歩コースの途中には、川沿いにぽつんと佇む1つの古いベンチがあって、“川沿いにぽつん”と言っても、水辺に近いわけではなく、車道沿いにあるバス停のそれでもなく、芝生の広場の真ん中になぜかそれはあって、球遊びをしている子供たちや、犬の散歩をする人たちがチラホラいるのだけれど、みんな邪魔そうにするわけではなく、かといって座るわけでもなく、ただただ通り過ぎていく。 そのベンチと関わる人を見たことがないので、実は誰にも見えていないのではないかと思ったこともあるのだけれど、恐らく、ベンチの設置場所としては風変わりなスタイルをとっていることで、「あぁ座りたいなぁ」とは思わせない絶妙な調度よくなさがあるのだろう。そのベンチの周辺一帯だけがなぜかコンクリートの地面であることも不思議でならない。 僕がそいつに目をつけてからもう何年も月日が経っているのだけれど、一向に撤去される気配はなく、そいつはやはり誰にも見えていないのかもしれない。 そんなある日、近くで大きな橋の工事が始まった。 東京という街は、いつだってうねるように、まるで生き物のように、部分的な変化を続けている。便利になったり、綺麗になったり、勿論いいこともあるのだけれど、いつの間にか無くなってしまう景色を懐かしむ間もなく、記憶は塗り替えられてしまう。愛着を抱いていた場所でさえ、久しぶりに訪れると「前はどんな様子だったけ…」なんて忘れてしまうこともしばしばだ。 変わりゆく景色の中で、変わらずそこにいるベンチ。古ぼけた座面はなんだか頼りなく、妙な味わいと個性を放っていて、後ろから眺めたときの、まるでおじいちゃんのような哀愁感に僕は心を奪われ、「いま、このベンチを作品として残しておかないと後悔しそうだ」と思い立ち、ベンチだけを舞台に、誰かの会話を集めたオムニバス映画を作ることに決めました。 というわけで…『アット・ザ・ベンチ』は、変わり続ける東京という街の中で、変わらずに残したい“とあるベンチ”を舞台に、四季折々、ある日のある人たちのちょっとした思い出の時間を紡ぎたい、という個人的な願いからスタートした自主制作映画です。 その思いに呼応して、仲間が1人増え、また1人増え…といった具合に、みんなが“個人”としてベンチに集まってくれました。そうして形成された、サッカーチーム1つ分くらいの僕らは、手弁当ながらも、自分たちでやれる限りのことをやってみよう、という考えで1編ずつをじっくりと作り上げてきました。ある個人の「こういう映画を作りたい」という思いのもとに、同じく「作ってみようよ」という純粋な思いで集まってくれた人たちがいる、そうして作り上げられた作品は、また誰かの「こういう映画が好きだな」という温かな気持ちに届くと嬉しいな、と思っています。 これ以上に純粋な創作は、生涯の中で何度と出来ることか分かりません。 一緒に作って下さった皆さま、本当にありがとうございました! 「アット・ザ・ベンチ」 監督:奥山由之 出演:広瀬すず(第1編・第5編)、仲野太賀(第1編・第5編)、岸井ゆきの(第2編)、岡山天音(第2編)、荒川良々(第2編)、今田美桜(第3編)、森七菜(第3編)、草彅剛(第4編)、吉岡里帆(第4編)、神木隆之介(第4編) 脚本:生方美久(第1編・第5編)、蓮見翔(第2編)、根本宗子(第3編)、奥山由之(第4編) 音楽:安部勇磨 企画・製作:奥山由之 プロデューサー:佐野大 撮影:今村圭佑 録音:佐藤雅之 美術:野田花子 衣裳:伊賀大介 ヘアメイク:小西神士、くどうあき 編集:平井健一、奥山由之 助監督:鈴木雄太 制作担当:神谷諒 カラリスト:小林千乃 オンライン編集:土屋瀬莉 グラフィックデザイン:矢後直規 配給宣伝協力:池田彩乃 制作・配給:SPOON 2024年/日本/86分/カラー/ビスタ/5.1ch/英題:AT THE BENCH ©2024 Yoshiyuki Okuyama/Spoon Inc, All Rights Reserved. 公式サイト:https://www.spoon-inc.co.jp/at-the-bench/
