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  • 1年間の契約で愛のない打算的なメリット婚をした、橋本環奈演じるド貧乏美女と山田涼介演じるドSのツンデレ“王様”御曹司によるシンデレラストーリー『王様に捧ぐ薬指』。胸キュンの王道ラブコメドラマでありながら、実は感動的な家族の物語としてホロリとさせられる本作。このドラマの魅力と2月28日にリリースされたBlu-ray BOXとDVD-BOXに収録された特典映像についてなどをご紹介しよう。 会社の広告塔として美男美女のラブラブカップルを演じる主人公 原作は、人気漫画家のわたなべ志穂が、『プチコミック』(小学館)で2014~17年に連載した同名漫画。舞台となるブライダル業界は、原作者の結婚式場でのアルバイト経験も活かされているという。 主人公の羽田綾華(橋本環奈)は、誰もが認める容姿端麗な美女。その容姿が数々の男性を魅了しすぎてしまうことから、周囲の男性たちが勝手に好意を抱いてきたり、綾華を巡って喧嘩を始めたりしてしまい、トラブルに巻き込まれることや悪女と呼ばれて同性を敵に回すことも多く、仕事が長続きしない。実家は小さな蒲鉾屋で、弟と妹が4人居て、母親は6人目の子どもを妊娠中。長女の綾華は経済的に苦労する大家族を助けるためにも働かねばならず、求人のあった結婚式場『ラ・ブランシュ』に入社。そこで代表取締役の新田東郷(山田涼介)と出会う。 東郷は大企業グループの御曹司で、グループ企業で経営難の『ラ・ブランシュ』を立て直すため、自らを広告塔として恋愛リアリティ番組に出演。通称“キング”と呼ばれていた。彼は、面接でも悪態に近いほどズケズケと正直に物を言うことができ、誤解などにより同性の同僚たちに嫌われながらも弱音を吐かずに働く綾華に“仕事”のパートナーとして利用価値を見出し、「結婚しよう」と告げる。東郷は政略結婚の見合い相手を薦めてくる両親への反発や結婚式場の宣伝のために、夫婦として装うのはあくまで人前だけで報酬も支払うというメリット婚を提案したのだ。お金のためと割り切った綾華は、庶民から玉の輿に乗ったシンデレラを演じることになる。1年間の契約を結んで入籍した二人は、美男美女のラブラブな夫婦を装って動画配信やイベント出演を行うなど、『ラ・ブランシュ』の広告塔として人気を博すが……。   家族もの、お仕事ものとしても楽しめる多彩な物語 二人は仲の良い夫婦を装って動画配信を行うため、毎回、ドキドキのラブラブシーンが登場。しかし、カメラ前ではイチャイチャしながら、録画を停めた途端にそっけなく素にもどったり、けなし合ったりするのが面白い。一見冷徹で誰もが恐れる“キング”こと東郷と、彼に物怖じせず明るくサバサバと意見をぶつける綾華という二人を、コメディ芝居にも長けた橋本環奈と山田涼介が好演。そのテンポの良い掛け合いが絶妙で、特典映像などでもお互いに相性の良さを語っている。 綾華と東郷は、似たもの同士。気が強く弱音を吐かないし、言い訳もしないため、誤解を受けやすく、友人も少ない。似たもの同士だけにお互いを知る中で惹かれ合うことにもなるが、反発もしやすく、気丈すぎる性格が災いし、すれ違いも多い。誰もが「二人がいつ本物の夫婦となっていくのか?」という過程を描くと予測するだろうが、一筋縄ではいかない。容姿にも家族にも恵まれて生きてきたように見えるが、他人のことを思って別れを選んだり、ワルモノ呼ばわりされても受け入れることが多く、実は不器用に生きてきた。そんな二人には、ハッピーエンドだけでなく切ない別れを予感させるものもあり、二転三転するドキドキの展開を見せていくことになる。 綾華と東郷のラブストーリーを中心にしながらも、本作には他に二つの柱がある。一つは綾華と東郷の仕事。二人にとってはラブラブの夫婦を演じることも仕事になるが、それも本職の結婚式場『ラ・ブランシュ』のため。同性婚、離婚式、二次元の推しとのソロ婚などの現代的な結婚式から、カスハラやご祝儀泥棒のようなトラブルまで、ブライダル業界のお仕事ものとしての物語も描かれていく。綾華はたまたま就いただけだったウェディングプランナーの仕事にやりがいを感じるようになり、東郷は名家の後継者として両親のプレッシャーを受けながらも経営者としての手腕を振るっていくという二人の姿が、生き生きと綴られる。 