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ホラー映画を中心に次々と斬新な作品を生み出す、プロデューサーのジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションズと、ライオンズゲートがタッグを組んだ「イマジナリー」。 可愛らしいテディベアと友情をはぐくむ少女と家族の周囲で巻き起こる、不可解な現象と想像を絶する恐怖を描き全米を震撼させた話題作が、11月8日(金)より日本公開。予告映像とポスタービジュアルが解禁された。 ポスタービジュアルは不安そうな表情を浮かべる少女アリスと、奥からこちらを見つめる“チョンシー”と名付けられたテディベアの姿が印象的。「死ヌマデ、一緒っていったよね?」というキャッチコピーに、“チョンシー”の底知れぬ狂気と執念を感じさせる。 また、本予告映像は、古びたテディベアとの出会いと、家族を襲う想像を絶する恐怖の一端が描かれる。ナレーションを担当したのは、アニメ『ハイキュー!!』の日向翔陽役や、『王様ランキング』のカゲ役を担当している声優の村瀬歩。すべての声をひとりで務め、本予告に恐怖の花を添える。 子どもの頃に誰しもが経験したことがあるであろうお人形遊び。その平和な遊びに不穏な空気と狂気を混ぜ込み、恐怖を更なる高みへと押し上げたブラムハウスの最新作に注目したい。 https://youtu.be/P05rJQxzmQc 「イマジナリーフレンド」 製作:ジェイソン・ブラム、ジェフ・ワドロウ、p.g.a 監督:ジェフ・ワドロウ 脚本:ジェフ・ワドロウ、グレッグ・アーブ、ジェイソン・オレムランド 出演:ディワンダ・ワイズ、トム・ペイン、テーゲン・バーンズ、パイパー・ブラウン、ベロニカ・ファルコン、ベティ・バックリー、マシュー・サトー 原題:IMAGINARY 配給:東宝東和 © 2024 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. 公式HP:https://imaginary-movie.jp/ 公式X :@IMAGINARY_JP
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ある最新技術を用いた“延命治療”を国家が促進する時代。病に侵された上位階級者が、自身と同じ姿の“それ”を身代わりとして提供されたら──? 「赤い雪 Red Snow」の甲斐さやか監督が、自身のオリジナル脚本をもとに、井浦新、水原希子、三浦透子、斉藤由貴、永瀬正敏の共演で撮り上げた日仏合作映画「徒花-ADABANA-」が、10月18日(金)よりテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開される。 死が迫る中で“それ”と対面する新次(井浦新)、新次をケアする臨床心理士のまほろ(水原希子)、海辺で知り合った《海の女》(三浦透子)、新次の母親(斉藤由貴)、医師の相津(永瀬正敏)を捉えた場面写真が到着した。 また、音楽監督を務めるジャズシンガーのakikoがプロデュースしたインスパイアアルバム『“満たされた空虚” Emptiness Fulfilled - inspired by “ADABANA”』を10月2日(水)にリリースすることが決定した。 同アルバムには、劇中にも登場する『亡き王女のためのパヴァーヌ』に英語詩をつけて歌ったものとポエトリーリーディングをのせたもの、『Yesterdays』『Both Sides Now』といった名曲・人気曲のカバー、さらに書き下ろし曲を合わせた全9曲を収録。キャストの水原希子、三浦透子、甲田益也子がポエトリーリーデイングで参加し、ジャケットとブックレットの写真は永瀬正敏が撮影した。 akiko コメント 新型コロナウィルスという、未曾有のウィルスが世界を震撼させ始めた2020年春、私は彼女からあるプロットを受け取りました。たった数枚のページに収められたそのプロットには、まるで当時のパンデミックを予感していたかのような、近未来のストーリーが綴られていました。 彼女−甲斐さやかは才能溢れる気鋭の映画監督/脚本家であり、私にとっては長年の大切な友人でもあります。小説家や映像クリエーターとしても活躍する彼女の類まれなるセンスと才能は、初の長編映画『赤い雪 Red Snow』において世界に知られることとなり、名だたる映画祭や関係者の間で常に注目を集めてきました。私もその才能に魅せられた一人であり、彼女の作り出す世界を尊敬の眼差しを持って見つめてきました。 聞けば彼女はそのプロットを何年も前に書いたと言います。しかし「パンデミックなんて想像できない」という理由から周りの評判は芳しくなく、映画化に踏み切るのをためらっていたと言うのです。しかし私は否応なく心を揺さぶられ、この作品は今すぐ形にすべきだと伝えました。世界が、手遅れになる前に。 それほど強烈な印象を残したこの『徒花-ADABANA-』という作品に、音楽プロデューサーとして関わらせていただけたことはとても光栄なことであり、心から嬉しく思います。