そして、もう一つの大きな柱となるのが、家族の物語。綾華の育った羽田家は、近々赤ちゃんが産まれる7人家族で、店舗を兼ねた小さな家に愛犬のネギと共に暮らしている。生活は厳しそうだが、明るく賑やかで、幸せそうな下町の大家族。モテすぎて外では孤独で気丈に振る舞ってきた綾華が、明るく真っ直ぐに生きてこられたのは、愛に満ちた家族の中で育ってきたからこそ。綾華は度々実家に帰ることになるため、その家族団欒風景は、見る側にとっても癒しになる。一方、東郷の育った新田家は、両親共に名家出身の由緒正しき厳格な家庭。巨大企業グループを経営しており、一人息子の東郷への期待も高い。こちらでは家族団欒などは一切なく、東郷と母・静(松嶋菜々子)には深い確執がある。次第に明かされる新田家の複雑な家庭事情は、東郷だけでなく綾華にも大きな影響を与えていく。この羽田家と新田家の両家の物語、そして、偽りの家族となった綾華と東郷。ラブコメとして見始めた本作が、最後には大きな家族の物語であることに気付き、胸を揺さぶられることになる。   本編とリンクしたオリジナルストーリー短編も必見の特典映像 本作が連ドラ初主演となった橋本環奈は、持ち前の明るさと愛嬌で、周囲の男を狂わせるモテ女を嫌味なく演じ、山田涼介はツンデレ王様キャラをクールなだけではない繊細な芝居で表現。共演陣も、坂東龍汰、長尾謙杜(なにわ男子)、森永悠希、小林涼子、塚地武雅、利重剛、りょう、松嶋菜々子ら、若手からベテランまで豪華俳優陣が揃う。芸達者な俳優たちが、胸キュンも、笑いも、ハラハラも、切なさもある多彩な魅力の詰まったこのドラマを盛り上げている。さらに、北村匠海、小野ゆり子、野呂佳代、不破万作、大友花恋、早見あかりなどの俳優たちに加え、様々なお笑い芸人がゲスト出演。その中には伏線となるキャラクターもいるので、ゲストキャラも見逃せない。 2月28日にリリースされたBlu-ray BOXとDVD-BOXに収録される総計約114分の特典映像も見所満載。メイキングでは、橋本と山田らの現場の様子やコメントなどの他、長尾謙杜が東郷の豪華なマンション室内と庶民的な羽田家のセットをレポートする様子などが見られ、東郷のリビングには、海外から取り寄せた約500万円のソファー、約1500万円のペルシャ絨毯、約70万円のFENDIのジェンガなど、超一流の家具や装飾品を揃えていることが明かされている。こだわりの美術も見逃せないポイントだ。 クランクアップ集では、メインキャストたちのクランクアップ時の様子とその際のコメントを収録。山田が第8話で劇中の七夕イベントに夫婦で登壇するシーンが、最も恥ずかしく唯一嫌な撮影だったといった撮影秘話も明かしている。他にも、橋本と山田が放送開始前に行った制作発表会見、番宣SPOT集なども収録。さらには、Paraviで配信された短編オリジナルストーリー『女王様に捧ぐ薬指』も全5話を収録。長尾の演じた大学生の羽田陸(綾華の弟で羽田家長男)がマッチングアプリで、若月佑美の演じる年齢を偽った二階堂美咲(『ラ・ブランシュ』で働く綾華の同僚)と出会うという、知られざる物語が描かれている。こちらも笑えてドキドキできる年の差カップルのラブコメ短編として面白い。本編ともリンクしており、本編を全話見た後に見るとニヤリとできるので必見だ。   文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社   https://www.youtube.com/watch?v=t3Aru1HH1xw   『王様に捧ぐ薬指』 ●2月28日(水)Blu-ray&DVD BOXリリース(レンタル同時) Blu-ray BOXの詳細情報はこちら DVD BOXの詳細情報はこちら ●Blu-ray BOX 価格:29,645円(税込) 【ディスク】<4枚> ●DVD BOX 価格:24,200円(税込) 【ディスク】<6枚> 【Blu-ray&DVD共通】 ★映像特典★ ・メイキング、クランクアップ集、制作発表会見、SPOT集、『女王様に捧ぐ薬指』 ★封入特典★ ・ブックレット ●2023年/日本/本編478分/特典114分 ●原作:わたなべ志穂『王様に捧ぐ薬指』(小学館プチコミックフラワーコミックスα刊) ●演出:坪井敏雄、泉 正英、宮﨑萌加、大内舞子、宮本秀光 ●脚本:倉光泰子、関 久代 ●主題歌:Hey! Say! JUMP『DEAR MY LOVER』 挿入歌:Awesome City Club『アイオライト』(cutting edge) ●出演:橋本環奈 山田涼介  坂東龍汰 長尾謙杜 森永悠希 小林きな子 若月佑美 三浦獠太 小林涼子 福田ユミ 小日向ゆか 田仲陽成 高橋奏琉 宮崎莉里沙 /北村匠海 塚地武雅 利重 剛/りょう 松嶋菜々子 ●発売元:TBS 発売協力:TBSグロウディア 販売元:TCエンタテインメント ©わたなべ志穂/小学館 ©TBSスパークル/TBS
  •   大学の女子寮にやってきたナマケモノが、愛くるしい表情からは想像もつかない凶暴な本性を見せるアニマル・パニック・ホラー「キラー・ナマケモノ」が、4月26日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開。本ビジュアルと予告編が到着した。     パナマの密林で捕獲され、密輸業者によりアメリカに連れてこられたナマケモノ。珍しい動物を飼ってSNSで人気者になろうと躍起になる女子大生エミリーに抱き抱えられ、辿り着いたのは大学の女子寮だった──。   https://www.youtube.com/watch?v=q4Yld6v8DNs   寮で穏やかに暮らし始めたと思われたナマケモノは、どんな方法で女子大生たちを追い込むのか、目が離せない。     「キラー・ナマケモノ」 出演:リサ・アンバラバナール、シドニー・クレイヴン、オリビア・ルーリエ、アンドリュー・ホートン、ビアンカ・ベックルズ=ローズ、ティフ・スティーヴンソン、ステファン・カピチッチ 監督:マシュー・グッドヒュー 製作・脚本:ブラッドリー・フォウラー、キャディ・ラニガン 撮影:マーク・デイヴィッド 音楽:サム・ユーイング キャスティング:イレンカ・ジェロウィツキ コスチュームデザイン:ジョバナ・ボゾビッチ 編集:マイク・メンデス プロダクションデザイン:ニコラ・ベルチェク ヴィジュアルエフェクト:SILO FX 2023年/アメリカ/93分/シネスコ/5.1ch/原題:Slotherhouse/日本語字幕:中沢志乃/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム ©2023 Slotherhouse™ All rights reserved 公式サイト:namakemono-film.com
  • 2022年に初演、昨年再演も果たした舞台『千と千尋の神隠し』が、3月11日の東京・帝国劇場を皮切りに全国ツアーを開幕。本記事では、翌日12日に行われたゲネプロ(上白石萌音が主人公・千尋を演じた)の様子を紹介する。   千尋役・上白石萌音   2001年に公開された宮﨑駿監督の「千と千尋の神隠し」は爆発的なヒットを記録し、2003年には米国アカデミー賞長篇アニメーション映画部門賞を受賞するなど、その壮大かつ独創的な世界観で日本のみならず世界中のファンを魅了してきた。そんな不朽の名作が、ミュージカル『レ・ミゼラブル』などを手掛けた演出家ジョン・ケアードにより舞台化され、2022年の初演では全国公演のチケットが開幕と共に完売、千秋楽の配信が行われるほどのヒットとなった。2023年には再演もされ、2024年は国内ツアー中に、イギリス・ロンドンでの初の海外公演も。千尋役には橋本環奈、上白石萌音に加え、川栄李奈、福地桃子が新参加。4人の千尋を中心に、さらにパワーアップした舞台を披露する。   千尋役・橋本環奈(左)とハク役・醍醐虎汰朗   10歳の少女・千尋が、両親と引っ越し先に向かう途中で不思議なトンネルを見つけ、八百万の神々が集う異世界に迷い込んだことから物語は始まる。主人公・千尋を演じる上白石萌音が舞台に現れると、まるで映画から抜け出してきたような存在感に一瞬で目を奪われる。