この映画の中には、私が普段から持っている思想のような、哲学のようなエッセンスがたくさん詰まっています。 そんなエッセンスを、国内外の素晴らしいミュージシャンとともに音にしたのが本アルバムです。「存在と無」について、また「時間」について、これまでも度々音楽作品として残してきましたが、『徒花-ADABANA-』でクローズアップされた監督との共通認識に改めて向き合い、これまでとはまた違う角度から表現しました。 劇中、モーリス・ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が流れるシーンがあります。この映画にも何か通じるものがあると感じ選曲しました。決して喜劇ではないけれど悲劇ではなく、陰鬱でいて美しく、繊細であると同時にダイナミックであり、明暗や善悪を超えた先にある命題について語っているように感じるからです。 個人的にも大好きなこの曲を、本アルバムでは英語の詩をつけて歌ったものと、水原希子さん、三浦透子さん、甲田益也子さんという3名の素晴らしい俳優のみなさんが美しい朗読を披露してくださったもの、2つのバージョンで収録しました。またブックレットには、今回、演じ手と撮影(写真)という二刀流で活躍してくださった永瀬正敏さんの写真を使わせいただきました。映画での演技に心を奪われただけでなく、みなさんがやはり一流の表現者であることを、改めて思い知らされました。 映画『徒花-ADABANA-』は、本質的なものを抉られるほど美しく描いた、一生心に刻まれる作品となりました。 その圧倒的な世界観の余韻に浸りながらこのアルバムを味わっていただけたなら、またその逆も、どちらもとても光栄なことです。 いつかどこかで、この映画に出会っていただけたら嬉しいです。 https://www.youtube.com/watch?v=xqgR2pf5Fhw&list=TLGG6T_IcPfg5_wwNDA5MjAyNA ©2024「徒花-ADABANA-」製作委員会 / DISSIDENZ 配給:NAKACHIKA PICTURES ▶︎ 井浦新、水原希子、三浦透子、斉藤由貴、永瀬正敏が共演。甲斐さやか監督が独特の世界観で描く「徒花-ADABANA-」
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イム・シワン、役にかける思い―「ボストン1947」。人生初の体脂肪率6%に!
2024年9月5日「ボストン1947」 カン・ジェギュ監督、ハ・ジョンウ、イム・シワン インタビュー 2023年9月11日、マスコミ試写会後の記者会見より 1937年に開催されたベルリン五輪のマラソン競技にて、日本は金メダルと銅メダルを獲得している。だが、それは韓国のソン・ギジョン選手とナム・スンニョン選手が日本代表として出場し獲得したものだった。第二次大戦後、韓国の日本統治は終了したが、メダルの記録はそのまま。二人はなんとか祖国の記録を取り戻そうとチームを組み、1947年、若き才能あふれる選手をボストンマラソンに出場させる……。 韓国の祖国解放から朝鮮戦争の間の時代に起きた感動の実話を、「シュリ」(99)「ブラザーフッド」(04)などを手掛けた名匠カン・ジェギュ監督が描いた「ボストン1947」が8月30日より全国で公開している。主演を務めたのは「ランサム 非公式作戦」の公開も控えるハ・ジョンウと、『イカゲーム2』の出演も決まった最旬俳優イム・シワン。ここでは、韓国公開時には大きな話題となった記者会見の一部をご紹介。3人のそれぞれのインタビューは劇場パンフレットに詳しく掲載されています。 ──「ボストン1947」の中でイム・シワンさんとハ・ジョンウさんは、ソ・ユンボク、ソン・ギジョンという実在のマラソン選手を演じています。どのようなことを考えながら撮影に臨みましたか。 カン・ジェギュ 実在の人物を主人公とする場合、観客が映画に入り込めるかどうかは、俳優がどれだけその人物に近づけるかにかかっています。ですから、内面はもちろん、身体的にも似ていなければならないと思いました。そういった意味で、俳優のみなさんが本当に一生懸命努力してくれました。 イム・シワン 実在の人物がいらっしゃるので、その方たちに絶対に迷惑をかけてはいけない作品だと思い、ある種の責任感を持って取り組みました。ソ・ユンボク選手が初めて太極旗をつけて国際大会に出場したときと同じように、私も国を代表するような気持ちで準備し、撮影に入りました。