人間が来てはならないその世界に千尋たちが足を踏み入れると、巨大な油屋のセットが顔を出し、さまざまな衣裳に身をまとった神様が現れる。辺り一面が不思議な世界に包まれると、ワクワクは早くも最高潮に。千尋が最初に出くわす悪夢となる、両親が豚の姿に変わっていくあの恐ろしいシーンも、舞台ならではの演出方法で魅せていく。絶妙な持ち味で宮崎吐夢が釜爺をコミカルに演じると、羽野晶紀がパワフルに湯婆婆を体現、元木聖也によるパペットで表現される青蛙の愛らしさなど、再現度の高い演技合戦が次々に展開され、ファンタジーとリアルの絶妙なバランスで物語がテンポよく進んでいくさまには、没入感に満ちたライド感もあいまって、舞台上のチームの一体感が心地良いほどに伝わってくる。   湯婆婆役・羽野晶紀   “千尋”が実在するとしか思えないほど、その本質を体現した上白石萌音、千尋に救いの手を差し伸べながらも、自身の罪に翻弄されるハクの憂いを表現した増子敦貴(GENIC)、千尋を導き続ける頼もしい先輩・リンを演じる華優希(母親と二役)といった、本作を彩るキャラクターたちすべての生き生きとしたさまが素晴らしい。3つの頭が飛び回る“頭(かしら)”を型破りな発想で体現した五十嵐ゆうやの底知れぬエネルギー、そしてカオナシの持つ孤独感や哀しさを指先にまで込めた小㞍健太らダンサーたちの独特な表現には、目を奪われるだろう。   釜爺役・宮崎吐夢   全篇を通して舞台ならではのアイデアを駆使した表現方法にも唸らされる。雨の中、重い体を引きずりながら湯屋にやってくる“オクサレ様”が浸かるお風呂の水のダイナミックな表現や、その神様の体からトゲを抜き取る大所帯でのシーン、そして千尋とハクが空を舞うクライマックスシーンなど、映像での表現を舞台上で新たに生まれ変わらせたシーンの数々には、決して映画を再現するだけではないオリジナリティが隅々に感じられる。 また、舞台中央に構える全高5メートルの巨大な油屋のセットは、本作のもうひとつの“顔”とも言えるだろう。360度回転する油屋は、セットが回るたびに景色を変えていき、千尋がさまざまな試練を乗り越えていく成長過程を立体的に見せていく。千尋が精神的に強くなっていく姿を身近で見守りながらも、次々と展開されるアドベンチャーの臨場感に観客は息つく暇もないほどだ。それでいて、物語が転調を見せるエモーショナルな部分も忘れていない。油屋の人々が繰り出す大団円で華やかな展開が続いたのちには、千尋がカオナシたちと電車に乗る旅路のシーンに見る物悲しい演出には思わず胸が締め付けられる。そんな感情の緩急を際立たせる生オーケストラの演奏も素晴らしく、音楽にも酔いしれることは間違いない。   千尋役・福地桃子(左)とハク役・増子敦貴 (GENIC)   パペットを操る役者も含めチーム一丸となって表現する作品の世界観や、舞台ならではの試行を凝らした表現方法に注目しながら、この没入感をぜひ劇場で体験して欲しい。 舞台『千と千尋の神隠し』は3月30日まで帝国劇場にて。その後名古屋・御園座、福岡・博多座、大阪・梅田芸術劇場メインホール、北海道・札幌文化芸術劇場hitaruで上演される。 文・制作=キネマ旬報社   舞台 『千と千尋の神隠し』  3月11日(月)~30日(土) 【東京】 帝国劇場 4月30日~8月24日 【ロンドン】ロンドン・コロシアム 4月7日(日)~4月20日 (土) 【愛知】御園座 4月27日(土)~5月19日(日) 【福岡】博多座 5月27日(月)~6月6日 (木) 【大阪】 梅田芸術劇場メインホール 6月15日(土)~6月20日 (木) 【北海道】札幌文化芸術劇場 hitaru 千尋:橋本環奈、上白石萌音、川栄李奈、福地桃子 ハク:醍醐虎汰朗、三浦宏規、増子敦貴 (GENIC) カオナシ:森山開次、小㞍健太、山野 光、中川 賢 リン・千尋の母:妃海風、華 優希、実咲凜音 釜爺:田口トモロヲ、橋本さとし、宮崎吐夢 湯婆婆・銭婆:夏木マリ、朴 璐美、羽野晶紀、春風ひとみ 兄役・千尋の父:大澄賢也、堀部圭亮 父役:吉村 直、伊藤俊彦 青蛙:おばたのお兄さん、元木聖也 頭:五十嵐ゆうや、奥山ばらば 坊:武者真由、坂口杏奈 原作:宮﨑駿 翻案:ジョン・ケアード 共同翻案:今井麻緒子 オリジナルスコア: 久石 譲 音楽スーパーヴァイザー・オーケストレーション・編曲:ブラッド・ハーク 音楽スーパーヴァイザー補・オーケストレーション・Ableton プログラミング:コナー・キーラン 美術:ジョン・ボウサー パペットデザイン・ディレクション:トビー・オリエ ▶公式サイトはコチラから  