また、実際に走らなければいけないキャラクターだったので、2~3カ月前から専門的なトレーニングを受け、撮影の合間にもコーチから指導を受けました。 ハ・ジョンウ 通常、あるキャラクターを演じることになると、自分の体と心から出発するのですが、今回のソン・ギジョン先生の場合はカン・ジェギュ監督といろいろな話をしながら、どんな人物だったのかをつかんでいきました。撮影するときもカットごとに「この状況ではどんな気持ちだっただろう」と考えていました。また、ベルリンオリンピックの表彰台のシーンでは、これまで感じたことのない厳粛さがありました。ソン・ギジョン先生はベルリンで祖国の国旗である太極旗をつけられなかったことに責任を感じ、今回こそは太極旗をつけて大会に参加しなければならないという思いを持ってボストンに向かいました。私も俳優として、ソン・ギジョン先生のそんな気持ちを思いながら撮影に臨みました。 イム・シワン 準備の過程でいちばん時間をかけたのは食事と運動でした。撮影が終わるまで、食事はずっと鶏の胸肉とサラダでしたし、毎日、トレーニングをしていました。そして、ソ・ユンボク選手の外見に似せようと努力しているうちに体脂肪率が6%になりました。人生で初めてのことで自分でも不思議でした。 ──映画の終盤に登場するボストンマラソンのシーンがとてもドラマティックでした。撮影の際はどんな点を工夫されましたか。 カン・ジェギュ シナリオの段階からいろいろ悩みました。実はもともとハ・ジョンウさん演じる監督のソン・ギジョンがソ・ユンボク選手と並走するシーンはそれほど多くありませんでした。しかし、この映画では走る人だけでなく、それをじっと見つめて励ます人たちの気持ちの表現もすごく大事なことだと思えたので、ハ・ジョンウさんのアイデアを取り入れながら、撮影、編集を行い現在の形になりました。今回の作品では、さまざまなディテールについて俳優たちといろいろ話をし、アイデアを出しながら作っていく過程がとても楽しかったです。 ハ・ジョンウ ソ・ユンボク先生の役を演じるためにシワンさんがどんな準備をしてきたか、ずっと横で見ていたので、大会のシーンを撮るときは応援したいという感情が自然に湧き上がってきました。完成した作品を見たときも、とても立派に表現してくれていると感じました。おそらくソ・ユンボク先生も喜んでくれているのではないかと思います。 ──1947年を背景とした映画を今、作らなければならないと考えた理由は? カン・ジェギュ 「ブラザーフッド」(04)の後、SF映画を作りたいと思って準備していたことがありました。結局、その映画はうまくいかなかったんですが、その過程で「未来を表現するというのはどういうことだろう?」と考えるようになりました。そして、私たちが生きてきた過去の姿をしっかりと振り返ることも未来を予見することになる、過去を扱うこともある意味ではSFといえるんだなと、知らず知らずのうちに思うようになりました。そして、過去に存在した偉大な足跡についていっそう関心を持つようになり、本作を作りました。 ──最後に観客の皆さんへのメッセージをお願いいたします。 カン・ジェギュ 過去の話というと、少し古臭くさくて面白くないような気がしますし、困難の中で今を生きる人たちの中には「あえて今、見る必要があるだろうか」と考える方も多いかもしれません。しかし、先人たちが生きてきた歴史の中にはすばらしいストーリーや人間たちがたくさん存在します。それぞれの人生を生きていく上で、過去を振り返ってみることは力になるし、勇気を与え、役にも立つということを、この映画を通じて感じていただけたらうれしいです。 イム・シワン 私はこの映画に参加したのをきっかけにマラソンの魅力を深く知ることができ、健康的な趣味を持つことができました。みなさんにもぜひ見ていただいて「いい映画だ」と思っていただけたら、本当にありがたいです。 文=佐藤結 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=1qrvW-bje6o 「ボストン1947」 監督・脚本:カン・ジェギュ 出演:ハ・ジョンウ、イム・シワン、ペ・ソンウ、キム・サンホ、パク・ウンビン 配給:ショウゲート 2024年8月30日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開中 © 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CONTENT ZIO Inc. & B.A. ENTERTAINMENT & BIG PICTURE All Rights Reserved