  • クシシュトフ・キェシロフスキの10篇のドラマからなる映画「デカローグ」を基にした舞台が、4月より新国立劇場で上演される。出演者は総勢44名。原作脚本を「カティンの森」(2009年日本公開/アンジェイ・ワイダ監督)の字幕翻訳ほか、ポーランド文学の翻訳で知られる久山宏一が翻訳し、映画・演劇の脚本・演出を手掛ける須貝英が上演台本を執筆。演出は、新国立劇場演劇部門・芸術監督の小川絵梨子と文学座出身の上村聡史の2名が務める。   プログラムA(デカローグ1・3のキャスト) 前列左から亀田佳明、高橋惠子、ノゾエ征爾、千葉哲也、小島聖 後列左から、森川由樹、チョウ ヨンホ、浅野令子、鈴木勝大   旧約聖書の“十戒”をモチーフに、人間関係とそのさまざまな事情、抗えない運命を描いた10篇からなる連作「デカローグ」(1988)は、ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキによる、当初はテレビシリーズを想定して製作されたヒューマンドラマだ。第5話と第6話はそれぞれ劇場用長篇映画に再編集し、「殺人についての短いフィルム」「愛についての短いフィルム」として劇場公開、1989年にヴェネチア国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞した後、各国で劇場公開され、カンヌ国際映画祭をはじめ多くの映画賞を受賞。その後「ふたりのベロニカ」「トリコロール」と続くキェシロフスキが、名匠と呼ばれるきっかけとなった作品。日本では、監督が亡くなった翌年の1996年に劇場初公開された。   プログラムB(デカローグ2・4のキャスト) 前列左から亀田佳明、益岡徹、前田亜季、近藤芳正、夏子 後列左から、坂本慶介、近藤隼、松田佳央理   先日行われた製作発表記者会見には、高橋惠子、ノゾエ征爾、千葉哲也、小島聖、前田亜季、益岡徹、近藤芳正、夏子をはじめ、すべてのエピソードに出演する亀田佳明ら、キャスト総勢44名中39名が登壇し、作品についての意気込みを語った。 また、10作品それぞれ独立した物語だが、登場人物はワルシャワ郊外の団地の住人たちで、あるエピソードの人物が別の回でも登場するなどといった仕掛けもあり、エピソードをまたいで出演するキャストも多数いる。   プログラムC(デカローグ5・6のキャスト) 前列左から亀田佳明、渋谷謙人、福崎那由他、仙名彩世、田中亨 後列左から、斉藤直樹、名越志保、坂本慶介   演出家の小川絵梨子は、「いつか舞台でやりたい」と10年ほどまえから構想。「人間は不完全なものであるという前提で、“そういうものなのだ”と、存在自体を肯定している。その上で行った選択が失敗してしまったり、それによって葛藤を抱えたり……といったことが描かれている。そこに人間がいてくれればいいという圧倒的な肯定、人間へのリスペクトを伝えたい」と、舞台化の意図を力強く語った。   プログラムD(デカローグ7・8のキャスト) 前列左から亀田佳明、津田真澄、章平、吉田美月、高田聖子、岡本玲、大滝寛 後列左から、田中穂先、堀元宗一朗、笹野美由紀   脚本を翻訳した久山宏一は、36年前の1988年にポーランドの劇場で「デカローグ」を鑑賞。テレビ放映の2年後に発売されたシナリオ集を翻訳していくなかで、新たな発見があったという。というのも、1980年から映画人の育成を始めていたキェシロフスキは、3人の若手監督に監督させるつもりだったが、脚本に愛着が湧き自らですべてを監督。であれば、当初書かれた脚本は自分以外の監督が撮ることを想定して書かれたもので、今回の舞台のように複数の演出家が演出するという形は、キェシロフスキの本来の意図と近かったのではないか、と推察。「原型であるシナリオと映像を比べてみる幸福な機会だった」と言う。   プログラムE(デカローグ9・10のキャスト) 前列左から亀田佳明、宮崎秋人、万里紗、伊達暁、堅山隼太、石母田史朗 後列左から、笠井日向、鈴木将一朗、松本亮   公演はデカローグ1~4のプログラムA・Bが4月13日から5月6日まで、デカローグ5・6のプログラムCが5月18日から6月2日まで、デカローグ7~10のプログラムD・Eが6月22日から7月15日まで、と3カ月にわたる。 すべてのエピソードを見るのは至難の業でもあるが、オリジナルの「デカローグ」を知っていればなお、すべてを見たくもなるだろう。全10篇を見た暁の、達成感以外に何を得られるか、と2人の演出家に尋ねたところ「簡単な言葉になってしまいますが、お客様のなかで長く生きる作品になると思います」と上村。 小川は「一枚一枚の絵自体が素晴らしいけれど、エピソードを1つ、2つ、3つと重ねていくと、これまで重ねたものが実はまた壮大な素晴らしい一つの絵にもなる。お客様自身が体感して、完結させる──キェシロフスキ監督もきっとそのような意図でお作りになったと思う」と語った。 なお、全作制覇は“至難の業”と書いたが、お得なセット鑑賞券も発売されているので、日程、詳細等は公式ホームページをご参照ください。 文・制作=キネマ旬報社   「デカローグ」 デカローグ1~4[プログラムA、B交互上演]=2024年4月13日[土]~5月6日[月・休] デカローグ5・6[プログラムC]=2024年5月18日[土]~6月2日[日] デカローグ7~10[プログラムD、E交互上演]=2024年6月22日[土]~7月15日[月・祝] 会場:[東京]新国立劇場 小劇場 ▶公式サイトはコチラから
  •   15体の人間そっくりなAIアンドロイドが、《人類を破壊すべきか》を討論。規則を破れば即シャットダウンされる──。奇才・堤幸彦監督が描いたディベート・バトルロイヤル「SINGULA」が、5月10日より公開。     原作は2019年2月に上演された同名劇。ミュージカルや2.5次元舞台で活躍するspiが、15体のAIをたった一人で全編英語により演じる。主題歌はボカロPのr-906が初音ミクをフィーチャーして制作した『イフ』。 映画はマドリード国際映画祭2023で外国語映画最優秀主演男優賞を受賞し、今月にはニューヨークのブルックリンで劇場公開、堤監督が上映後のティーチインに参加した。日本ではクラウドファンディングを経て、このたび期間限定上映が決定。新時代を呼び込む異色作に注目だ。   〈コメント〉 堤幸彦 いままでの私の映画の中で最もヘンテコで、でもいちばん美しい作品かと思います。日常があたりまえにAI様に侵食されるまえにご覧いただきたく存じます。 spi ついに日本での公開が決定しました!マドリード国際映画祭外国語主演男優賞を経て、全世界を渡り歩き、人類とAIとシンギュラリティについて問題提起する、一人15役、全編英語(日本語字幕)の作品です。もしもAIが15体集まって、人間について語るとなるとどうなるのか。宗教学、心理学、倫理観のぶつかり合いとワクワクする音響デザインと抜け出せない思考の渦をぜひ体験してください! 一ノ瀬京介 2018年には、本作[SINGULA]は台本を書き終えていました。当時ぼくは、多くの人がAIについて向き合う時代がすぐそこまでやって来ていると感じていました。 AIアンドロイドを出演たった1人で15役、全編英語、それだけで「なんだそれ?」と周りから言われました。しかし本作は堤幸彦監督とspiと3人三脚で世界に挑み、映画祭で数々ノミネートされ男優賞を受賞し、さらに海外公開をしてまいりました。 [SINGULA]を通して、日本中が[人間の尊厳]について深く考えるキッカケになります事を心から願っています。   [caption id="attachment_36246" align="aligncenter" width="567"] アートデザイナーのZack Handlerが作成したニューヨーク版キービジュアル[/caption]   「SINGULA」 出演:spi 監督:堤幸彦 原作・原案:「SINGULA」一ノ瀬京介 主題歌:「イフ」r-906 feat. 初音ミク 配給:ティ・ジョイ 公式サイト:singula-movie.com